【今週のドイツ語】unter dem Pantoffel stehen
歩き始めた時から毎日お世話になっている靴。日本では今日、靴の記念日だそうですね。
外では靴ですが、家の中で履くのはスリッパ。履くものつながりで今週のドイツ語はスリッパを使った表現です。
unter dem Pantoffel stehen
ウンター・デム・パントッフェル・シュテーエン
Pantoffelが「スリッパ」、stehen は「立つ」とか「居る」とかいう意味で、unter dem Pantoffelで「スリッパの下」。「スリッパの下にいる」って、いったいどういうことでしょう?
これには、結婚にまつわる古い風習が関係しています。ドイツには、結婚式の夜、新郎と新婦が互いに足を踏み合い、どちらか先に相手の足を踏んだほうが家庭で主導権を握るようになる、という言い伝えがあります。家の中だから、ふたりともスリッパをはいている・・・だから、相手のスリッパで足を踏まれた方が、相手の「尻に敷かれる」、相手に「頭が上がらない」というわけです。
また、女性が家にいて男性が働きに出かけるという役割分担が比較的はっきりしていた昔のこと、スリッパは家にいる女性、主婦を連想させる単語でもありました。奥さんが旦那さんに不満があると、スリッパを脱いで振りかざすというイメージも強かったため、「スリッパに踏まれている」という表現が「妻に頭が上がらない夫」という意味として今に伝わっているのです。
今の世の中、スリッパはもう女性の象徴とは言えませんよね。でも、女性が強くなったという意味では、やっぱりこの表現、これからも使われ続けていくのかも。
©ドイツ大使館 今週のドイツ語