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留学中に新たに抱いた学術的関心を活かすーインターンシップ編ー

留学中に新たに抱いた学術的関心を活かすーインターンシップ編ー

こんにちは、上智大学外国語学部ドイツ語学科4年の磯貝理津子です。現在は難しくなってしまいましたが、今後留学する方々に、自身の経験が役立つかもしれないと思ったため、ブログを書かせていただきます。

今回は”インターンシップというフィールドに、留学中に新たに抱いた学術的関心を活かした”という個人的な経験について述べます。ここでのインターンシップというのは長期のもので、就活の一貫ともいえるような1Dayインターンなどのことではありませんのでご了承ください。そして、活かすというのは、留学を経験して関心があった学術的な分野への興味をインターンの志望動機にするということです。私の場合は最終的にこの興味が4年生での卒業研究と、その後必要となったために執筆した論文の材料となったわけですが、このインターンシップ自体は、帰国直後(10月)に応募し、翌年1月から始まったため、卒業研究よりも前に開始したものです。

 

留学前の私は、ジェンダー学や子育て政策についてさほど関心がありませんでした。しかし、ドイツ留学を通して平日の昼間から父親同士が子供を連れてピクニックする様子や、自転車に子供を乗せて遊びに行っている様子を見て、それを漠然と衝撃的なものだと思いました。自身が思い描いていた典型的な父親像が壊れる経験でした。その姿が日本と比べて良いのか悪いのかということは問題ではなく、”なぜ同じ世界でここまで異なるんだろうか。ドイツと日本はともに少子高齢化の国で、全人口に占める男女の割合もさほど変わらない。いったい何が違うから、人の最も大事な時とも考えられるこのような子育ての環境が異なるのか”という疑問が浮かびました。これらの疑問はドイツ政治の観点から考え、後に卒論にて取り上げました。

そういった経験から、現地ではジェンダー学や子育て政策、加えて男性と女性のキャリア形成について考える時間が増えました。しかし、自分はドイツ語学科として本当にドイツ語をメインに大学生活を過ごし、ドイツの大学でもドイツ語と政治、そして環境の授業などを主に学んでいました。上智大学でのゼミの先生の許可が下りた場合は、こういった分野をドイツ政治と関連させて卒論で取り上げることに迷いはありませんでしたが、”私にジェンダー学・子育て政策・キャリア形成に関する基礎知識はない”という自覚、そして”もっとこの分野を学びたい”という気持ちがとても強くなりました。3年生の9月に帰国し、10月に突然の出会いでしたが、リプロダクティブライツ・ヘルスや性的マイノリティに関する事柄を扱う国際機関のインターンシップ応募を発見します。そこで一定期間インターンシップを行えば、ジェンダー学についての全般的な知識を得られることや、国際機関という立場で何を行うのかということなど、学べることは本当に多いと期待しました。

留学をしたとしても4年間で学部は卒業するということを予め念頭に置いて入学をし、単位を取っていました。そのため、本来3年生の秋に春からの就職活動に直結するインターンを行ったとしても、一般的に遅いと考えられる時期かもしれません。そういったインターンシップも行いたい、また春からの就職活動も行うという意気込みでしたが、無謀だと思いながらも知的好奇心を抑えられず、就活とは別に、ジェンダー学を学ぶことができる長期インターンシップに応募することになりました。

私はその場所で8か月間お世話になりましたが、そこで”ドイツ語学科であり、ジェンダー学について学んでこなかった”という点は自分にとって良くないことではありませんでした。留学によって関心の幅が広がったことは明白ですが、ドイツ語圏で生活をしたことがある人から向けられるジェンダー学への視点は新しいかもしれないと思いました。そして何よりも、全てが学んだことのないことならば、1つ1つを静かに学べばよいという気持ちがありました。これが世の中の正解だというのは間違っていると思いますが、大学受験の頃から、自分の関心があることがつながるように分野を選択し、何か自分の中で点と点がつながる感覚を持って生きてきた経験があったため、留学で得た学術的関心を、その後の人生のほんの一部の期間にでも活かしたかったようです。就職活動と進学の準備も行ったために多忙だったかもしれませんが、留学の経験があったからこそ湧き上がってきたその関心を活かせたために、何だか自分の声をよく聞いてあげることができたようで嬉しかったです。

長々と書いてしまいましたが、留学前に関心があったことに最も関心を持ち続けることは確実ではなく、全く関心のなかった事柄との新たな出会いが留学中にある可能性は、十分にあるとお伝えしたいです。それをインターンシップに活かすことも可能であり、それによって自分の進みたい分野が本当に合っているという確信をもたらしたり、卒論のオリジナリティや異なる観点からの考察をもたらしたりするかもしれません。就職活動や進学のための準備も、時間の融通を利かせることができれば、同時に行うことは不可能ではないと思います。留学を通して環境問題に興味を持った場合や途上国での開発や日本語教育分野に関心を持った場合は、これらへの関心を動機にして、そのような分野でのインターンシップやボランティアの機会を得ることができるかもしれません。

最後に、自身も経験したコロナ禍での就職活動や、”新卒”という存在が大きい日本の就職について綴られた、ILO駐日事務所インターンさんが書いてらっしゃるブログの掲載許可をいただいたのでここに共有いたします。2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧 - ILO Japan Friends’ diary (hatenablog.com)

 

 

上智大学ドイツ語学科学生チーム

上智大学外国語学部ドイツ語学科在籍中の大学3年生(2019年4月現在)。2018年夏学期〜2019年夏学期 までドイツ各地に留学中。
真野 萌(Bonn)
大橋 ふみな(Heidelberg)
磯貝 理津子(Freiburg)

上智大学ドイツ語学科学生チーム