ゲーテ街道の美味しい旅④アイゼナハ・ヴァルトブルク城
ゲーテ街道8都市を西から東へ訪ねるグルメ旅。第4回目はバッハの故郷アイゼナハ。世界遺産のヴァルトブルク城は、ワーグナーのオペラで描かれた歌合戦やルターが新約聖書をドイツ語に訳すなど、重要な歴史の舞台となった名城です。
*******
>>第1回:ゲーテ街道の美味しい旅①生誕地 フランクフルト
>>第2回:ゲーテ街道の美味しい旅②『若きウェルテルの悩み』の舞台 ヴェッツラー
>>第3回:ゲーテ街道の美味しい旅③バロックの町 フルダ
アイゼナハはヴァルトブルク城があまりにも有名なため、旅行者の多くは街を素通りして、山上にそびえる城を直接目指すようです。
でも、それじゃあもったいない!
じつは下界にも見どころがたくさんあるんです。
アイゼナハ出身の偉大な音楽家といえば、1685年に生まれたヨハン・セバスチャン・バッハ。一族の家は、現在は博物館として公開されています。
居間やキッチンなどが当時のままに再現され、バッハ一家の暮らしぶりがうかがえます。一族には音楽家が多かったそうで、貴重な古楽器コレクションも展示。スタッフがこれらの楽器を使ってバッハの曲を演奏してくれるんです(※約1時間ごと)。
バッハの家に隣接する新館は、対照的にとてもモダンな雰囲気。
透明なカプセル型の椅子に座り、揺られながらバッハの音楽を楽しみました。
色とりどりの花が咲く中庭に面したカフェでひと休み。バッハ印の小さなチョコレートケーキ「バッハトルテ」をいただきました。バッハのおうちでお茶ができるなんて、ファンにはたまらないでしょうね。
バッハ博物館の近くには、マルティン・ルターが学生時代に3年間暮らした家があります。美しい木組みの家の中には様々な資料が展示され、ルターが住んだ部屋が公開されています。
街の中心にあるマルクト広場には、ルターが説教をし、バッハが洗礼を受けたゲオルク教会が建っています。訪れた時はちょうど市場が開かれていて、広場のカフェやアイス屋さんなどが賑わっていました。
地元の人おすすめのビオのアイスをいただきました。素材の味が生かされたアイスも、香ばしく焼かれたコーンもとてもおいしかったです。ドイツはアイスがおいしい国だということは、以前記事でもお伝えしましたが(>「アイス天国」ドイツのアイス事情とは?【伝統編】)最近はますます進化・多様化していて、手作りコーンのお店も増えています。
アイゼナハの街歩きを楽しんだ後は、いよいよヴァルトブルク城へ!
ドイツは本当にたくさんの城があるお城大国ですが、約1000年もの歴史を秘めたヴァルトブルク城の存在感は、唯一無二のもの。何度訪れても圧倒され、ため息がでます。眼下に広がるテューリンゲンの森の眺望も素晴らしく、「たとえようもなく美しい」と語ったゲーテ先生に完全同意!
お城の前にはこの地方名物のテューリンガー焼きソーセージのスタンドが立ち、香ばしい匂いが……これは食べずには帰れないですよね。
ヴァルトブルク城は、外見もかっこいいけれど、中の異世界ぶりもすごいんです。
ガイドツアーに参加すると、金色のモザイクが輝く「エリザベートの間」、ワーグナーのオペラ『タンホイザー』にも登場する、吟遊詩人の「歌合戦の大広間」、コンサートやイベントも開かれる「祝宴の大広間」など、ドイツ史に輝く伝説の舞台を見ることができます。
なかでも見逃せないのが、ルターが新約聖書をドイツ語に訳した小部屋。10か月の間、この質素な部屋にこもって偉業を成し遂げたルターの精神力に感服せずにはいられません。
今回は隣接する古城ホテルに泊まったのですが、夜になるとちょっと妖しげな雰囲気も加わり、さらに異世界度がアップ。レストランの食事も素晴らしく、忘れられない特別な滞在となりました。
12月に開かれるクリスマスマーケットがまた、ロマンティックで素敵なのだそう。いつか訪れてみたいです。もしかしたら、今年叶うかも?