シーラッハ著『犯罪』のブレイク以降、「ドイツミステリ」という言葉が日本に浸透しました。ミステリを代表とする知的エンタメ文芸は、社会・時代・人間のあり方を映し出す良い材料です。マライ・メントラインがご案内しながら考えます!
- 2015.03.03映画『パリよ、永遠に』:パリ解放を描く究極の心理劇!
第二次世界大戦終盤。 ヒトラーから「パリを死守せよ。もし撤退するなら徹底的に破壊せよ!」と厳命を受けたパリ防衛司令官フォン・コルティッツ将軍のもとに、パリ駐在スウェーデン総領事ラウル・ノルドリンクが現…
- 2015.02.20今期ドイツ翻訳文芸最大の問題作:シーラッハ『禁忌』の真価とは!
2015年、翻訳ドイツ文芸界最初の衝撃は、「あの」フェルディナント・フォン・シーラッハの『禁忌』(原題:TABU)の出版であるといってよいでしょう。 シーラッハはドイツ文壇の言論人として強力な影響力を…
- 2015.01.18単なる傑作よりも「問題作」を選ぶ日! の巻
2015年、いまさらですがあけましておめでとうございます! さてさて前回の北欧ミステリーフェスリポートにて予告したとおり、新春初回の本稿、お題はスウェーデンの巨匠、ヘニング・マンケルの『北京から来た男…
- 2014.12.16潜入!北欧ミステリーフェス2014!【天の巻】
そういえばこの連載のスタートの頃、北欧ミステリがドイツミステリの師匠でありベンチマークであり、文学とエンタメの境界接近のきっかけであった、という話をしました。ドイツ国産ミステリの進境が著しい昨今ですが…
- 2014.11.06旧世代ドイツミステリの逆襲!【沈黙の果て】Byシャルロッテ・リンク
以前本稿にて、「北欧ミステリ上陸以前」の旧世代ドイツミステリの類型としてシャルロッテ・リンクの『姉妹の家』を取り上げて、というかおもいっきり厳しい評価をしたことがあります。 ノイハウスやクッチャーに代…
- 2014.10.18歴史映画で知的探究心を刺激してみる!【シャトーブリアンからの手紙】
2014年秋、日本にて、『シャトーブリアンからの手紙』という映画が絶賛公開されます。詳細についてはこちらをご覧ください。内容を端的に申し上げると、 ①第三帝国が占領下フランスで犯した大量処刑事件(抗独…
- 2014.10.01達人×達人の相乗効果が生み出してしまう衝撃とは!
2014/9/13、いまだ猛暑の季節が明けきらぬ東京・新宿のグローブ座にて、なんとも興味深く魅力的なアートイベントが実行されました。日本を代表する名優のひとり、橋爪功によるフェルディナント・フォン・シ…
- 2014.09.09大いなる矛盾には、大いなる直視を!
いま(2014年9月時点)、国際世論をそこそこ賑わす話題のひとつに、「脱原発+再生可能エネルギーシフト」を志向するドイツのエネルギー政策をめぐるゴタゴタがあります。ご存じない方は、「再生可能エネルギー…
- 2014.08.06『沈黙を破る者』は、実際には何を「破った」のか?
酒寄進一さんの超人的な(いや、彼は実際に超人なので「的」は不要だ!)翻訳活動の成果というべきか、最近は「ドイツミステリ」という言葉がけっこう文芸界に浸透してきたようで、新刊のオビにも大書されていたりし…
- 2014.07.30『帰ってきたヒトラー』~「色物に見せかけて実は本格」こそ普遍への近道?
2014年7月4日、日独協会の主催で、ドイツ業界にあってはけっこう大胆な試みといえる トークセッション:小説『帰ってきたヒトラー』を語る が実行されました。 関係者が内心恐れていたナチス信奉者の乱入&…