インターンシップから内定を目指す大木さんの例 :「スタートアップ」という選択
みなさんこんにちは、ベルリンからワーホリ情報を発信しているwasabi(@wasabi_nomadik)です。
前回ウェブデザイナーとしてフリーランスで働く牧田さんの事例やアウスビルドゥング制度を利用する高田さんの事例を取材したところ、思ったよりも反響が大きかったため今後も積極的にワーホリを有効に活用している方々の取材を続けていこうと思っています。
早速今回はワーホリビザで「スタートアップ企業」でのインターンを経験中の大木慧さんにお話を伺いました。
そもそも「スタートアップ」という言葉に耳慣れていない方もいらっしゃると思います。
スタートアップ企業とは日本で言うところの「ベンチャー企業」と言えば分かりやすいかもしれませんが、一般的に安定した長期的な経営を目指して行くことが多いベンチャー企業に対して、スタートアップは「新しいイノベーションを提案し、世の中に変化を与えて行くこと」を目的として急激に成長する事を狙っています。メンバー構成はベンチャー企業同様に小規模で、少数精鋭で一気に一攫千金を目指します。実は、ベルリンにはスタートアップ企業が多く、昨年は出資額が日本円で約2700億円(€2 Billion)を超え、ロンドンのそれを追い越してしまった程今最も勢いのあるシーンなのです。
大木さんは、そんなドイツのスタートアップ企業の中でも、今春「最も成長が著しいスタートアップ企業」として表彰された陸上移動サービスを提供する会社「Blacklane」でインターン生として働いています。
大木さんはベルリンに来る前は日本で半導体商社で4年間営業職に就いていました。そこで携わったドイツのデュッセルドルフの会社とのやり取りを通じて、当時からドイツ人の働き方やドイツの会社に魅力を感じていていたそうです。
「前からドイツにもドイツ語にも興味があって、ワーホリすることにしました。ベルリンに来る前はスタートアップが今熱いということは知らなかったんです。でも自分の使っている好きなアプリがベルリン発だったりして、スタートアップで働いてみたいと思うようになりました。」
スタートアップで働く事との魅力は、共通言語が英語であること、そして世界中から色々な国籍の人々が集まっているその国際色の豊かなメンバー構成だと大木さんは言います。
「一から会社を立ち上げて来たメンバー達だからなのか、同僚というよりは友達や家族みたいな感覚です。オフィスにはいつもフルーツや飲み物も置いてあって、自由に食べていいんです。毎週金曜日にはみんなで飲みに行ったり本当に毎日楽しいですよ!」
急成長を狙うスタートアップは概して決定のスピードが早く、社員間の信頼やコミュニケーションがいかに重要視されているかが分かります。
また、なんとなく福利厚生が充実していないようなイメージがあるスタートアップですが、大木さんの会社では、社員と行う週末のアクティビティー費用を負担してくれたり、ドイツ語の授業まで提供してくれるなど、本当に至れり尽くせり。また、彼女の働くBlacklaneのメンバーは世界30カ国から集まっているため、会社が必要と判断した人材に対しては労働ビザのサポートなどもしっかりと手慣れた対応をしてくれるそうです。
「私が現在働いているのは6ヶ月の有給インターンシップです。これを終了すると、修了書がもらえるのでそこから労働ビザを取って正社員になる道を目指しています。」
ワーホリで滞在しながら、こういったステップアップの方法もあるのかと感心させられます。
しかも大木さんのインターンは有給なので、インターン生として経験を積みながら生活もできるそうです。求人はネットで「Startup Berlin Jobs」といったキーワードを入れるとたくさん出てくるので自分の適正に見合ったお仕事があれば応募してみるのも良いと思います!その際、事前にインターンシップが有給か無給なのか確認しておくことは大切です。
「興味はあるけど、日本の会社でしか働いたことがない自分もできるのか・・・?」と不安に思う方は多いと思います。しかし大木さんいわく、「日本の仕事は大変だけれど、世界で通用する」のだそうです。
「私は営業職でしたが、ドイツの営業職って本当にセールスしかしないんです。日本の営業職は請求書だって作るし(マーケティング)、カスタマーケアもするじゃないですか。だからアピールするポイントはたくさんあると思います。私は、お客様へ電話対応する時に特別に印象の良い声を出せる事をアピールしましたから!"I have a professional voice!"って(笑)」
大木さんはマーケティング部門に属し、オンラインマーケティングを担当しています。
特に、日本でもっと会社を知ってもらうため、FacebookやTwitter等のソーシャルメディア、Google等のサーチエンジンを使った、様々なマーケティングキャンペーンを企画、実行しているとか。なんだか面白そうですね!
エンジニア等の理系のお仕事は専門性がはっきりしており、常に人材が不足しているのでそこまで職探しには困らないかもしれませんが、色々な業務をこなす日本での営業職で得たマルチな能力を最大限にアピールしてお仕事を勝ち取った大木さんの前向きな姿勢には見習うべきところがたくさんあります。
特にスタートアップは少数精鋭なので、一人一人が色々な役割をこなす必要があるそうです。
その点、日本での働き方に少し似ている部分もあり、自分で考えて行動するという姿勢さえあれば日本の会社で働いた経験は十分に生きるのはないでしょうか。
チャレンジ精神のある方はワーホリ滞在中にスタートアップ企業に関わってみるのも、とても良い選択肢だと思います。
興味の有る方はベルリンのスタートアップシーンについて調査してみても面白いかもしれませんよ。
■Blacklane GmbH 詳細
Blacklaneは2011年にドイツ・ベルリンで創設された、陸上移動サービスを提供する会社。
ユーザーは、当社のウェブサイトまたはモバイルAppより、日時及び出発地・目的地を入力し、ニーズに合った車種を選択すると指定の日時と出発地に提携パートナーのドライバーが迎えに上がる仕組み。上質な車種を揃えており、特に出張や接待が多いビジネスパーソンに好評を得ている。日本でも、東京で2013年末よりサービスを開始。
【About “wasabi”】
2014年獨協大学を卒業後フリーランスのライター・翻訳家としてドイツ・ベルリンを拠点に活動中。
ブログ「wsbi」ではより詳しいワーホリ関連情報とフリーランス関連情報を発信中!
ドイツで見つけた日本文化を紹介するTadaimaJapanでの連載、「ドイツで日本発見!」もお見逃しなく!