『ドイツでの大学生活は日本と何が違うのか?』
こんにちは!
夏が近付き気温が上がってきているせいか寮の中に突然アリが大量発生して、約3日間アリと闘っていた藤井里奈です。
5月になり、私がいるハイデルベルク大学では中間試験が行われています。今回のブログではドイツの大学に通い始めてから約9か月間でわかったドイツでの大学生活について日本の大学生活と比較しながら詳しく紹介したいと思います。
※これらはあくまでも私の通っているハイデルベルク大学における話であり、全てのドイツの大学や大学生に当てはまるわけではありませんのでご了承ください。
①学費が無料
これは以前ブログにも載せましたが、ドイツの大学は一部の州を除いて基本的に学費が無料です。私の通っている大学では、交換留学生が収める最低限の額は一学期当たり75ユーロ(施設利用料など)、正規生は165ユーロです。場合によっては語学やスポーツの授業だけは別途受講料がかかる場合もあります。
②在籍する学生の国籍や世代が様々
ドイツに限らず海外の大学では当たり前のことなのかもしれませんが、大学には国籍や年代を問わず様々な人が在籍しています。例えばゼミで私が一緒にプレゼンテーションを行った人は20歳と18歳の子供がいるお母さんでした。他にも(特にゼミには)働きながら学んでいる人やなんと孫が既にいる人もいて驚きました。日本ではあまり想像がつきづらい光景ではありますが、個人的には同じ世代だけでなく違う世代の人との交流も当たり前のようにあるというのはとても良いことだと思っています。
また、外国人留学生の数もとても多いです。様々なバックグラウンドを持った人と交流することで得られる新しい価値観や学びは生涯の財産ですが、それ以外にも教授が外国人留学生に慣れていて的確に対応してくれるという長所もあります。
③履修登録がない
大学のシステムとしての大きな違いは、履修登録や履修中止における統一した制度がないことです。日本の大学では一斉にインターネット上で抽選科目に申し込んで履修登録を行ったり、決まった期間に履修を取りやめる履修中止制度などが存在しますがドイツの大学ではその全てが担当教授に一任されています。教授に直接メールして参加の意思を伝える場合や、最初の授業に参加してそこで署名をする場合、もしくは最初の授業に参加した人の中で抽選を行う場合や、専用のインターネットフォームで登録を行う場合などがあります。日本の大学以上に全てが自己責任となります。
④授業の形式が様々
さらに授業の形式も様々です。一般的に授業はÜbung(一般の授業を履修する前の練習)・ Tutorium(先輩学生による補習授業)・Vorlesung(フォアレーズング/講義)・Seminar(ゼミナー/ゼミ) に分けられます。ゼミだけでもProseminar(プロゼミナー/初級のゼミ)・Hauptseminar(ハウプトゼミナー/上級のゼミ)・Projektseminar(プロジェクトゼミナー/一つのプロジェクトを行うゼミ)・Oberseminar(オーバーゼミナー/大学院生用のゼミ)など細かく分かれているため、「誰のための」「何を目的とした」授業なのかを見極める必要があります。
また、教授が一方的に話す授業は少なく、どの授業でも学生の積極的な参加が望ましいとされています。何かにつけ議論好きと言われることの多いドイツ人ですが、それは学びの場でも顕在していると言えます。
⑤テストの形式も様々
授業の形式が様々なのに加えてテストの方法も多岐に渡ります。レポート、プレゼンテーション、筆記試験などは日本にもありますが、ドイツには語学の授業でなくても口頭試験がある場合があります。口頭試験では質問をされてから考える時間が短いのと、筆記試験のように見直しができないため私はあまり好きではないですが、自分の考えを人に明確に伝えたりすることでインタビュー慣れをするにはいいかもしれません。
…ここで勉強に関する写真を載せたかったのですが、これといった写真は見つかりませんでした。それだけ勉強に集中していたということにしておきましょう(^-^;
⑥全体的に授業数が少ない
日本の学生とドイツの学生の一番の違いとも言えるのが、ドイツの学生の方が圧倒的に自分のことに使える時間が多いことです。労働面においても効率化による労働時間の短さが有名なドイツですが、それは勉学面においても言えます。日本の大学で一学期に取る授業の平均が10~14個の授業だとすると、ドイツでの平均は5~9個程度です。ドイツ人からすると私が参加している授業の数は多いらしく(それでも10個ですが)、ゼミの先生に「あなたはどうしてそんなに生き急いでいるのか?」と問いただされました(笑)
⑦アルバイトをしている学生が少ない
上記の理由に加えて彼らに時間があるのにはアルバイトをしている学生が少ないという理由が挙げられます。日本では大学生になるとアルバイトをすることが主流ですが、ドイツではかかる学費や家賃が少ないためか、日本と比べるとアルバイトをしている学生が圧倒的に少ないです。もちろん、大学の中の図書館や飲食店などで働いている学生もいますが、労働時間は短いです。その代わりPraktikum(プラクティクム)と呼ばれる日本でいうところのインターンシップを企業で行いながらお金を稼いでいる人もいます。
⑧ホームパーティーが多い
それではこの自由な時間をドイツの学生は一体何に費やしているのでしょうか?
一つの授業に対して出される宿題の量は半端ではありません。私が参加しているゼミでは、先生はとても優しいのに莫大な量の課題を笑顔で学生に与えます。課題のほとんどは文献を読んで自分の意見をまとめるものや、授業で習ったことに基づくエッセイなどです。私がどんなに必死になってやってもその何倍も上のレベルを行く他の学生の姿を見ると、彼らも授業外でたくさん学んでいるのだろうと実感します。
しかし、夕方になるとお酒を飲みながら友人とたわいもない話を夜までしたり、週末にはホームパーティーを開いたりします。ドイツではWG/Wohngemeinschaft(ヴェーゲー/ヴォーンゲマインシャフト)と呼ばれるシェアハウスに住む学生が多く、その住居人も合わせたパーティーをお互いの家で行ったりします。あとは留学生とドイツ人の交流を目的とした団体によるパーティーも毎週のようにあり、サークルや部活が日本ほど存在しないドイツではこれが交友関係が広がるきっかけにもなります。
⑨様々な待遇を受けられる
日本にも学割といったサービスがありますがこれはドイツにもたくさんあります。具体的には交通機関の定期券や家賃、飲食店や博物館での割引サービスなどです。日本では大人か子供、もしくは学生といっても高校生までが対象のことが多いですが、ドイツでは大学生までを割引の対象にしている場所が多いです。
特にハイデルベルク大学は昔からの学生町なだけあって、学生食堂は24時まで、そして図書館は1時まで開いていますし(19~20時には飲食店以外のほとんどのお店が閉まるドイツでこの営業時間はまずありえません!)大変学生に優しい町だと言えます。
以上ドイツでの大学生活について私の視点から書いてみました。日本と同じようで違う点も割と多いです。ここまで読んでみてドイツの大学生活に自分は合うかもしれないと思った方はぜひドイツに留学して実際に目で見て確かめてください。年代や国籍など関係なく、きっと質の高い学びを受けることができるでしょう。
藤井里奈