【ドイツ語の言い回し】Stille Wasser sind…
顔立ちや話し方のせいか、日本にいると「サバサバしていて、はっきりモノを言う人」と思われがちな私です。面白いのは、ドイツではそう思われないことです。ドイツに住んでいた時、私の人柄について“Stille Wasser sind tief.“なんて言われたこともあるぐらいです。
Stille Wasser sind tief. を和独辞典に入れてみたら、日本語訳として「深水程静かなり」(ふかみずほどしずかなり)と出てきました。こうやって日本語にしてみると、なんだか素敵な感じですが、ドイツでStille Wasser sind tief.という言い回しが使われるとき、それは決してポジティブな意味合いだけではありません。
確かに「静かだけれど実は情熱的」などというポジティブな意味合いでも使われることはありますが、「何を考えているのかよく分からない人」についてStille Wasser sind tief.と言うことのほうが多い気がします。「あの人は地味で何を考えているのか、なんだかよく分からない」「実は陰険なのではないか」「何かを企んでいるのではないか」「実は意地悪なのではないか…?」などといったニュアンスが含まれているのですね。だから"Stille Wasser sind tief."と言われた時は複雑な気持ちになってしまいました。
その背景にはドイツでは外向的(extrovertiert)な性格の人のほうが「良し」とされる感覚があると思います。だから内向的(introvertiert)な性格の人は、「オープンではないぶん、実はなにか隠しているのではないか」などと勘ぐられてしまうのですね。
ところで、Stille Wasser sind tief.の言い回しの由来には諸説あります。
小さな湖があまり深そうに見えなくても、実際には物凄く深く、急な水勢が発生することもあることから、Stille Wasser sind tief.という言い回しが使われるのようになったと言われています。その一方で、ドイツの劇場監督で脚本作者のFriedrich Ludwig Schröder(1744年~1816年)が書いた"Stille Wasser sind tief."というコメディーをきっかけに、これが言い回しとして使われるようになったという説もあります。
それにしても、Stille Wasser sind tief.は日本語に訳しやすいですね。前述の和独辞典だと「深水程静かなり」(ふかみずほどしずかなり)という訳ですが、要は「静かに見える水(湖)ほど深い」ということです。
あ、同じ「水」関係でも、日本でいう「水商売」はドイツ語に訳すと、Wassergeschäft・・・ではありません!(笑)
今回はStille Wasser sind tief.というドイツ語の言い回しをご紹介しました。
また次回!
サンドラ・ヘフェリン