ドイツのカレー?カリーヴルスト(カレーソーセージ)とは
1500種以上もあるといわれるドイツのソーセージのなかでも、国民的人気のファストフード「カリーヴルスト」(カレーソーセージ)。ドイツ中で親しまれているB級グルメですが、最近は健康志向や高級志向のメニューも増えて進化中。そもそもカリーヴルストとはどういうものなのでしょう?その歴史からトレンドまでまとめてみました。「カリーヴルストin日本」の告知もあります!
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カリーヴルストとは?
ドイツ語でカリーはカレー、ヴルストはソーセージの意味。
その名前からカレー味のソーセージを想像して食べると、ちょっとびっくりするかもしれません。
カリーヴルストの基本形は、カットした焼きソーセージにケチャップ風の甘めのソースをかけ、その上にカレーパウダーをぱらぱらっとかけたもの。
ソーセージ自体にカレー粉は練りこまれておらず、ソースもカレー味はあまり強く主張していません
お店によってソースのレシピは様々ですが、付け合わせにポメス(フライドポテト)や小型パンを添えるのが定番です。
ドイツのインビス(軽食屋)や屋台で手軽に食べられるカリーヴルストは、老若男女に愛されている国民的スナックで、年間なんと8億本も消費されているそう。
ちょっとジャンクな味わいがまた、くせになるおいしさなんです。
カリーヴルストの歴史
今ではドイツ全国で親しまれているカリーヴルストですが、発祥の地はベルリン、ルール地方など諸説あります。一番有名なのが、ベルリン説。
かつてベルリンにあった「カリーヴルスト博物館」によると、1949年、ベルリンでソーセージ店を営んでいたヘルタ・ホイヴェルさんが、ケチャップ、ウスターソース、カレーパウダーを混ぜてソーセージにかけたところ、あまりのおいしさに大評判になり、屋台飯の定番になっていったというもの。
戦後の物資不足だった当時のベルリンでは、ソーセージの皮となる腸が不足していたため、皮なしのソーセージが一般的でした。
ベルリンでは、今も「皮なし」か「皮あり」を選べるお店が多いです。
9月4日は、初めてカリーヴルストが販売された「カリーヴルストの日」としてイベントが開かれたりもします。
一方、ルール地方説は・・・
ドイツ西部にあるルール地方(エッセン、ドルトムント、ボーフムなど)は戦前から炭鉱で栄えていました。
戦後、鉄鋼業で発展したこの地域は比較的豊かだったようで、ソーセージも皮付きのものが出回っていたようです。
とくにボーフムは(日本ではあまり知られていない町だと思いますが、ドイツでは)カリーヴルストの町として有名。
ボーフム出身の国民的歌手、ヘルベルト・グレーネマイヤーが80年代に出したシングル、その名も『Currywurst』が大ヒットし、この曲がきっかけでカリーヴルストが全国に広まったともいわれています。
以前訪れたボーフムの有名店では、スパイスが効いたソースのおいしさが印象的でした。
このソースは瓶入りで販売されているほどの人気商品。
ルール地方では、ソースに最初からカレーパウダーなどを混ぜるスタイルが一般的なようで、比較的スパイシーなソースが多い気がします。
ドルトムントやシャルケなどサッカーの人気チームが多いこの地域では、スタジアムでいただく特製カリーヴルスト(+もちろんビール)もおつなものです。
進化するカリーヴルスト
もともとは屋台で立ち食いするものだったカリーヴルストですが、最近はレストランのメニューでも見かけることが多くなりました。
辛さを選べる専門店やおしゃれなカフェ風、健康志向のビオやヴィーガン、ミシュランの星付きシェフが作るグルメなカリーヴルストなど、多様に進化しています。
列車の食堂車のメニューになったり、あの世界的ファストフードチェーンでカリーヴルストソースが選べるのはドイツならでは。
進化とともにお値段の上昇も止まらず、ひと昔前は1ユーロちょっとで食べられたのに、今では平均5ユーロ超えだとか。
もうB級グルメとはいえなくなってきたのがちょっと残念ですね・・・。
おうちで楽しむカリーヴルスト
ドイツのスーパーにはインスタント食品のカリーヴルストや専用ソースも売っていて、おうちでも手軽に楽しむことができます。
簡単に作れるので、手作りするのもおすすめです。
拙著『在欧手抜き料理帖』でもレシピを掲載していますので、お好みでスパイスを調整してぜひ試してみてください。
日本にカリーヴルストを伝えたい!
ドイツではどこでも手軽に食べられるカリーヴルストですが、日本ではまだまだ知られていないのが残念。そこで、美味しいドイツを伝えたい隊としましては、日本でカリーヴルストを作って魅力をお伝えしていきたいと思っています!
まずは富山県でポップアップイベントを開く予定です。
詳細はSNSでお知らせしていきますので、ぜひチェックしてみてください。
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