ピクトプラズマ ベルリン 現代のキャラクターデザインの祭典
毎年一度春に行われるPictoplasma Festival Berlinには、イラストレーション、アニメーション、グラフィック・デザイン、アーバン・アートなどの分野の、デザイナーやアーティストが、世界中からベルリンに集まります。ピクトプラズマでは、現代のキャラクターデザインの、最新トレンドを見ることができます。
私はこのフェスティバルのことは知っていましたが、キャラクターデザインとは何なのか、はじめは全く知りませんでした。でもよく見ていると、この特別なジャンルが理解できるようになりました。キャラクターデザインとは、様々なキャラクターをビジュアル化することです。キャラクターのほとんどは想像上の存在で、ファンタジーを駆使して作られています。キャラクターの性格を形づくる様々な特徴、例えば口や目などが、キャラクターに人格を与えます。また同時に、それが感情や感覚を表現するのです。キャラクターはちょっと漫画の登場人物に似ていますが、ほとんどの場合は表現がもっと単純化されています。
フェスティバルでは、カンファレンス、ワークショップ、制作関係者との座談会が行われるほか、たくさんの映画が上映され、展覧会も2つ開催されます。
その中で関心を集めたイベントは、「Form Follows Empathy(感情移入が形態を生む)」をモットーに開かれた、オープニング展でした。このモットーの意味は、いま信奉されている機能主義から脱して、全てのインターアクションの基本として、感情移入の感覚がもっと強調されるべきだ、というものです。展示されていたのは、スカルプチャー、ペインティング、プリント・アートや、世界の40人以上のアーティストが寄せたエディション作品でした。
キャラクターは、ほとんどがデジタル技術で作られていますが、オープニングの動画を提供した
Lucas Zanottoのように、アナログで制作されたものもあります。生命のない石に目玉を2つ貼りつけるだけで、急に感情が表現されるのは、面白いと思いました。
Stefano Colferaiも、ユーモアのある作品を寄せていました。練り消しやクレイでフィギュアを作り、そのあとコンピューターを使って映像を制作しています。
いちばん気に入ったSticky Monster Labは、ソウルからやってきた、ジャンルにとらわれないデザインチームです。有名なレコードジャケットをベースにして、小さな「モンスター」を作っています。どんなレコードジャケットがベースになっているか、わかりやすいですね。私が一番気に入ったのはもちろん、クラフトワークのジャケットをベースにした作品です。
日本からの出展としては、長野出身の下田ひかりの作品があります。このアーティストは、イラストレーションと古典的なペインティングの技法を組み合わせています。その作品では、現実と想像が混在し、恐怖感と子供の可愛さがぶつかり合います。このアーティストは、日本のポップカルチャーに影響され、漫画やアニメからインスピレーションを得ています。
オープニング展は、ヴェディング地区の、以前は火葬場だったサイレント・グリーンという、特にエキサイティングな場所で行われました。歴史的建造物に指定されたこの建物は、2002年以来閉鎖されていましたが、約2年前から、既存の組織に属さずジャンルを問わない、アートとカルチャーのセンターに改築されました。サイレント・グリーンには事務所やアトリエがあり、イベントや展覧会のための十分なスペースもあります。今年の夏、正式にオープンする予定です。
秋にはピクトプラズマ・アカデミーがベルリンで開催される予定で、今から楽しみです。秋のイベントも同じようなコンセプトですが、美大などの卒業生や若いデザイナーに焦点を当て、アーティストとして仕事を始めるサポートをします。まだ参加者を募集中です。今からわくわくしています!