【今週のドイツ語】Tante-Emma-Laden
夕食の支度をしていたら、あると思っていた調味料や食材を切らしてしまっていた!さあ、どうしよう。
今なら、そんな時に頼りになるのは近くのコンビニですよね。でも、コンビニなんかなかった時代に、「角のおばちゃんのお店で買ってきて~」なんて、お使いを頼まれたことありませんか?え、子供の頃からコンビニあった?
一部の世代にとってノスタルジックな「角のおばちゃんの店」的な存在を、ドイツではこんなふうに呼びます。
Tante-Emma-Laden
タンテ・エマ・ラーデン
Tanteは「おばさん」ですが、本当の叔母・伯母でなくても、少し年配の女性を親しみを込めて呼ぶときにも使います。Emmaは女性の名前、Laden は「店」。つまり「エマおばさんの店」。
おばさんの店は分かるけど、どうしてエマおばさんなの?
棚には食料品や日用雑貨が所狭しと並べられ、カウンターの向こうにはおばさんが1人。そんな町の小さな個人商店を「エマおばさんの店」と呼ぶようになったのは、おそらく戦後のことだろうと言われています。「エマ」は当時とても好まれたよくある名前で、ごく普通の一般的な女性という意味だったと考えられられます。カウンター越しに、必要なものを注文して、ついでに家族の話や街のうわさ話をひとしきり。子どもたちはお小遣いを握りしめてお菓子を買いに行く。そんなお店にいる世話好きなおばさんを、親しみを込めて「エマおばさん」と呼ぶようになったのですね。
ドイツでは1960年代頃までは、買い物は個人商店でするのが主流でしたが、70年代にはスーパーマーケットのチェーン店が値引きで勢力を増し、さらに大型スーパーや車でのまとめ買いが広がると、エマおばさんのようなところはどんどん姿を消していきました。最近ではネットスーパーが浸透する一方で、都市部ではふたたび「エマおばさんの店」が担っていた人と人とをつなぐ社会的役割が見直され、小規模な店舗が復活の兆しを見せているようです。
エマおばさん、頑張れ!
©ドイツ大使館 今週のドイツ語