【今週のドイツ語】Grünschnabel
今日紹介するのは
Grünschnabel
グリューンシュナーベル
grün は緑、
(der) Schnabel は くちばし
つまり直訳は 緑のくちばし です。
これは、新米、駆け出し、青二才、といった意味です。
以前、noch grün hinter den Ohren sein でも紹介しましたが、何かにおいてまだ未熟であったり、経験が浅かったりする人を grün 緑色 で例えることがあります。
農作物では熟す前が緑色のものが多いですよね。例えばまだ緑色の稲、緑色のバナナ、緑色のりんご・・・ などなど。
そこから来た表現ではないかと考えられています。
でも実際は、鳥のくちばしはひな鳥の時でも黄色は黄色。親鳥にきちんと餌をもらうべく自分の場所をアピールするために黄色なんだそうです。
ひな鳥のくちばしの根本部分がほんの少しだけ緑色の種類もいるようですが、基本的には色が変化するものではありません。
ちなみにゲーテは「ファウスト」のメフィストのセリフの中で、「黄色のくちばし」という表現を現在のgrünschnabelと同じ意味で使っています。
また更にさかのぼって1668年にはハンス・ヤーコプ・クリストッフェル・フォン・グリンメルスハウゼンが「阿呆物語」の中でも使用しています。
実は当時は「緑のくちばし」と「黄色のくちばし」のどちらの表現も同じように使われていたそうです。
ただ、時とともに「黄色のくちばし」という表現は消え、ドイツ語界では「緑のくちばし」が勝ち残ったようです。
ところで、イラストにウサギが描かれているのが気になる方もいるでしょうか。
実はGrünschnabelの反義語に、alter Hase(歳を取ったウサギ)があります。
つまり、なにかの分野における、玄人、専門家、プロ、という意味です。
例文
Ach du hast doch keine Ahnung, du Grünschnabel.
君は全然わかってないなぁ、ひよっこさん。
Das ist ein wichtiger Auftrag, an dem will ich nicht den Grünschnabel arbeiten lassen.
これは新米には任せられない重要な任務だ。
今週のドイツ語
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