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„Lass uns Kaffee trinken gehen!“を日本語に訳すと・・・

Cup of coffee on a wooden table

„Lass uns Kaffee trinken gehen!“を日本語に訳すと・・・

あけまして、おめでとうございます。みなさん、お正月は休めましたか?

 

今年も「日本&ドイツ」にまつわる「あんなこと、こんなこと」を発信していきたいと思っています。みなさん、今年もよろしくお願いいたします。

 

最近よく「訳」(翻訳)ってむずかしいな~、と思うことがあります。そしてこれは決して日本語とドイツ語という「言語」の問題だけではなく、「文化」の問題なんですよね。

 

たとえば・・・・

 

ドイツで人を誘うとき„Lass uns Kaffee trinken gehen!“と言ったりします。

 

むかし日本に興味を持ってくれたドイツ人から「Lass uns Kaffee trinken gehen!って日本語では何て言うの?」と聞かれたことがあり、私はとっさに直訳をして「コーヒー飲みに行こうよ!」と言ったのですが、あれから10年以上経った今、「その時の自分の答えが間違っていたのではないか?」と気になっています(笑)

 

今は„Lass uns Kaffee trinken gehen!“の和訳は「お茶しようよ」だと思っています。そう、意訳です。意訳だから、Kaffeeは「コーヒー」ではなく、「お茶」となるのです(笑)

 

そもそもドイツ語の„Lass uns Kaffee tinken gehen!“にしても、日本語の「お茶しようよ」にしても、目的は必ずしもコーヒーやお茶ではなく「人と会って、お話しして、交流を深めること」です。たまたまドイツは(お茶よりも)コーヒー文化のほうが根付いているから、人を誘う時に「コーヒー」が出てくるだけです。日本に関しては(コーヒーよりも)お茶のほうが昔から日本に根付いているから「お茶しようよ」となるわけです。

Time for tea - cups of delicious tea



„Lass uns Kaffee trinken gehen!“という文章を、若い時の私がやったように日本語に「直訳」してしまい、「コーヒー飲みに行こうよ」としてしまうと、日本では「物凄いコーヒー好きな人」が「とてもこだわりのあるコーヒーのお店に誘っている」というように受け止められる可能性もあるのではないかと思います。

 

そう考えると、訳(通訳や翻訳)って奥深いですね~。

 

映画のタイトルが他の国の言語に訳される際にも、直訳するのではなく、各国の文化や言葉を考慮した上で、全く違うタイトルにすることがよくあります。例えばドイツ映画„In den Gängen“は日本語に直訳すると「廊下で」とか「通路で」となりますが、日本語だとちょっと違和感のあるタイトルですよね。このドイツ映画„In den Gängen“は日本でも公開されましたが、日本語のタイトルは「希望の灯り」でした。

 

前に「南ドイツでよく耳にする挨拶„Mahlzeit!”は日本語に訳せない」と書きましたが、今は「もしかすると、Mahlzeitも意訳で「お疲れ様です!」でいいのではないか?」なんて思ったりします(笑)

 

そしてドイツ語の„Auf Wiedersehen!"という挨拶。これに関してはちょっと面白いエピソードがありますよ。というのもAuf Wiedersehen!(和訳さようなら)というドイツ語には“wieder sehen“(意味「また会う」)という動詞が入っているため、「本当にもう二度と会いたくない相手」や「絶交したい相手」については„Auf nimmer wieder sehen!“なんて半分冗談ではありますが、言ったりする人がいます。„Auf nimmer wieder sehen!“は「永遠に再会しませんように」という意味。

 

それでワタシはですね、この„Auf nimmer wieder sehen!”の日本語の意訳は「来世でお会いしましょう」が合うと思います(笑)「今世では二度と会いたくないから、来世でお会いしましょう」という意味で。

 

まあこれはあくまでも想像しているだけであり、現実では„Auf nimmer wieder sehen!”も「来世でお会いしましょう」も使うことはないでしょうけど。というか、こんなフレーズを使う機会があったら・・・・それはそれで怖すぎます。

 

・・・年明けから、微妙な内容ですみません。

 

まとめると・・・・ドイツ語の„Lass uns Kaffee trinken gehen!”に一番近い日本語は「お茶しようよ」だと思う!というお話でした。

 

サンドラ・ヘフェリン

 

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サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン