第12回 ロマンティック街道沿いの”門前町”のカフェで – Young Germany Japan

Blog: 南ドイツの巡礼路を行く
第12回 ロマンティック街道沿いの”門前町”のカフェで

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ドイツ国内のサンティアゴ巡礼路のひとつ、ミュンヒナー・ヤコブスヴェーク(参照:Münchner Jakobsweg)を歩いているんだと話すと、山歩きや散歩好きの多いドイツ人からは、たいてい「へえ~!」なんて好意的な反応が返ってきます。しかし、「ヴェッソブルン(Wessobrunn)という町を通りすぎたよ」「前回はホーエンパイセンベルク(Hohenpeißenberg)の山に登ったよ」なんて続けると、「……?」とバイエルン州出身の人ですら、「それはいったいどこのことだ?」という反応。

 

 

 

と、意図せずしてずいぶんとマイナーな地域に入り込んでいるようなのですが、巡礼路がそこに続いているのだから仕方ありません。前回、素晴らしいパノラマを見せてくれたホーエンパイセンベルクを後にして、雪がわずかに溶け残っている道を歩いていきます。

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気温は3℃。風も冷たく、春はもう少し先のようです。

 

ところどころぬかるんだ道には、馬の蹄鉄のあとがくっきり。

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幸運のシンボルをたどるようにして歩を進める。

ほかのヨーロッパの国々と同様、ドイツでも四つ葉のクローバーやテントウムシ、豚、煙突掃除人(!)などと並んで、蹄鉄も幸運のシンボルとされています。

 

■ドイツの花粉症事情は?

事前に調べたところによると、今回の道のりはアマー(Ammer)川沿いを進む、大変足元の悪い道だとのこと。途中、「きちんとしたシューズを着用すること」「経験の浅い人は自転車道を通ること」なんて注意書きの看板が立っています。

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こちらは注意書きではなく、靴をテーマにした冗談めいた詩のようです。

少し迷いましたが、ふつうの道ですらかなりぬかるんでいて、靴もかなり酷使したものなので、安全策を取り自転車道を進むことにしました。

ドイツはとても自転車フレンドリーな国。ミュンヘン市内にも自転車専用道が走り、うっかりそこを歩いていると「どけどけ!」とベルを鳴らされてしまいます。自転車を置くためのスペースが設置された列車もあり、郊外に出ても、このようなサイクリングを楽しむための専用の道がいたるところにあります。

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ちなみに下の看板には、「この畑は食物用なので、犬のフンで汚さないで!」と書かれています。

向こうのほうに生えているのはスギではなくモミやトウヒ。日本では花粉の飛散まっさかりのころでしょうか。日本の友人たちからよく「ドイツにも花粉症はあるの?」なんて聞かれますが、答えは「あるけど、日本ほどひどくない」。ヘーゼルナッツやシラカバなどの花粉に反応する人が多いようで、私も4月、5月頃には軽い症状が起こりますが、日本のスギ花粉に比べれば可愛いもの。花粉症が楽だというだけでも、ドイツに来た価値があるというものです。

 

■小さな町の小さな衝撃

さて、アマー川沿いの”難所”を過ぎたと思われるあたりで、本来の巡礼路に戻っていきます。

ほどなくして、今日の目的地、ロッテンブーフRottenbuch)に到着しました。ここはロマンティック街道沿いに位置する町で、のどかな風景のなか、立派な修道院が突如として現れるのが印象的。

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林を歩いていると、不釣り合いなほどの尖塔が突然見えてきました。

なんとこの修道院、1073年からこの地に建っているそうです。教会内部はカラフルな美しさ。

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人けはほとんどなく、女性がただひとり静かに祈っていました。

 

そして小さな衝撃だったのは、なんとこの町にはドイツ料理店がないということ! これまでどんなささやかな町にも必ずあったドイツ料理店のかわりに、ピッツェリアとカフェが1軒ずつあるだけ。

空腹をこらえながら仕方なくそのカフェに入り、「トースト・ファッフェンヴィンケル(Toast Pfaffenwinkel)」を注文。ファッフェンヴィンケルとは、レヒ(Rech)川とロイザッハ(Loisach)川の間に位置する、この地域の古い呼び名です。すると……これが当たり!

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「Kunstcafe am Tor」にて。ドイツのパン、ベーコン、チーズの三位一体が美味しくないわけはありません! 8.3€。

薄切りのドイツパンの上にサワークリーム、ベーコン、玉ねぎがのり、さらにその上からチーズをたっぷりのせて焼き上げたオープントースト。ドイツはソーセージやハムが美味なのはもちろんですが、実はベーコンもとっても美味しいのです。近所のスーパーで適当に買ってきたベーコンを食べて、その絶妙な塩気とスモークの香りにはっとしたことを思い出します。フレッシュな野菜を使ったサラダもうれしく、期せずして大満足のランチとなりました。

日本でも有名なロマンティック街道ですが、お城の華やかなイメージとはまた違う、素朴な一面を見た思いでした。

 

_MG_7332著者プロフィール:溝口 シュテルツ 真帆

2004 年に講談社入社。編集者として、『FRIDAY』『週刊現代』『おとなの週末』各誌を中心に、食分野のルポルタージュ、コミック、ガイドブックなどの単行 本編集に携わる。2014年にミュンヘンにわたり、以降フリーランスとして活動。南ドイツの情報サイト『am Wochenende』を運営中。http://www.am-wochenende.com/

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