ライプツィヒの名物ビールとグルメ
バウハウス100周年記念旅。生誕の地ワイマールの次は、バウハウスが最盛期を迎えたデッサウへ!……向かう予定だったのですが、じつは途中下車してライプツィヒに寄り道することに。どうしてもこの町で味わいたいものがあったんです。それは……
ライプツィヒの名物ビール「ゴーゼ」!!
ゴーゼは小麦を使用しコリアンダーと大量の塩を加え乳酸菌で発酵させた珍しいビール。もともとはハルツ地方のゴスラーで中世の頃から造られていましたが、1516年にバイエルン公が発令したビール純粋令により副原料を使ったビールの製造は困難になってしまいました。ですが東西ドイツ分裂時代に東ドイツ領だったライプツィヒではビール純粋令が適用されなかったため、ゴーゼの製造がなんとか受け継がれてきたのでした。
ドイツのビールに歴史あり、ですね。
今ではゴーゼはライプツィヒの名物ビールとして知られていますが、醸造所はそう多くはなく、どこでも飲めるというわけではありません。そんな貴重な醸造所のひとつが、今回訪ねた「バイエリッシャー・バーンホフ」です。
どどんとそびえ立つ立派な建物はもともとは1842年開業の世界最古の頭端式駅舎だったもの。「バイエルンの駅」という名称は、かつてバイエルン行きの列車が発着していたことから。この鉄道駅が現在は醸造所兼レストランとして利用されているんです。
元駅舎というだけに店内はとても広々。ビールのタンクや昔の列車を間近に見ることができ、まるで博物館のようです。
上面発酵の小麦ビールといえばバイエルン特産のヴァイツェンが有名ですが、ゴーゼはヴァイツェン特有のフルーティでほのかな甘みにきりっとした酸味と塩気が加わり、さらにフルーティで爽やかに感じられます。醸造所のできたてビールということもありとてもフレッシュでおいしい…!!
ザクセン地方の名物デザート「クワルクコイルヒェン」もいただきました。生地にクワルクチーズとすりつぶしたじゃがいもが入っているため、ふんわりもっちりとした食感で食べごたえがあります。
この日は暗くならないうちにデッサウへ到着しなければならなかったため、ビールを堪能した後は駅までダッシュ。ほんの1時間ほどのせわしない滞在となりましたが、ゴーゼを飲めただけでもライプツィヒで途中下車した甲斐があった、と思うくらいおいしいビールでした!
今回は時間がなくて行けませんでしたが、ライプツィヒといえば観光名所となっている有名なレストランがあります。
ゲーテの代表作『ファウスト』に登場する酒場として世界的に知られる「アウアーバッハス・ケラー」。入口にはファウストと悪魔メフィストの像が立ち観光客の撮影スポットとなっています。店内にもいたるところにファウストをモチーフにした作品があり一見の価値ありですよ。
カフェの町でもあるライプツィヒ。古くから通商で栄えたライプツィヒにはコーヒーがいち早く伝わり、文化が生まれるサロンとして発展したカフェがいくつも残っています。なかでも人気なのがバッハが活躍したトーマス教会の向かいにある「カフェ・カンドラー」。
「バッハコーヒー」にモカ風味のケーキ「バッハトルテ」やチョコレート「バッハ・ターラー」などバッハにちなんだメニューがたくさん。隣にはバッハ博物館がありオルガンや自筆の楽譜など見ごたえたっぷり。バッハの世界に思いっきり浸ることができます。
ライプツィヒは、バッハのほかにもメンデルスゾーンやシューマンなどが活躍した音楽の都。偉大な音楽家たちも通ったカフェをめぐり、クラシック音楽とともに育まれた独自のカフェ文化を肌で感じてみてはいかがでしょうか。