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子連れでもラグジュアリーステイを クルマ旅で実感した5つ星ホテルの極上サービス

子連れでもラグジュアリーステイを。5つ星の「ホテル・アドロン」(ベルリン)メインエントランス。後方にはブランデンブルク門がそびえる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

子連れでもラグジュアリーステイを クルマ旅で実感した5つ星ホテルの極上サービス

連載「ハローBaby ~子育てABC」<13>

ドイツでメジャーな子供と一緒のアクティビティーのひとつは、旅行。小学校くらいの子供と一緒に旅をするならキャンプが定番ですし、手頃な価格のペンションやアパートメントタイプのホテルで家のように過ごす長期ステイも人気です。でも今回子連れ旅の宿泊先として取り上げたいのは、4つ星、5つ星のラグジュアリーホテル(ステイ)。家族旅を楽しむ素地があるドイツだからこその魅力がきっとあるはず…と、ワクワクしながらチャレンジしてきました。

|きっかけは、期限迫るマイレージ


きっかけは、日独間のフライトなどで貯めたマイレージやクレジットカードのボーナスポイント。夫もわたしも自分だけで使い道を考えればよかった時代は終わり、1歳の息子を含む家族みんなで分かち合える方法を考える必要がありました。そこで思いついたのが、マイレージやポイントで支払うことができるラグジュアリーホテルでの宿泊。フレキシブルに一人旅へとつぎ込むことができなくなった今、期限が迫るマイレージやポイントの消化にうってつけでした。

今回ステイしたのは、4つ星の「ホテル・バイリッシェス・ハウス」(ポツダム)と、5つ星の「ホテル・アドロン」(ベルリン)。どちらもミシュランスター付きのレストランを備えています。前者は湖畔に広がる森の中に位置し、静かな空気と暖かな夜を過ごすのに最適なホテル。山小屋仕立てのレストラン棟がすべてを物語っているように、ジビエや自家製ハム・ソーセージ類が充実し、旬の淡水魚もごちそうです。また後者はブランデンブルク門前にそびえ、ドイツを代表する歴史ある社交空間であり、ホテル。ホテル前には黒塗りのクルマが頻繁の停車し、政治や映画・TVで活躍する著名人を目にする機会も少なくありません。

ミシュランスターが光る「ホテル・バイリッシェス・ハウス」のエントランス Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

ミシュランスターが光る「ホテル・バイリッシェス・ハウス」のエントランス Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA





星数による違いは歴然で、4つと5つでは天と地ほどのサービスクオリティーの差がありました。それぞれ趣旨が異なりどちらのホテルも素敵だったものの、満足度としては前者が「とても良かった」のに対して後者は「驚くほど素晴らしかった」と言えます。

|5つ星のサービスこそ子連れ向き?!


どちらも(わたしたちとしては)ここぞとばかりにほどほどに良いランクの部屋を予約。部屋割は、そんな中でも端っこや端に近い部屋に振られている印象でした。赤ちゃんが部屋ではしゃいだり泣き叫んだりといった自体に備え、ほかのゲストに迷惑がかからず、親としてもマイペースで過ごすことができるよう気遣いがされてるのかもしれません。おかげで各ホテル1泊ずつにもかかわらずのんびりと過ごすことができました。

赤ちゃん連れでは予定は未定。スケジュールを詰め込まずのんびり過ごしました Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

赤ちゃん連れでは予定は未定。スケジュールを詰め込まずのんびり過ごしました Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA





ホテル・アドロンでは、所用があって19:40の到着。ドアマンに駐車場を尋ねるとありかを教えてくれたものの、「荷物ここでおろしますか? 部屋へそのまま運び込みますよ」(ありがたい!)から始まって、「クルマ停めますよ?」(感涙!)とサービスの嵐でした。

赤ちゃんを連れた家族にとって、移動中は様子を見ぃ見ぃ、クルマの場合はちょくちょく休憩をはさみながら進む長旅はエネルギーを使うもの。荷降ろしを「ゆっくりでいいですよ」と手伝い、運び出された息子のパンダのぬいぐるみに「わたしにくれるんですか?」とおどけてみせるドアマンに、さっそく癒やされたのでした。車庫出しも「クルマが必要な30分前にお声がけください」とスムーズ。クルマを受け取ってみると、助手席に水とミントがふたり分置かれていました。感動…。



さらにホテル・アドロンでは、赤ちゃん向けのバスソープやクリームを用意。セットには、ミニミニダックや濡らすと膨らむタオルも含まれていて、お風呂でバシャバシャ楽しむことができました。また、売店でも人気商品の“アドロンベア”(17.50ユーロ=約2,200円)を惜しみなくプレゼント。帰宅後も、息子のお気に入りとなりました。

息子向けのウェルカムセット。“アドロンベア”はその後息子のお気に入りに Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

息子向けのウェルカムセット。“アドロンベア”はその後息子のお気に入りに Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA



不可解だったのは、オンライン予約の際にどちらのホテルも「子連れ、1歳」と選択しているにもかかわらず、最初に補助ベッドが用意されていたこと。例えばチェックイン時に息子を見れば一目瞭然、「これはベビーベッドが必要でしたね。すぐさまハウスキーピングを寄こします!」という結果に。サクサクと変更してくれるので問題はないにしろ、両親共にドイツ人の子であっても息子とはそれほどサイズは違わないと思うのですが…1歳の間に補助ベッドで寝付けるようになるものなのでしょうか?



|プールと朝食はマスト


プールやスパは、子連れ旅でマストな設備かもしれません。大人は移動により凝り固まった体をほぐし、子供は座りっぱなしで楽しめなかったうっぷんを晴らす良い機会です。少しでも体を動かしてリフレッシュをすることができれば、夜の安眠にもつながるというもの。移動が長かった時やストレスが多かった時こそ、プールを訪れてみる価値があると思います。プールから引き上げるまで息子は、名残惜しそうに泳いで(いるつもりになって)いました。

プールやスパは、子連れ旅でマストな設備かも Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

プールやスパは、子連れ旅でマストな設備かも Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA



充実した朝食ビュッフェは、子連れ旅でもハイライト。迷いなく朝食付きプランを選びましょう。ホテル・バイリッシェス・ハウス、ホテル・アドロンのどちらも卵料理やフルーツ、ミューズリ、パンのバリエーションが豊かで、1歳の息子もおいしく食べられるものがたくさんありましたよ。

充実した朝食ビュッフェは、子連れ旅でもハイライト。宿泊は迷いなく朝食付きプランを Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

充実した朝食ビュッフェは、子連れ旅でもハイライト。宿泊は迷いなく朝食付きプランを Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA



子供のための設備やサービスにばかり目が行きそうですが、自分たちが楽しみくつろげることも大切。例えばホテル内にあるアイコン的なバーやミシュランスター付きのレストランは、ようやく子供を寝かしつけた後のお楽しみとしてぴったりです。ホテル・バイリッシェス・ハウスでは、ベビーモニター持参でレストランのディナーをエンジョイ。ホテル・アドロンでは、クローズ間近のレストランに尋ねたところ、オーダーをバーの座席にサーブしてくれるとのことで、息子を寝かせてからでもレストランメニューを食いっぱぐれることはありませんでした。




結果として、自分(たち)へのご褒美としてもパーフェクトだったラグジュアリーホテルのステイ。仮にポイントやマイレージでなかったとしても、連泊でなければ射程範囲内です。これは少なくとも毎年1度は決行しなければと、心に決めるほどの満足度でした。

なおわたしはまだ利用したことはありませんが、子連れ旅行をする人向けにプールやアスレチックなどの子供向け遊戯施設や参加型イベントや預かりサービを備えたキンダーホテルやファミリーホテルというジャンルもあります。欧州の子連れ向け宿泊施設のポータルサイト(kinderHOTEL.info)で探してみると、ドイツ国内にはそういったホテルがおよそ120施設。わたしの住んでいるノルトライン・ヴェストファーレン州にもいくつかあるようなので、ご褒美とまでは言わず気分転換に出かけてみるのもいいかも!

シュルテ柄沢 亜希

Aki SCHULTE-KARASAWA ● 1982年生まれ、ドイツ・ドルトムント在住。フリージャーナリスト。執筆ジャンルは自転車・アウトドアアクティビティ、スポーツ、旅、食、アート、ライフスタイルなど文化全般。幼少期の5年間をハンブルクで過ごしたことがアイデンティティのベースにある。好きなものは、ビール、チーズ、タマゴ――ワイン、日本酒、ウイスキーも大好き。ランニング、ロードバイクライドにてカロリーを相殺する日々。ブログ「ドイツのにほんじん」に日記をつけ、産経デジタル「Cyclist」、三栄書房「GO OUT」などで執筆中。

シュルテ柄沢 亜希