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社会情勢に関するドイツの風刺

社会情勢に関するドイツの風刺

最近Jan Kunzさんの風刺画が好きで、仕事の合間などに見ては笑っています。

 

以下は、ドイツでマスクの着用義務がなくなったことを受けての風刺画。

 


 

朝、会社に出社した従業員。上司の「ヘ」の字に曲がっている口元を見て・・・

 

「せめて職場では、マスク義務がそのまま残っても良かったのになあ。。。」と心の中で嘆く従業員(笑)

 

暗いニュースが多い世の中ですが(4月15日にこれを書いています)、そんななかで、クスッと笑えるのは幸せなことです。

 

私のもう一枚のお気に入りはこちらです。

 


 

上のドイツ語を日本語に訳してみました。

 

【クッキングにまつわる新アドバイス!】⇒

・小麦粉を使わないケーキ作り&パン作り

・オイルを使わない調理法

 

・・・・念のために書くと、これはヘルシーな調理法をテーマにしているものではなく、今の社会情勢に関する風刺です。

 

そう、ウクライナ・ショックで小麦粉やオイルが高くなっていることを取り上げているのですね。

 

ただこの「オイルを使わない調理法」「小麦粉を使わないケーキ作り&パン作り」の風刺画は、やっぱり日本人よりもドイツ人のほうが「ウケる」かもしれません。

 

理由は、ドイツだと「料理&パン作り」には「オイル&小麦粉が不可欠!!」だという共通認識があるから、ということに尽きます。

 

日本では「オイルを使わない調理法」は、味噌汁なども含めた和食において「当たり前」の部分もあります。だから、「オイルを使わない調理法」と言われても、「ああ、そういう料理もあるわよね」という「薄い」リアクションになってしまう部分があるのです。即「爆笑」とはならないみたいです。

 

ところが、ドイツの場合は、料理といえばオイルを使うのが当たり前なので・・・・やはり「オイルを使わない調理法」と見るや、「おいおい、大丈夫かよ・・・・?」とツッコミたくなり、それと同時に笑いがこみあげてくるというわけです。

 

前にも日本とドイツの冗談について書きましたが、文化が違う人が同じ冗談について、同じレベルで大笑いする、というのは、なかなか難しいんですよね。

 

なぜなら、一緒に笑うためには、「同じ前提」や「共通認識」が必要だから。

 

ところが日本とドイツのように「共通認識」が互いに違う状況では、当然「何を面白いと思うか」という感覚も違うわけです。

 

ドイツで育った私は、やっぱりJan Kunzさんのようなユーモアたっぷりの風刺が好きです。

 

あ、色んな風刺画があるなかで、Jan Kunzさんの風刺はだいぶやわらかいと思います。

 

社会情勢をテーマにしていることが多い風刺画は、ドイツで昔から広く受け入れられてきました。

 

日本にも風刺画はあるものの、「不謹慎!」という声が定期的にあがるため、欧米ほどメジャーではない印象です。

 

・・・これからもドイツ&日本の色んな「違い」について書いていきますね。

 

また来月にお会いしましょう。

 

サンドラ・ヘフェリン

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン