【今週のドイツ語】seinen Hut nehmen müssen
しばらく続いていた Hut「帽子」シリーズは、今日でひとまず最後です。
毎週読んでくださっている方は、さすがに "Hut" (帽子)という単語だけでも覚えてくださったでしょうか。
今日の表現はこちら。
seinen Hut nehmen müssen
ザイネン フート ネーメン ミュッセン
seinen Hut は「彼の帽子を」(seinenの部分は所有代名詞なので、主語によって変わります)、nehmenは「(手に)取る、つかむ」、müssen はここでは「〜しなければならない」という助動詞です。
この表現をそのまま直訳すると、「(彼の)帽子を手に取らなければならない」となりますが、実は「職を辞する」、「地位を譲る」、「罷免される」と言った意味で、基本的にネガティブな意味合いで使われます。
例えば、とある市の市長が自身のパワハラや汚職が発覚し、その責任を問われ辞職することになったとします。荷物をまとめ、最終出勤を終えてオフィスを出るとき、最後に帽子掛けから帽子を手に取り、オフィスをあとにする・・・そんな姿を想像してみてください。
この去り際に「帽子を手に取る、持って出る」という仕草から、「職を辞する」という意味に発展したのです。
ちなみにこの表現は日常的に話し言葉で使うことはあまりないようで、小説や新聞記事などで見かける言い回しだそうです。通常「辞職する」という場合は (von seinem Amt) zurücktreten などと言います。
Wegen der Korruptionsaffäre musste die Bürgermeisterin ihren Hut nehmen.
汚職問題が原因で市長は辞職しなければならなかった。
【今週のドイツ語】
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