主役は誰?
前回観たのが、デヴィット・ヴェント(David Wnendt)監督の『帰ってきたヒトラー』。
主演のオリヴァー・マスッチ(Oliver Masucci)さんがホンモノのヒトラーに見えてくる熱演と映画のストーリー。
タイトルからしてシリアスなはずなのに随所に笑いのツボが仕かけられまんまと嵌っちゃった=^_^;=
⇒ 『真田丸』とEUと『帰ってきたヒトラー』と世界難民の日
その前に観たのが、オリヴァー・ヒルシュビーゲル(Oliver Hirschbiegel)監督の『ヒトラー暗殺、13分の誤算』。
こちらは史実に基いた映画で、全体的に重苦しさが包み、悲惨さが特に印象に残る・・・
⇒ 「あの時」はいつ?
そして久々に昨日観たのが1月7日公開、ラース・クラウメ(Lars Kraume)監督の『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』。
映画の詳細はぜひマライさんのブログをびって♪
⇒ 今年はアイヒマン豊作の年でもあったのだ…『アイヒマンを追え!』
サブタイトルから分かる通り、やはりこの映画も第二次世界大戦絡み。
どうしてボクの観るドイツ映画はいつも・・・
それともドイツ映画のネタはこれだけ?
などと思いながらもやはり映画館に足を運んでしまう・・・
映画が始まるまでその映画館で上映する映画の宣伝が流れる。
昨日行った渋谷のBunkamuraル・シネマでは(火曜日は1100円で普段より安くてラッキーでした!)、フランスやオーストリア、イタリアの映画が上映される様で、その予告編を観ながら、
「あ~フランス映画って何かおしゃれ♪」
「イタリアはやっぱり海かぁ・・・ドイツは海、少ないしなぁ・・・」
「スカラ座って華やかだなぁ♪」
と、半ば憧れというか嫉妬を覚え、お隣オーストリア映画に至っては、扱うのが若くして亡くなった天才画家エゴン・シーレだけに、その絵画や登場する妖艶な女性たちの魅力に(同じドイツ語圏同士、同じ道を・・・と共感を求めたものの)あっさり降伏=^_^;=
さて、本題に戻り『アイヒマン・・・』だけど、アイヒマンを知らない人がこのチラシを見たらこの初老の男性がアイヒマン?と思いかねないかも。
英語のタイトルが『The People vs. Fritz Bauer』で、ドイツ語のタイトルが『Der Staat gegen Fritz Bauer』。
実はどこにも「アイヒマン」は出てこない!
そしてこの初老の男性こそ実在の人物で、舞台となるフランクフルトの検事長、そのタイトルにあるこの映画の主人公フリッツ・バウアー(Fritz Bauer, 1903-1968)なのである。
劇中で1957年とあったので年齢は54歳くらいか。
それにしてはちょっと老けてない?
でも映画の冒頭で実際のバウアーの映像が流れるのを観て納得。
フリッツ・バウアーを演じるブルクハルト・クラウスナー(Burghart Klaußner)さんはこの映画の完成時(2015年)66歳だけどなるほど違和感無し。
今では考えられないオフィスや車内でのもくもくと生み出されるタバコの煙や、身だしなみや所作が時代の差異を感じさせる。
ユダヤ人のバウアーが、出自の理由ではなく「正義」の為に逃亡中のナチス親衛隊中佐・アイヒマンを捕まえる為に奔走するこの映画。
バウアーの周りの人物設定がとても興味深く、「戦後」とは言えナチスの残党がまだ権力の近くに多く存在していた事実に驚き。
なるほど英語では「人々対バウアー」でドイツ語では「国家対バウアー」、それだけバウアーの行く手を妨げる障害が多いことを明示。
なぜならアイヒマンが捕まれば多くのナチスの残党が、自らの立場を危うくされてしまうから・・・
重苦しい映画で今回の笑いは「靴下」のくだりがちょこっとだけ。
映画の中では注目の女優リリト・シュタンゲンベルク(Lilith Stangenberg)さんがセクシーな歌手ヴィクトリア(Victoria)を演じるも設定が・・・(秘密♪)
歴史の授業や報道などで知る大まかな流れではない、歴史の断片に焦点を当てたこの様な映画を観ると、まだ知らなかった歴史の「表情」を知ることができる。
今の様に過去に向き合う姿勢は戦後すぐには出来ていなかったんだ・・・
今まさに困難に直面しつつもドイツは信念を持って歴史を作っているんだなぁとぼんやりと思う・・・
それはそうと、このブログのタグ「D画(でーが)」って何かって?
ドイツ映画なので、「A画(えーが)」ではなく「D画(でーが)」です♪=^_^;=
『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』、ぜひ皆さんもご覧あれ♪=^_^=
(11. Januar 2017)
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