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アルゼンチン出身のテクノ&ハウスDJフェデリコ・モリナーリにインタビュー!

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アルゼンチン出身のテクノ&ハウスDJフェデリコ・モリナーリにインタビュー!

こんにちは、ベルリン在住ブロガーのwasabi( wasabi_nomadik)です。

 

今を輝くベルリンのアーティストを毎月紹介していく本連載、今月のピックアップはアルゼンチン出身のテクノ&ハウスDJフェデリコ・モリナーリ(Federico Molinari)です。彼はホームベースであるベルリンのCDVやHoppetosseなどベルリンの人気クラブで頻繁にプレイするほか、世界中のフェスティバルやイベントに出演し世界を飛び回っている、ハウスミュージック好きの間では知る人ぞ知るスーパーDJです。

 

今回は彼の音楽的生い立ちと、彼のDJに対する考え方、彼の考えるDJの魅力や音楽の魅力についてインタビューしました。

 

フェデリコ・モリナーリ、DJを始めるまでの経緯

彼のスタジオで取材を行った

彼のスタジオで取材を行った



 

筆者:まず、あなたがどのようにしてDJになったのかを知りたいです。RA: のバイオグラフィーにはベースギターをやっていたと書かれていたけれど、あれは本当?

 

フェデリコ:本当だよ!でも最初に触った楽器はベースではなくドラムだった。半年くらいドラムを習ってみたけれど、何か違うなぁと思って次はギターを習ったんだ。数ヶ月ギターを習ってみてからやっぱり違うと思ってベースを始めたらそこからのめり込んだ。それが16歳の時かな。そこから数年ベースにのめり込んで、すごくベースが上達したんだ。その時はジャズをやっていたけれど、ある日エレクトロミュージックに出会って、今度はそちらにのめり込むようになった。迷ったけれど、その時にベースは一旦置いておいて、自分の音楽の方向性をエレクトロミュージックに定めたんだ。

 

だけど最近はまたベース熱が加熱しているよ。今年は特に、毎日少しづつベースを触って自分のエレクトロミュージックとベースを融合させようとしている。僕の音楽はベースから始まって今のスタイルに移行していったという感じかな。

 

筆者:フェデリコはアルゼンチン出身だけれど、アルゼンチンでもテクノやハウスなどのエレクトロミュージックは盛んなのでしょうか?

 

フェデリコ:アルゼンチンでもエレクトロミュージックは人気だよ。クンビアやサルサ、レゲトンのような古い音楽も人気。タンゴもあるし、幅広い音楽があるよ。

 

マインハイム、フランクフルトに移住したきっかけ

筆者:それでもアルゼンチンから、ドイツに移住することになったのはなぜですか?マンハイムに住んでいた期間が長いんですよね?どうしてマンハイム?

 

フェデリコ:マンハイムを選ぼうと思って選んだわけじゃないんだよ(笑)これはどちらかと言えば運命に近いかな。僕がアルゼンチンを離れたのは21歳の時だったんだけど、旅をしている時にリビアでDJのヴェラに出会ったんだ。彼女はマンハイム出身で、彼女が僕をマンハイムに招待してくれて彼女の友達と知り合い、気づいたらマンハイムに引っ越すことに。そこからフランクフルトに行ってDJのドリアンとも知り合い、フランクフルトにも数年住んで、5年前にベルリンに引っ越してきたんだ。

 

筆者:なるほど、そういうことだったのですね。私は先日フランクフルトに行って、初めてクラブRobert Johnsoやレコードショップ、GOSUに行ってきました。GOSUはフランクフルトのテクノ&ハウスミュージックシーンを作り上げたFreebase Recordsの元店員が始めたレコード屋ですが、あなたとFreebase Recordsの関係性は何ですか?

 

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フェデリコ:僕はFreebase Recordsで店員として働いていたんだよ!マンハイムに住んでいた時にその仕事の話をもらってフランクフルトに引っ越すことになって、数年そこで働いたんだ。その後2007年に始めた自分のレーベル「OSLO records」が2008年に軌道に乗って忙しくなったのでFreebase Recordsを去ることになって、2009年にはマンハイムに戻ったんだ。自分の音楽活動的にはフランクフルトにいる方がメリットがあったけれど、親しい友達は皆マンハイムにいたからね。

 

筆者:OSLO recordsはどんなことを実現しようとして立ち上がったのですか?

 

フェデリコ:自分のアイデアを試したかった、自分のマンハイムにいるクルーと一緒に何かしたかったという、それだけのことだよ。今はレーベル立ち上げから11年が経って、僕にとってOSLO recordsは一旦区切りがついた感じなんだ。何もないとは言わないけれど、次に新しいことをする段階が来たと感じているよ。

 

筆者:ちなみに、「OSLO records」はノルウェーの首都オスロと何か関係がある?

 

フェデリコ:この名前に理由はなかったんだ。でも、今になってこの名前をつけて良かったと思っているよ。オスロは大好きな街だし、オスロからは実際に面白いアーティストが出てきている。オスロという名前は完全にランダムで、名付けた当時は街のことさえ知らなかったけど実際すごく良い街だからね。

 

DJがアーティストになる条件

筆者:ここからはもっとフェデリコの音楽に対する考え方を聞いていきたいのですが、あなたはDJを「アーティスト」だと捉えますか?

 

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フェデリコ:それは、その人によるね(笑)僕個人は、DJは規律あるアートだと思っている。けれど、ギターを弾く人が全員アーティストではないのと同じで、その人の演奏に規律というかアート性があるならアーティストだと思う。DJに関して「アート」という言葉は幅が広すぎるかもしれないね。やっぱり人によると思うし、それはDJに限らず、他の音楽にも言えることだと思う。

 

筆者:あなたにとって、アーティストと呼べるDJの条件はなんですか?

 

フェデリコ:何でも共通していることだけど、自分のスタイルを持っている人。細かいところまで妥協せず、自分自身を表現する人。それが僕にとっての「アーティスト」かな。

 

筆者:DJとしても、音楽を作るプロデューサーとしても才能を発揮していますが、より自分らしさを感じるのはDJですか?それともプロデュース?

 

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フェデリコ:・・・両方かな。最初の方はDJとしてプレイに専念していて音楽を作ることは難しいと感じていたけれど、1回スタジオに入ってみてからはすごく没頭して音楽を作ることができるようになった。とはいえ、プロデュースを始めたのは1年ちょっとだから、まだ自分なりのやり方で模索しているという感じではあるね。でも、どちらか上手くてどちらが下手ということはなくて、僕にとっては少なくとも両方同じなんだ。

 

DJ、そしてクラブの魅力

筆者:DJをしていて1番エキサイティングな瞬間は?フロアを良い雰囲気にする時?それとも自分が良いと感じる音楽を忠実にプレイしている時?

 

フェデリコ:両方が上手く組み合わさった時が最高だね。いろいろ考えて雰囲気を盛り上げようとしたり、良い音楽をやろうと考えずに自分の感覚で集中して音楽をプレイして、お客さんも一緒に盛り上がってくれる時は僕のDJのスタイルだと感じる。

 

筆者:クラブに行くことの最大の魅力って何だと思いますか?

 

フェデリコ:僕はDJとして自分がプレイする以外にクラブに行くことはないけれど、しいて言うならベルリンのクラブ・デア・ビジョネア(通称CDV)というクラブに行く時は社交の場としての魅力があると思うよ。あのクラブは80%が社交、20%が音楽という感じだね。音楽を聴きながら人に会って話すという。

 

僕がお客さんとしてクラブに行っていた頃は、良い音楽を聴きたかったらクラブに行くしかなかった。今は状況が違ってクラブに行かなくても良い音楽を聴けるし、スカイプで人にも会える(笑)でも、実際の場所に行って人に会うという社交の場としての役割をクラブは持っていると思う。

 

筆者:CDVはまさにそんな感じのところですね。私も大好きです!日本にも良いパーティーはたくさんあるけれど、0時以降に許可なしのクラブでは踊ってはいけない風営法というものが存在している上に市場規模も小さくなっていて、残念な状況が続いています。つい先月も渋谷の小さなクラブに警察官が現れて、そのクラブが存続の危機になっているとニュースで読みました。もしアルゼンチンでも同じ法律があったら人々はどんな反応をすると思いますか?

 

フェデリコ:そんな法律があったのは知らなかった!日本中で?それとも東京だけで?

 

筆者:日本全体で適用されるものですね。

 

フェデリコ:アルゼンチンだったら誰もそんな法律をリスペクトしないと思うよ。まず、そういう法律自体存在し得ないと思う。ドイツでも同様だね。あ、でもドイツは1年に1回のイースター休暇にはパーティーをやってはいけない決まりがあるね。ただ、それは1年に1回だけだしリスペクトするよ。

 

筆者:日本にお気に入りのクラブはある?日本だったらどこの都市が好きですか?

 

フェデリコ:東京!今はもう閉まってしまったけれどウェアハウスというクラブはすごく良かったね。僕が最後に来日したのは2年前。いつも日本でプレイするなら東京がお気に入りなんだ。

 

筆者:日本のオーディエンスについてはどう思う?ヨーロッパと大きな違いはありますか?

 

フェデリコ:そうだね、すごく違う。日本ではみんながみんなクラブに行くわけではないよね?クラブに行く人はその音楽にすごく傾倒している人たちだから、良い音楽をたくさん聴いていて耳が教育されていると感じる。オーディエンスの質はすごく良い。どちらかといえば静かに音楽を聴いている感じだけれど、東京のオーディエンスはエネルギーが爆発している感じがするね。

 

筆者:最後に、DJとしてあなたがゴールにしているものはありますか?

 

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フェデリコ:20年以上DJをやってきている身として、まず、このままDJで生計を立て続けるというのは基本にある。そして、究極のゴールは進化し続けることだと思う。新しいことに挑戦して、自分のDJを次のレベルに持っていくこと、それがゴールかな。

 

筆者:どうやって自分は進化していると判断するの?

 

フェデリコ:僕は自分が進化していると思っているよ。だから、進化しているさ(笑)

 

筆者:そのポジティブさがあなたのDJとしての活動をワクワクさせているのだと感じます。今日はインタビューに答えてくれて、ありがとうございました!

 

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wasabi

1991年7月1日生まれ東京出身。(本名:藤沢祐子)2014年獨協大学卒業後、新卒でフリーランスの日英翻訳家/ライターとして2015年春にベルリンに拠点を移して活動。現在は翻訳家・ライターとして各種メディアやブログを中心にドイツ移住情報やテクノロジーを使って楽しく生きる自身のノマドなライフスタイルやオピニオンを発信中。2016年2月にはTEDx Youth@Kobeへの登壇も果たし、自身のメッセージを国内外共に精力的に伝えている。

Blog : http://wsbi.net/

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