【今週のドイツ語】das schlägt dem Fass den Boden aus
突然ですが、黄金色に輝くシュワシュワとした飲み物と言えば?
もちろんビール!ビールに対するドイツ人の思い入れは相当なものです。
そして今日は3月8日、3(サン)と8(ハチ)で(ビール)サーバーの日なんだそうです。
今週のドイツ語もビールに関する慣用句を!
das schlägt dem Fass den Boden aus!
ダス・シュレークト・デム・ファス・デン・ボーデン・アウス!
Fassは「樽」、Bodenはここでは「樽の底」。
直訳すれば「樽の底を打ち抜く」ですが…?樽というのは当然、ここではビールの樽、ビヤダルを意味してます。なんだか穏やかではないですね。
この表現、「いくら何でもひどい話だ!」「ちょっとそれ、あんまりじゃない!?」というふうに、感嘆詞付きで(それも気分として3つぐらい???)叫びたくなるようなときに使われます。本当に腹が立って怒りが爆発しそうなときに口を突いて出てくるようです。でも何で樽なんでしょう。
この慣用句の誕生にはいくつかの説がありますが、面白いのはドイツならではのビールの法律に関するもの。
時は16世紀、当時はビールに香りつけの薬草や果物などいろいろな材料を使用することも多く、品質が一定しないばかりか、毒性のある植物の混入などもあったと言われています。そこでバイエルンではヴィルヘルム4世が1516年に「ビール純粋令」を制定。この純粋令、ビールには麦芽とホップと水(後に酵母も)しか入れてはならぬという厳しい決まりでした。これは現代にも生きていて、ドイツビールの品質を守っている大切な法律です。
この法律が制定された当時、醸造業者がきちんと製法を守っているかどうか非常に厳しくチェックされました。もし違反して麦芽とホップと水以外のものを混ぜていることが分かれば、すぐさまそのビールは廃棄処分。その方法は「樽の底をハンマーで打ち抜」いて、ビールを地面に流してしまうというものでした。
不正を見つけたら激怒して樽の底を打ち抜く。そこから、「樽の底を打ち抜く」結果が待っているほどひどい状況を見た時の怒りの表現として、こういう言い回しができたということです。
でも、せっかく作ったビールの樽底を打ち抜くなんてもったいない。
だんだん春めいてきて、金色の麦の炭酸が喉においしい季節。
穏やかにいきましょうよ、ビールサーバーから神泡注いで、ね!
©ドイツ大使館 今週のドイツ語