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ベルリンx東京 友好都市締結30周年記念

ベルリンx東京 友好都市締結30周年記念

今年2024年、ドイツの首都 ベルリンと日本の首都 東京は、友好都市提携30周年を迎えます。これを記念し、大使館では敷地建物を利用して様々なアートを展示しています。

大使館敷地の外壁には、友好都市提携30周年を記念した大きな壁画が施されています。港区南麻布の南部坂を通る際にはぜひご覧ください。


また、大使館の事務棟内アトリウムには、ベルリン在住のアーティスト Thomas Klingenstein 氏による、ベルリンのイーストサイドギャラリーに展示されているモチーフの1つである「日本地区への迂回路」の大きなレプリカが展示されています。こちらは大使館職員との面会等で事務棟にお入りいただく際にご覧いただけますので、大使館へお越しの際にはお楽しみいただければ幸いです。

 

ベルリン・イーストサイドギャラリー

イーストサイドギャラリーは、1.3kmにわたって残されているベルリンの壁のオープンギャラリーです。東西ドイツ統一後、21カ国 118名のアーティストがこの壁に絵を描き、かつて人々を威嚇していたベルリンの壁を平和的な国境開放のシンボルに変えました。壁に描かれたアート作品群は、以前から、ベルリンを訪れる観光客の人気スポットでしたが、これまでは壁の西側でしか見ることができませんでした。イーストサイドギャラリーは文化財に指定されており、2009年にアーティストたちの手によって修復が行われました。「日本地区への迂回路」は、イーストサイドギャラリーに描かれた106のモチーフのひとつです。

アーティスト

Thomas Klingenstein(トーマス・クリンゲンシュタイン)

1961年東ベルリン生まれ。幼い頃からアジアに強い関心を持つ。ドイツ民主共和国では政治的な理由から、日本学を学ぶ希望が叶えられなかった。

作家として出発したクリンゲンシュタインは、東ドイツで反体制運動家として活動する。19歳で西ドイツに追放された後はビジュアルアートが創作活動の中心となった。

特に1980年代中盤から1990年代半ばにかけての度重なる長期滞在において、日本はクリンゲンシュタインの作品と生活の中心となり、アーティストとしての発展における重要な局面を形成した(展覧会:日本橋三越アートギャラリー(1992年)、茨城県つくば美術館(1993年)、島根県津和野町の森鴎外記念館に寄せた肖像画(1994年)ほか)。

トーマス・クリンゲンシュタインは現在ベルリン在住、活動の拠点としている。

作品

「日本地区への迂回路」は、クリンゲンシュタインが幼い頃に夢見た日本への旅をテーマにした作品。ベルリンの壁が開き、その間から寺院の塔や富士山を望むモチーフは、誰にも邪魔されずに旅ができる可能性を想起させ、異文化に対してオープンであることを呼びかける。

アーティストの言葉

『「日本地区への迂回路」を描いた1990年当時、ベルリンの壁は10年近くも私の個人的な成長を妨げる存在であり続けました。それでも、ベルリンの壁は独裁制の怪物のようなシンボルとして残っていたのです。

私は1961年に東ベルリンで生まれました。アジア、特に日本に強い関心を抱いていたため、体制の限界に早くから気づいていたのです。例えば、今日の民主主義社会においては旅行を計画するのは当たり前のことですが、私が幼少期から青年期にかけて過ごした東ドイツでは想像もできませんでした。他の多くのことと同様、それは実現不可能だったのです。私の人生観は、1981年にドイツ連邦共和国(当時の西ドイツ)で出版された詩集に反映されていましたが、それが元で同年、私は東ドイツから追放されることになりました。

その後、アジアでの滞在、とりわけ日本の芸術や文化との出会いは、私にとってアーティストとしての修行を超える経験でした。1989年、ベルリンの壁が崩壊した時、私は東京に住んでいました。その数カ月後、ベルリンに戻った私は、ここからは東アジアがいまだに遠い存在であり、世界に対する認識が極めて低いことに驚きました。

どのような壁でも乗り越えてみる価値があること、そして、異文化と関わることの重要性に気づいた経験が、1990年にこの作品を描くきっかけとなりました。1990年の陶酔と新たな可能性への突然の輝きの中で、私の作品は、道を少し先へと導き、まだ当たり前となっていなかったような物事に向けて、ある種の迂回路を作るという願いを込めた提案でもあったのです。

今日、修復された作品を見ると、まるで日記を読むような感覚を覚えます。残っているベルリンの壁の中でも最も長い区間であるイーストサイドギャラリーが、自由は当たり前に享受できるものではないことを私たちに思い出させてくれることを願ってやみません』

大使館スタッフ

ドイツ大使館 広報部の職員による投稿です。

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