自分の国は笑ってこそナンボ
最近色んなテレビ局で「日本はこんなにすごい!」という番組が流行ってますね。
私自身、「海外から見た日本」に関する話題はご存知の通り好きなので、
「海外から見た日本」とか「内側ではなく『外』から見た日本」という視点は面白いと思ってます。
ですので、私自身もこういう番組はよく見るのですね。
私自身に関しては、日本とドイツのハーフなので、自分で言うのもおこがましいですが、
「内側からの視点」と「外側からの視点」の両方を(ある程度は)持ち合わせていると思います。
どうしてもお声がかかるのは
「内側からの意見を発してほしい」ではなく「外側からの意見を発してほしい」なんですけどね。
それはさておき。
日本に限らず、「異文化」や「異文化あるある」を語る時、そして自分の国を他の国と比べる時、自分の国を賛美するのもいいけれど、実は私は「自分の国だからこそ、自分の国を笑ってナンボ」だと思っていたりします。
自分の国は大好き。その「大好き!」を発信する時に「我が国は素晴らしい!」と率直に言うやり方もあるけれど、私はもう少しひねくれているので、例えば私自身、自分の出身国であるドイツは大好きですが、「ドイツ」を発信する時は多少自虐的になったりします。
こちらのコラム「日独ハーフの視点」でもドイツをだいぶ自虐したものもありますし、現在発売中の「満員電車は観光地!?」(宣伝すみません!)という私が原作のコミックエッセイでも色んな国を取り上げていく中で、「ドイツ」はかなり自虐的な登場の仕方をしています。
「ドイツ人って、こうなんだよ」と伝える時に、ドイツ人を率直に賛美するというよりは、いっけんその逆をいく「おちょくる形」(自虐)で書かせていただきました。なので、パッと見た人は、もしかしたら、驚かれるかもしれません。でもあれは「愛ある自虐」なんです(笑)なので賛否両論あるかもしれませんがドイツファンの方々にもぜひ読んでいただきたいです。
「満員電車は観光地!?」には少々頭がカタいドイツ人(つまりはガンコ)が頻繁に登場しますが、私自身も頭がカタい(はい、わかってます)ので、おかしいですけれど、自分が書いたエピソードを読みながら、自分も気をつけなきゃ、、、なんて思うのでした。
たとえばドイツには、ドイツ語の言い回し“Wir sind ja nicht aus Zucker!“(和訳「我々は砂糖でできているわけではない」)をかたく信じ、雨に濡れても身体が溶けるわけではないのだから、と頑なに傘をささないドイツ人が多いですが、そういった「傘エピソード」も載っていますので(29ページ)興味のある方はぜひご覧ください。
ちなみに、個人的には33ページに描かれているドイツのオバサンが迫力あって好きです(笑)が、これは同時にそうなりつつある自分への警告でもあります(苦笑)
「ドイツに関する自虐」はドイツ人である私だからこそできるのかな、なんて思ってます。どこまで受け入れられるのかはわからないですけど・・・
それにしても「ドイツ」に限らず、色んな国の人と話をしていると、感じるのは、「自分の国のことを笑える人」は強いな、ということ。今回、アフガニスタン、イラン、レバノン、ガーナ、カメルーン、ギニアなどヨーロッパ以外の国の方々にも取材をしたのですが、皆さん自分の国を愛しているからこそ一歩引いた目で自分の国を見ていて自分の国の様々なエピソードについて、皆さんご本人が笑っているのですね。彼らの姿を見ていると、本当の意味で愛国心がある人こそ心に余裕があるので自分の国のことを笑えるのだな、と感じます。まさに「愛ある自虐」ですね。
最近の日本のマスコミにおける風潮「日本はこんなに素晴らしい!」「日本はこんなに世界から絶賛されている!」というトーンも否定はしませんが、もう少し心の余裕をもって「愛ある自虐」ができればもっと強いと思います。
自分や自分の国のことこそ笑ってナンボですからね。それぐらいの余裕があったほうが自分自身も楽になれますし、他の国の人にも受け入れられやすかったりします。
私自身、これからもドイツ、そしてもう一つの祖国である日本について「愛ある自虐」を書いていこうと思いますので、これからも気が向いたらぜひお付き合いのほど宜しくお願い致します。
サンドラ・ヘフェリン
P.S. ドイツやドイツのパンに興味のある方!こんど9月16日(火)の夜22:25時からNHK(Eテレ)で放送される「テレビでドイツ語」をぜひご覧ください。「パン屋さん」のコーナーのドイツ語ナレーションは私サンドラがやらせていただきました。