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【今週のドイツ語】im Dreieck springen

【今週のドイツ語】im Dreieck springen

im Dreieck springen

im  は in  + dem でここでは「〜の中」、Dreieckは「三角形」、springen は跳ぶ、跳ねる(英語のjump)なので、直訳は「三角形の中で飛び跳ねる」となります。

この言い回しの起源は、19世紀なかばのプロイセンに遡ります。

当時のプロイセン国王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世は、ベルリンのMoabit地区、現在の中央駅の裏あたりに、プロイセンのモデル刑務所を建設させました。そこは初めて、囚人たちは大規模な共同刑務所ではなく、皆が個別房に収容される、独房刑務所(Zellengefängnis)でした。当時、犯罪は一種の伝染病と見なされており、専門家たちは受刑者を隔離することで再発を防ぐことができると考えていたのです。

囚人たちは常に独房で過ごし、他の囚人たちと完全に隔離されて一切コミュニケーションを取る事はありませんでした。刑務所の敷地内には円形の運動場があり、囚人たちが少ない自由時間を過ごせる屋外スペースだったのですが、ここでさえも「隔離」は徹底されました。円形の中庭は、中心から放射状にそれぞれ三角形に区切られ、それぞれのスペースは高い壁で仕切られていたのです。分かりづらい方は、ホールケーキを切り分けるときを想像してください。

当時のZellengefängnis Moabit ©dpa



そのため囚人たちは、少ない自由時間に外に出ても、高い塀に覆われたわずか10㎡ほどの三角形のスペースの中で互いから遮蔽されており、空を見上げることはできても思うように体を動かすこともできませんでした。さらにここでも沈黙を守ることが求められ、他の囚人たちとコミュニケーションを取ることは全くできなかったのです。

長期間にわたって独房と三角地帯での孤独に耐え、他人とのコミュニケーションのない単調な日々を過ごしていくうちに、多くの囚人たちは遅かれ早かれ狂気の淵に立たされました。そして、その激しい怒りを抑えきれなくなった時に、何人かの囚人はその狭い三角地帯の中で飛び跳ねて怒りのエネルギー発散したといいます。

そんな背景をもつ今日の表現「三角形の中で跳ぶ」は、「ひどくイライラしたり、怒ったり、怒りを抑えられない状態」のことを表しています。

 

【今週のドイツ語】

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ドイツ大使館 広報部の職員による投稿です。

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