ハーフはかわいい?
世間には「ハーフ=かわいい」というイメージが浸透しているみたい。テレビや雑誌にはベッキーや滝川クリステルのような綺麗なハーフがいっぱい出ているからその影響かな。ただその分、現実社会のハーフがある意味生きづらくなっている部分もあるんだ。ベッキーなんかを見て、みんな「ハーフはかわいいんだ〜!」と思うでしょ。そのせいか、芸能界とは無縁の普通に生活しているハーフも何かと周りから容姿について言われる事が多い。「ハーフなのに顔が全然外人ぽくないね。日本人顔で、もったいない!!!」とか。「日本人顔」がどうして「もったいない」事になるのか、不思議なんですけどね。
あとは普通に会社員をしているハーフがぽっちゃり体型だったりすると「痩せてモデルになればいいのに。ハーフなのにもったいない。」と言われたりね。ハーフは何かと「もったいない」と言われる事が多い。この「もったいない」については次回また詳しく書きますが、容姿に話を戻すと、飲み会なんかでお酒が入ると、「ぶっちゃけ、ハーフなのに、なんでかわいくないの?」なんて聞いてくる人もいたり…。「公務員や会社員になりたい」とか「平凡に生きたい」というハーフも多いのだけれど、周りがそれに疑問符を付けることも多い。テレビの影響や想像で「ハーフは華やか」ないしは「華やかであるべき」という考えが広まっちゃってる。だから期待を裏切るハーフに世間は冷たい。
もうひとつ、ハーフの顔立ちについて。日独ハーフは「ドイツ人寄り」の顔立ちのハーフもいれば、「日本人寄り」の顔立ちの人もいるし、本当に「真中」(←ドイツと日本の真ん中、という意味)のハーフもいる。一概にハーフと言っても、色んな顔の人がいるので、ハーフだからといって今流行りの「ハーフ顔」的な顔立ちだとは限らない。まあ、それぞれのハーフの親が違う顔をしているので、生まれてきた子もそれぞれ違う顔をしているのもある意味当たり前ではあるのだけれど。
そうそう、日本×ドイツのハーフも含めて日本×欧米のーフの場合、中東っぽい顔になることも多いんだけど、その事に対して「え〜?!(困惑顔)ドイツと日本のハーフっていうより、顔が濃くてイラン人みたい!」などとと言う人がいる。これはイラン人に対してかなり失礼だと思うんだけど。その他も「え〜?(またまた困惑顔)ハーフっていうより東南アジア系の顔だよね〜。なんかさ〜、フィリピンっぽくない?」とか。なんだか嫌な感じ。何が嫌かって、言っている人の価値観や差別意識が露骨に見える瞬間だから。欧米>日本>中近東>東南アジア、みたいなその人の頭の中の勝手なヒエラルキーを押し付けられた気がして悲しくなる。悲しいことに21世紀になった今でも「白人の方が中東の人やアジア人より”ランク”が上」という考え方があるみたい。
ちなみにウチの弟は私と同じ日独ハーフで、どちらかというと日本的な顔立ちなのね。で、「え〜??! 全然ドイツ人に見えない! お父さんがドイツ人だなんてぜっんぜん分からない〜」なんて本人の前で大きい声で言う人がいてビックリ。
いろいろ書いちゃったけど、ハーフはなにかと容姿や顔立ちで判断されやすいのは確かみたい。普通に生きたい、地味に生きたい、目立ちたくない、と思っているハーフでも、容姿について周りの人にいっぱい言われちゃうから大変。そしてそれがハーフの現実だったりします。下手に反論しちゃうとKY(空気が読めない人)になっちゃうしね。
自分や周りのハーフのこういった経験から、私も人の容姿についてアレコレ言うのは避けたいな、と思う今日このごろです。ハーフに限らず、自分の容姿についてはみんな胸の中が複雑だったりすると思うしね。
サンドラ・ヘフェリン
ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴12年、著書に「浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ」(光文社)など5冊。自らが日独ハーフである事から、「ハーフ」について詳しい。ちなみにハーフに関する連載は今回が2回目。趣味は執筆と散歩。目黒川沿いや碑文谷をよく散歩している。