ドイツ横断クリスマスマーケットめぐり【東部・前編】
毎冬恒例のクリスマスマーケットめぐり。今年もドイツをマラソンのように横断しながら10か所以上をまわりました。どの街のクリスマス市もそれぞれに魅力があって全部良い!と改めて実感。各地で味わったグルメとともに駆け足でふり返ってみたいと思います。
前回の記事はこちら
前回の西部編に続いて今回は東部編をお伝えします。
クリスマス文化の故郷といわれる東部のマーケットはどんな感じなのでしょう。
■ドレスデン
シュトゥットガルト(ドイツ最大)、ニュルンベルク(ドイツで最も有名)と並んでドイツ三大クリスマス市のひとつに数えられるドレスデン(ドイツ最古)。
じつはドイツ最古のクリスマス市には諸説あって、この後に訪れるバウツェンのクリスマス市と「どっちが最古か争い」があったりもしたのですが、2015年の調査機関の発表によると、1434年から続くドレスデンのシュトリーツェルマルクトは「文書に記録されたドイツ最古のクリスマス市」で、1384年に始まった肉市場が起源のバウツェンのヴェンツェルマルクトは「年代記に記されたドイツ最古のクリスマス市」と、どちらも最古ということで決着がついています。
シュトリーツェルマルクトのシュトリーツェルとは、シュトレンを表す古い名称。
ドレスデンはシュトレンの故郷として有名で、毎年盛大なシュトレン祭りが開かれるなど街のシンボルとなっています。
会場となるアルトマルクト広場には、ギネスブックに世界最大と認定されているピラミッドやシュヴィップボーゲン(半円形のクリスマス飾り)が立ち、伝統的なクリスマス市の雰囲気でいっぱい。
屋台グルメも定番フードから郷土料理までよりどりみどりです。
ドレスデン近郊にある某有名ワイナリーのグリューワインが味わえるのも東部ならではの楽しみ。
(同ワイナリー直営スタンドは今回まわった東部のほとんどの街で見かけました)
ドレスデンではフラウエン教会のまわりや新市街ノイシュタットなど10か所以上でクリスマス市が立ち、東部では珍しくクリスマス後も延長開催しているところも多いです。
ドレスデン城の中庭Stallhofで開かれる中世市は「Rauhnächte」と名前を変えて1月6日まで開催中(12/31と1/1はお休み)。
Rauhnächteとはクリスマス後から新年1月6日公現祭までの十二夜のことで、この世とあの世の扉が開く神聖な時期とされているそう。
薄暗い灯りのなかに浮かび上がる占い師や鍛冶屋の屋台…妖しげな雰囲気のなかで幽霊や悪魔(に扮した人)に出会ったりと異世界体験ができます。
■バウツェン
ドレスデンから電車で約1時間のバウツェンは、少数民族ソルブ人が多く住む街。
街にある表記はドイツ語とソルブ語の2言語で併記され、独特の異国情緒が漂っています。
1384年に始まった肉市場が起源というヴェンツェルマルクトは、古き良き伝統がそのまま受け継がれたようなマーケット。
都会の大規模なクリスマス市の派手さは無いけれど、素朴で手作りの温かみが感じられる素敵なクリスマス市でした。
ほのぼのとしたオープニングでは子供たちの合唱が尊くて思わず感涙。
東の果ての小さなクリスマス市で号泣するアジア人女性はまあまあ奇異な存在だったかもしれませんが、ここは多様な文化が共存する街バウツェン、またの名をブディシン。
皆さん温かい目でみてくださるのでした。
ドイツのクリスマス市めぐりをしていると心が震えるような瞬間があるのですが、今回は特に東部でぐっとくることが多かったです。
■ゲルリッツ
バウツェンからさらに東へ電車で30分のゲルリッツは、ポーランドとの国境の街。
『グランド・ブダペスト・ホテル』ほか数多くの名画の舞台として有名で、ハリウッドをもじって「ゲリウッド」とも呼ばれています。
静かで情緒ある街並みはまるで映画のセットのよう。
美しい時計塔を持つ市庁舎のまわりに立つクリスマス市は小規模ながらも味わい深く、しっとりと大人の雰囲気が漂っています。
ザクセンワインのグリューワインの他、ポーランド名物のスープや豪快なグリルなどこの土地ならではのグルメも豊富。
クリスマス市の期間中には、川向こうのポーランド側の街ズゴジェレツと合同のクリスマスイベントも開催されるそうです。
■ケムニッツ
ドレスデンから電車で約1時間のケムニッツ。
日本からはもちろんのこと、ドイツ国内からも観光で訪れる人は多くないと思うのですが、2025年の欧州文化首都に選ばれた味わい深い街です。
今年の春に初めて訪れた時の感想は「めっちゃ東っぽい!」でした。
旧東ドイツ時代を彷彿とさせる建物やだだっ広い道路、極めつけは街の中心に鎮座するカール・マルクスの巨大な像・・・
そんなイメージが今回の再訪で一新されました。
ケムニッツのクリスマス市、めちゃめちゃ素敵じゃないですか!想定外に良くてびっくり!
さすがはクリスマス文化の故郷と言われるエルツ山地の玄関口ですね。
くるみ割り人形や木工おもちゃなどクリスマスの伝統工芸品がたくさん。
市庁舎のすべての窓辺に灯るシュビップボーゲンにもぐっときました。
シュビップボーゲンはこの地域の伝統工芸品で、元々は暗い場所で過酷な仕事に従事する坑夫たちが無事に帰宅できることを願い、各家の窓辺に灯されていたもの。
ピラミッドやグリューワインのカップなどにも坑夫のモチーフが見られ、敬意を表していることがうかがえました。
さて、次はいよいよクリスマスの本場エルツ山地へ向かうのですが、すっかり長くなってしまったのでこの続きは次回お伝えしたいと思います。
今年も本ブログを読んでくださりどうもありがとうございました。
皆様どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
新年にまた元気でお会いしましょう!