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【話題のドイツ語】アウフヘーベン

【話題のドイツ語】アウフヘーベン

【今週のドイツ語】、番外編です。

今日は「どうでもいいドイツ語」をご紹介します。

 

築地市場の豊洲移転問題。

中々結論が出ないままズルズルと長引いている印象がとても強いこの問題をめぐり、小池百合子都知事のある発言がネット上で、あるいはネット以外でも、話題になりました。

その発言内容はこちら。

「アウフヘーベン」というのは、一旦立ち止まって、そして、より上の次元にという、日本語で「止揚」という言葉で表現されますが、これまで安全、安心、法的、科学的、さまざまなチェックが行われてきました。専門家会議も、この11日(日曜)にもう一度、休会していた会を開きます。そして、市場問題プロジェクトチームの非常に多角的な報告書をおまとめていただいてきたということでございます。
それから、「もう6,000億もつぎ込んだんだから早く移れよ」という乱暴な意見もよく聞くところでございます。さまざまな調査などを見ておりますと、「豊洲も良いけれども、安全にしてからお願いね」という方が一番多いんですよね。そこの部分はまだ達成されていないというのも、これはよく知らされていない事実だと思います。
ですから、そういったことを全部含めて、どう判断するかという、そのための「アウフヘーベン」が必要だということを申し上げた。

東京都HPより引用抜粋

 

アウフヘーベン。

倫理で習ったかも・・・という人もいるかもしれません。

これは、間違いなくドイツ語です。aufheben と書きます。

 

さすが博識な小池都知事は、自ら説明されている通り、ドイツの哲学者ヘーゲルが弁証法の中で提唱した「止揚」のことを話しています。

(ちなみに止揚とは・・・ 難しいので、興味のある方へ、wikipediaにリンクを貼っておきます。)

でも、実はaufhebenは「止揚」という哲学用語である以前に、ドイツ人にとっては至って普通の動詞なのです。

哲学に興味のある人や哲学の勉強をしている人なら、「止揚」かもしれませんが、いわゆる「普通の」ドイツ人は、aufheben と聞くと、日常的に使用している普通の動詞のことを思い浮かべます。

aufheben
 

(etwas)aufheben 

これは、「持ち上げる・拾い上げる」という意味の動詞です。

 

落ちているペンを拾う。

落ちているゴミを拾う。

受話器を持ち上げる。

子猫を持ち上げる。

 

こんなシチュエーション、日常茶飯事ですよね。

それだけ、aufheben は普通の動詞なんです。

だから、小池都知事の発言が話題になっていると聞いたとき、大使館のドイツ人たちも最初は、持ち上げる??と思った人が多かったんですよ。

 

©ドイツ大使館

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