ゲーテ街道の美味しい旅②『若きウェルテルの悩み』の舞台 ヴェッツラー
ゲーテ街道8都市を西から東へ訪ねるグルメ旅。第2回目は『若きウェルテルの悩み』の舞台として知られるヴェッツラー。木組みの家街道にも属する可愛い町を歩き、美味しいものを探してきました。
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★第1回目フランクフルトはこちら>>
ゲーテ街道の美味しい旅①フランクフルト~ゲーテの生誕地~
ゲーテ街道の出発点となるフランクフルトから電車に乗って約1時間。ヴェッツラー(Wetzlar)は、日本のガイドブックではあまり紹介されることはありませんが、ゲーテの代表作『若きウェルテルの悩み』の舞台として知られる、小さな可愛い町です。
ローマ帝国時代、ヴェッツラーには帝国最高法院が置かれていました。ゲーテは父の希望により、法律実習生として働くためにこの町にやってきます。そしてシャルロッテと出会って恋に落ちるのですが、彼女には婚約者がいたため失恋。その経験を元に『若きウェルテルの悩み』を書き上げます。刊行された本は世界中の若者たちの間でウェルテル現象を巻き起こすほどの人気を博し、ゲーテは一躍有名作家となったのでした。
出版から約250年経った今もで世界中で読み継がれている大ベストセラー。読んだことがなくても、誰もがタイトルは聞いたことがあると思います。
もしもゲーテが死を考えるほど悩んだ失恋体験がなければ、この本はこの世に存在せず、ゲーテは小説家にはならずに法律の道へ進んでいたかもしれません。そうなっていたら、ゲーテ街道なる観光街道が作られることもなく、私がヴェッツラーの町を訪ねることも、きっとなかったことでしょう……美しい町を歩きながら、ふとそんなことを思いました。
ヴェッツラーはドイツ木組みの家街道にも属する町。旧市街には、石畳の小路にメルヘンチックな木組みの家が並ぶ中世の佇まいが残り、『若きウェルテルの悩み』に登場するスポットが点在しています。
若きゲーテ(に扮したガイドさん)に当時のお話をうかがいながら、旧市街を案内していただきました。
ゲーテが恋に落ちたロッテ(シャルロッテ・ブフ)が住んでいた家。
ゲーテは仕事より恋に熱中し、彼女の家へ足繁く通いました。この建物は現在は博物館として公開され、『若きウェルテルの悩み』の各国翻訳版など作品関連の資料を展示。家具や絵画などから18世紀当時の暮らしぶりを想像することができます。
噴水を囲むようにして木組み家屋が連なるコルンマルクトは、町で一番美しい広場。ゲーテが下宿していた家は、現在はステーキハウスとなっています。若い二人もここで語り合ったかもしれませんね。
ウェルテルのモデルとされるのが、ゲーテの旧友カール・イェルザレム。彼が人妻との恋愛に苦しんだ末にピストル自殺した事件をきっかけに、ゲーテは『若きウェルテルの悩み』を書き始めたそうです。
さて。観光の後は、お待ちかねのグルメタイムとまいりましょう。
夕食はホテルに併設のレストランで。前菜は赤ビーツのサラダ。メインは牛の塊肉を柔らかく煮てスライスしたターフェルシュピッツ。オーストリア料理として知られていますが、ドイツでも人気のメニューです。西洋わさびのソースでいただくのが定番ですが、ここではゲーテの好物とされるグリーンソースがたっぷりかかっていました。さすがはゲーテの町ですね。飲み物はヘッセンの地酒、アップルワイン。レモネードで割ると飲みやすく、酸味が苦手な人にもおすすめです。
デザートはアップルワイン風味のティラミス。お酒がかなり効いた大人の味でした。突き刺さっているのはチョコレート。ユニークなデコレーション。
ウェッツラーはゲーテファンでなくても十分楽しめる町ですが、『若きウェルテルの悩み』を読んでから行くと、さらに感慨深いものがあると思います。
また、光学産業の中心でもあり、カメラファンならライカのテーマパークのほか精密機器に関する体験スポットも見逃せません。
ゲーテ街道には、まだまだ知られざる魅力的な町がたくさんあります。次回もどうぞお楽しみに!
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