【今週のドイツ語】Lampenfieber
まだ1月とはいえ、日本の学校ではそろそろ卒業の季節に備えて、卒業生を送る会の計画など立てているのではないでしょうか。大勢の前での挨拶や出し物は、大きな会には付きものですが、緊張してあがってしまうこともありますよね。顔はほてるし手は震えるし、心臓はドキドキして口から飛び出しそう…皆さんはそんな時、どうしてますか?
ドイツ語には、そんなふうにあがってしまった状態を一言で言い表す言葉があります。それが
Lampenfieber
ランペンフィーバー
です。
Lampeは「ライト」、Fieberは「熱」、風邪をひいて発熱した時の「熱」と同じで、直訳すると「ライトの熱」となります。舞台袖で緊張してあがってしまった状態、また舞台以外でも、人前で何かをするときにあがってしまう様子を指しています。
なぜこのような言い方をするようになったかの説明にはいくつかあって、その一つは、昔、舞台照明として使っていたGaslampeガスランペ(ガス灯)の熱で、俳優たちが大汗をかいて演技に支障が出たことから、ライトの熱で演技や発表がうまくできなくなることをこのように言い表したというものです。時代が下ってガス灯から電球に代わっても、舞台のライトは相変わらずとても熱いのでしょうね。そんなこともあってか、今日までこの言葉が使われているようです。
もう一つは、もとはLampeではなくRampeランぺ(客席の方へ大きくせり出した舞台)という言葉を使い「舞台の熱」という意味でRampenfieberランペンフィーバーと言っていたというもの。フランス語にそのような表現があり、そのドイツ語訳ということです。LampeもRampeも、カタカナにすると同じランぺになりますが、ドイツ語でも、LとRの発音の違いはあってもよく似ていることから、いつしかLampenfieberと言うようになったようです。
日本では、あがらないおまじないとして「手のひらに人という字を書いて飲み込む」というものがありますが、ドイツでは、体を軽く動かしたり、深呼吸したり、絶対に成功するというような肯定的な言葉を口にしたりといった行動がLampenfieberに効くとされています。みなさんも、Lampenfieberを克服するのに良い方法があったら、教えてくださいね。
Text by Kumiko Katayama
【今週のドイツ語】
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