【今週のドイツ語】Eulen nach Athen tragen
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Eulen nach Athen tragen
オイレン ナッハ アテーン トラーゲン
Eulenは「フクロウ(複数形)」、nach Athen は「アテネに」、tragenは「運ぶ」、なので直訳すると「フクロウをアテネへ運ぶ」となります。
この表現は、2400年以上前、古代ギリシアのアリストファネス(アリストパネス)によるギリシア喜劇「鳥」に由来します。この作品の中で、飛んできたフクロウに対して「誰がフクロウをアテネに連れてきたのだ?」と言ったり、アテネについて「フクロウに不自由することはない(足りなくなることはない)」などと評する箇所があるのだそうです。(正確な日本語訳ではないのでご了承ください)
当時、アテネの都市の守護女神アテーナーのシンボルはフクロウでした。またギリシア神話においてフクロウは知恵の象徴とされていました。
そのため、アテネの町のいたるところに、像や絵としてフクロウが溢れていました。もし誰かがそんなアテネにフクロウを持ち込んだとしたら、それはまったく余計なことをしていることになります。なぜなら、町にはすでに十分な数のフクロウがいたからです。
つまり、アテネへフクロウを運ぶ、とは「余計なこと、無駄なこと、必要のない行動」を意味する慣用句です。
実は、もう一つ別の解釈もあります。
当時のアテネの銀貨にはフクロウが描かれていたため、お金は「フクロウ」とも呼ばれていました。(あまり上品ではありませんが、1万円札のことを「諭吉」と呼んだりするのと同じ感覚でしょうか・・・)アテネは非常に豊かな都市で、十分なフクロウ(お金)を持っていました。そのため豊かなアテネにフクロウ(の描かれた銀貨)を送る必要は全くなかったのです。
ちなみに現在のギリシャのユーロ硬貨にも、フクロウが描かれているんですよ。
時は流れ、この諺からいくつものバリエーションが生まれました。
例えば
"Holz in den Wald tragen" 「森に薪を運ぶ」や、"Käse in die Schweiz rollen" 「スイスにチーズを転がす」などです。
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