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ゲーテ街道の美味しい旅①生誕地フランクフルト

ゲーテ街道の美味しい旅①生誕地フランクフルト

文豪ゲーテゆかりの地をつなぐゲーテ街道には、可愛い木組みの家や古城、世界遺産など見どころたっぷりでご当地グルメもたくさん。西から東へ8つの町を訪ね、面白いものや美味しいものを探してきました。第1回目はゲーテ生誕の地、フランクフルトからお届けします。

★★★★★★★

ところで、ゲーテを知っている方ってどれくらいいらっしゃるでしょうか。名前は聞いたことがあっても本は読んだことがなかったり、どんな人物なのか、ゲーテ街道ってどこにあるのか、ピンと来ない方も多いのではないかと思います。

ゲーテ(※ドイツ語の発音は“ギョエテ”に近い感じ)のフルネームは、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
ドイツを代表する作家・詩人であり、『若きウェルテルの悩み』『ファウスト』などの代表作は、世界中で読み継がれています。法律家や自然科学者、ワイマール公国の政治家としても活躍した多才な人物でした。

『若きウェルテルの悩み』と一緒にゲーテ街道の旅へ、いざ出発!



ゲーテ街道とは、ゲーテゆかりの地を繋いだ観光街道のこと。現在は、西のフランクフルトから東へ向かって、ヴェッツラー、フルダ、ヴァルトブルク城(アイゼナハ)、エアフルト、ワイマール、ライプツィヒ、ドレスデンまで、8つの町がメンバーとなっています。

名前からして、アカデミックで知的な感じがするゲーテ街道。ドイツの王道観光街道、ロマンチック街道などと比べると、なんだかマニアックで通好みな感じがしますよね。

私もゲーテ街道の8都市を続けて旅したのは今回が初めてだったのですが、こんなに面白いルートだったんだ!と驚きました。

経験者として声を大にして言わせてください。
ゲーテ街道は、(ゲーテファンはもちろんですが)ゲーテや文学、歴史などにまったく興味がなくても楽しめると思います!

旅することと食べること、飲むこと(しばしばワインを2~3リットルも飲んでいたとか!)が大好きだったゲーテが気に入っていた町々は、美味しいものが盛りだくさんで見どころもたっぷり。

前置きが長くなってしまいましたが、さっそく、ゲーテ街道の旅へ出かけるとしましょう。

スタート地点は、ゲーテ誕生の地、フランクフルト
現在はドイツおよび欧州の空の玄関口としても知られる、大銀行の高層ビル群が立ち並ぶ大都市です。

ゲーテは、1749年8月28日の12時の鐘の音とともに、この町で生まれました。

ゲーテ広場に立つゲーテ像



現在、ゲーテの生家は「ゲーテハウス」と併設の「ゲーテ博物館」として公開されています。立派な4階建ての家には、18世紀の家具調度品や美術品が置かれ、当時の生活をうかがい知ることができます。

初期の作品を書き上げた部屋



ゲーテ一家は上流階級に属していたので、平均的な一般家庭よりずいぶんと裕福な暮らしぶりでした。豪華なフランクフルト式たんすや天文時計、2000点もの書籍……ゲーテはものすごいお坊ちゃまだったのですね。

料理人やメイドさん達が働いていたというキッチン



キッチンには当時は贅沢品だった、地下室の井戸と繋がっているくみ上げ式ポンプもそのままに保存されています。

 

料理上手な母の手料理のなかでも、特にゲーテの好物だったと伝えられているのが、フランクフルト名物として知られるグリーンソース(グリューネゾーセ)。7種類のハーブとサワークリームやヨーグルトを混ぜて作る、鮮やかな緑色をした爽やかな味わいのソースです。

フランクフルトを含むヘッセン州では、このハーブをまとめた七草セットが売られているほどポピュラーな料理です。

市場で売られているグリーンソース用7草セット



グリーンソースは市販のものもありますが、レストランでも定番のメニューです。

シュニッツェルのグリーンソース添え。アップルワインとともに。



ドイツのカツはなぜか1人前2枚が基本。しかも付け合わせのじゃがいももたっぷり。ドイツに来たばかりの頃は1枚で精一杯だった私も、今では2枚完食できるまでに成長しました。
飲み物は、フランクフルト名産のアップルワイン。日本人の間では好き嫌いの分かれる味ですが、私はわりと気に入っています。酸味が爽やかで、こってりとした肉料理にぴったり。

木組みの建物が並ぶレーマー広場のレストランで、美しい旧市庁舎を眺めながらいただくのもオツなものです。

木組み家屋のレストランが並ぶレーマー広場



デザートは名物のフランクフルター・クランツ(Frankfurter Kranz)を。

フランクフルター・クランツ(一人用タイプ)



ドイツ語でフランクフルトの花輪という名のこのケーキは、神聖ローマ帝国時代に載冠式が開催されていたフランクフルトを象徴する銘菓。リング状の全形は王冠を、表面を覆うクロカントで金色を、上にのせたチェリーでルビーを表しています。

一般的には大きなリング状のケーキを切り分けていただくスタイルですが、最近は一人分ずつ小さく(しかしドイツなので日本の倍ほど大きく)作られたものもよく見かけます。日本ではバタークリームを使ったスイーツはあまりないので、ドイツでぜひ味わってみてくださいね。

ゲーテ街道の旅。第1回目はフランクフルトからお伝えしました。
これから、もりもりと美味しいものを食べ歩いていきますよ~
次回は可愛い木組みの町からお届けする予定です。どうぞお楽しみに!

 

★★★★★★★

グリーンソースはおうちでも簡単に作れます。7種類揃わなくてもおいしくできるので、手に入りやすいハーブでぜひ作ってみてくださいね。

著書『在欧手抜き料理帖』でもグリーンソースのレシピを紹介しています!


『在欧手抜き料理帖』(まほろば社)
欧州でも手に入りやすい材料で作る、お手軽な日本食のアイデアレシピを軸に、ドイツをはじめとする欧州料理も掲載。意外な食材の活用法や美味しいドイツの旅コラムなど、楽しい読み物もたくさん掲載しました。
まほろば社ウェブサイトにて国内外からお求めいただけます。

★★★★★★★

 

坪井由美子

日本では「食」に関する仕事に従事。商品開発やリサーチ、テレビ・ラジオへの情報提供及び出演、執筆などに携わる。テレビ東京『テレビチャンピオン・甘味王選手権』で3度優勝するなど食いしん坊ぶりを発揮。2003年よりドイツに拠点を移しフリーライターとして活動。旅や食文化、最新トレンドなどリアルなドイツ事情を新聞、雑誌、ウェブメディアで発信。 総合情報サイト「オールアバウト」ドイツガイド担当 / ドイツ発フリーペーパー「ドイツ・ニュースダイジェスト」で『食いしん坊のための簡単おいしいレシピ ~Locker! & Lecker!~』連載中/2020年秋『在欧手抜き料理帖』(まほろば社)出版

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坪井由美子