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【ドイツ語の言い回し】Gerne austeilen, aber nicht einstecken können

こんにちは!皆さん、お元気ですか?

 

日本に住んでから25年以上経ちますが、それでも日々の生活の中で何か思うことがあると「ドイツ語の言い回し」を思い出すことが多い私です。

 

今回皆さんにご紹介したいのは「人間関係」にまつわるドイツ語の言い回しです。

 

こちらです。

 

Jemand teilt aus, kann aber nicht einstecken

 

これは「人に対して攻撃的なのに、自分が攻撃されると、そのことを受け入れない人」のことです。

 

人に対して何かと強気に色々と批判はするのに、イザ自分が何か言われると怒る人っていますよね。・・・というよりも、そういう人、けっこう多いかもしれません(笑)

 

言い回しには色んなバージョンがあって、それぞれに少し違います。こんな感じです。

 

Gerne austeilen, aber nicht einstecken können

Wer austeilen kann, muss auch einstecken können.

 

Twitter(あ、今はXですね・・・)などネットの世界では匿名だということもあり、やたら攻撃的な人が目立ちますが、そういう人は確かにイザ自分が何かを言われると逆上する傾向があります。ただネットでないリアルな世界に関しては、日本はやはり「ハイコンテクスト型文化の国」であり、物事をそうハッキリは言わない人が多いです。だから日本では日常生活において直球で相手を批判したり、互いに言い合いになったりする場面はそう多くありません。

 

ドイツ人の方がモノをハッキリ言うというイメージがありますが、私の経験だと、それはホントです(笑)

 

例えば相手に対して不満に思っていることを直球で言うのは(日本の人よりも)ドイツの人が多い気がします。

 

・・・もうかなり前のことで「時効」なので私の経験を書きます。

 

かつて私が日本で仲良くしていたドイツ人の女性Jさんがいました。

 

博識で知的な女性で、何よりも彼女と一緒にいると、人間の深いところまでじっくりと話ができるのです。一緒に何かのイベントに出かけた後に、Jさんと二人で静かなバーやカフェに行って、ワインを飲みながら夜通し互いの色んな話をしたものです。

 

そんな付き合いが続いたある日、Jさんに「サンドラはタブーが多い!おかしいと思う!」と激怒されてしまいました。

 

今と同様に当時、私は本を書いていました。あるテーマについて本を書いていたけれど、本をまだ完全に書き終えていなくて、発売日もまだ未定でした。友達だから「今書いている本の内容」についてJさんにお話しはしましたが、同時に「まだ未定のことなので、第三者には内容だとか本が出ることは話さないでね」とお願いしていました。

 

本以外の私の仕事についても「仕事Aのことは仕事Bの人達に言わないでね」などとJさんに口止めをしていました。

 

 

私がしていた仕事の性質上、そうせざるを得なかったのです。Jさんは顔が広かったため、彼女が何気なく発した言葉からバーッと話が広がることを私は懸念していました。考え過ぎかもしれませんが、自己弁護させていただくと、私はそれだけ仕事というものを大事に考えています。よって「こと仕事」に関しては何かと秘密主義の私です。

 

でもそんなふうに色々と口止めしてくる私をJさんは「タブーが多くて嫌!」とのことでした。

 

それを聞いて私はムッとしてしまいました。

 

というのも心配になるレベルの痩せ方をしていたJさんに対して、私も言いたいことはあったのけれど、Jさんが先回りをして私および仲間に対して「私の食事や体型について、一切何も言わないで!」と言っていたからです。私はJさんの言ったことを守り、彼女の食事の内容などに触れることはありませんでした。

 

それで、私は「これって不公平なんじゃないの?」と思ったわけです。「Jさんは私について感じている不満を直球で口に出してオッケーで、私はJさんについて思うことを口に出して言ってはいけないって、どういうこと?」「Jさんは自分がeinsteckenできないのに、私に対してはausteilenしているのは、どういうこと?」と思っちゃったわけです。日本的な感覚なのかもしれませんが、少し面倒であっても、そこは「お互いに我慢するのがスジなのではないの?」と思いました。

 

・・・・・愚痴になってしまいました。

 

それにしても、こうやって振り返ってみると、若い時のほうが人間関係は何かと大変ですね。

 

年齢を重ねた今は「何事もほどほどに」を心がけています。人間関係も「腹八分目」がいいですね。いえ「腹八分目」どころか「腹六分目」ぐらいが、ちょうど良いのかもしれません。長期で見たとき、人間関係は適度な距離があったほうが上手くいくのではないかと思うようになりました。そうすれば、austeilenもeinsteckenもしなくて済むかもしれません。

 

それでは皆さん、また来月!

 

サンドラ・ヘフェリン

著者紹介

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

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