ドイツ人は自己紹介が好き?
遅くなりましたがあけましておめでとうございます。みなさんはお正月はゆっくりできましたか?
私のほうはお正月から半月も経っていないのに、すっかりまた日常のバタバタに戻っております。さて先日、ドイツ語を習っている知人のA子さん(日本人の女性)と雑談をしていたら「ドイツ人ってどうしてあんなに自己紹介が好きなんですか?」と聞かれました。なんでも彼女の通う語学学校ではドイツ人の先生が生徒にみんなの前で自己紹介をさせることが多いとのこと。そしてそのA子さん、また別のドイツ人の集まりに行ったら、そこでもドイツ人が延々と自己紹介をしていたとのこと。
その話を聞いて笑ってしまいました。だって、まさにその通りなのです。
語学学校での自己紹介に関しては、授業だし初対面の人も多いしで、とにかく生徒にドイツ語を喋らせるためにドイツ人の先生が「自己紹介」という方法も取り入れているのかな、なんて思いましたが、確かにそれ以外の場でも「自己紹介」が好きなドイツ人は多いです。
パーティーなどに出かけて、初対面のドイツ人とワインを片手に雑談していると、5分も経たないうちに私は相手の名前はもちろん、その人が住んでいる場所、その人の仕事内容について、そして休暇を過ごす場所(だいたい南の島)について把握しております。それはこちらが聞くまでもなく相手が話してくれるから。
人によっては今までの人生の話、家族の話などにも及ぶことがあり、ドイツ人の自己紹介は基本、日本人の自己紹介と比べると、めっちゃ長いです(笑)パーティーなどの場ではそれがきっかけでいわゆるsmall talkが弾んだりすることもありますし楽しいですけどね。
でもよく考えてみると、初対面での自己紹介に限らず、ドイツ人は人間関係において自分の情報を開示することをかなり重要視しているフシがあります。「自分はこういう人間です」と情報を相手に開示し、相手にもそれを求めているのですね。
逆に日本の感覚だと、初対面での情報開示には慎重になる傾向がありますし、ぶっちゃけ「そんな身の上話をしたところで、どうするの?」といった感覚もあります。
日本の場合、もちろん人にもよるのでしょうが、長年の付き合いであっても、そこまで自分のことを情報開示しない場合もあります。それは決して仲が悪いということではなく、長年付き合っていても触れない部分があってもよいのではないか?という考え方に基くものです。たとえば私の日本人の友達に身体に障がいのある人がいますが、それが生まれつきなのか途中からなのかを私は知りません。私から聞いたことはないですし、友達もそのことには触れないので、それでよいと思っています。ところが共通の知人であるドイツ人からは「何年も知っている人なのに、そのあたりのことを知らないのは変!サンドラ、本当に友達なの?」と言われてしまいました。私自身は、長い付き合いであっても、触れない部分があってもオッケー!と考えるタイプなのですが、もしかしたらドイツではあまり通用しない考え方かもしれません。個人的には、障がいに関しては、こちらが根掘り葉掘り聞いて相手から詳細を教えてもらったとして、そのことによって私が相手のことを勝手に分かったつもりになったとしたら、そちらのほうが怖いと私は思ってしまいます。
ドイツだと「全部、情報開示すれば相手のことが分かるはず」という感覚が強いですが、日本が長いせいか私は「そんなことで、相手のこと、分かるかな?」と猜疑的だったりします。
さて、自己紹介に話を戻すと・・・・・
辛酸なめ子さんが「アスティオン82」という雑誌の中で英会話レッスンの体験談を書いているのですが(「数十回目 の英語学習発作」という記事)、その中で英語圏出身の先生による長い自己紹介にも触れており、最後に「それにしても欧米人は自己紹介が好きです。」と締めています。もしかしたら「自己紹介好き」はドイツ人だけでなく、欧米人全般にあてはまるものなのかもしれません。
「何事も『オープン』が一番」とする欧米社会に比べて、情報公開にときに慎重な日本の社会。そこに「感覚」の違いを改めて感じるのでした。
・・・今年2016年も日本とドイツの「あるある」についてたくさん書いていきますので、皆さんどうぞよろしくお願いいたします!