パステルカラーの街、ローテンブルク
2022年も残りわずかとなりました。皆様にとって2022年はどんな年だったでしょうか?
ドイツではコロナウイルス対策も緩和され、今年は各地でクリスマスマーケットが賑わいました。
さて、今日はローテンブルク(Rothenburg ob der Tauber)を紹介します。
ローテンブルクは正式名称をローテンブルク・オプ・デア・タウバーといい、タウバー川沿いのローテンブルク、という意味があります。
ローテンブルクは中世の街並みが残る街ですが、街は、10世紀頃にコンブルク=ローテンブルク伯爵が丘に城を築いたことから始まりました。この丘からタウバー川を望むことができたことが、今の名称の由来となっています。1107年にローテンブルク市と認められ、1274年に帝国都市の特権が与えられ大きく繁栄しました。その後の戦争で何度か街は攻撃を受け、第二次世界大戦では街の40%が破壊されましたが、戦後再建され今では世界中の人を魅了する観光地になりました。
ロマンチック街道でも特に人気なこの街は、バイエルン州に位置しておりフランクフルトからは電車を乗り継いで4時間ほど。ローカル線しか止まらない小さな静かな街です。観光の中心となる旧市街までは、駅から徒歩で10分ほどです。
駅から歩いて行くと、大きな門が現れます。これはレーダー門(Rödertor)で、旧市街はこのような門と城壁に囲まれてできています。城壁は14世紀までに完成したと言われ、城壁に登って街並みを見ることもでき、城壁の東西南北に門があります。城壁は全長4kmほどで、城壁の上を歩ける部分だけでも2kmほどあります。所々に階段があって街に降りて行くことができます。家々の屋根が赤く統一されていて、上から見ても素敵な街並みを見ることができます。
さて、プレーンライン(plönlein)と呼ばれるこちらの観光名所はドイツの代名詞とも言えるほど有名かと思います。プレーンラインは「小さな所」という意味で、黄色の家を中心に2本の道が伸びて両脇の奥には塔が立っています。ここから見る景色はおとぎ話に迷い込んだように美しいです。街にはパステルカラーの木組みの家々がひしめき、石畳が広がっています。可愛らしいカフェやベーカリー、お土産屋さんなどもあり両脇をキョロキョロしながらゆっくり散策が楽しめます。
もう一つ見逃せないのは旧市街の中心、市庁舎(Rathaus)とマルクト広場(Marktplatz)。ローテンブルク市庁舎はゴシック様式とロマネスク様式で建てられており、市庁舎の220段ある塔の上から絵本のような街並みを見渡すことができます。そして毎正時にはマイスタートルンク(Meistertrunk)の可愛らしい仕掛け時計が見られます。
ん?マイスタートルンクとは?と思った方もいるでしょう。
これはこの街の歴史に基づいた英雄の伝説です。
30年戦争の最中1631年に、カトリックの軍隊がプロテスタントのローテンブルクを略奪する恐れがあり、相手側の指揮官ティリー伯爵は、気まぐれに「町長がフランケンワイン3.25リットルを一気飲みしたら、ローテンブルクを助ける」という「取引」を提案し、ローテンブルク町長が一気飲みをして自分の町を救ったのです。そして英雄となった彼は、仕掛け時計の物語の中心人物になり、年に1度、6月に「マイスタートルンク歴史祭(Der Meistertrunk)」が開かれ、人々が中世の格好をして練り歩きます。
私が訪れたのはクリスマス前のある日。マルクト広場には大きなクリスマスツリーが立ち、小さなクリスマスマーケットが開かれていました。冬の寒い日でも、クリスマスマーケットで飲む温かい飲み物は格別に美味しいです。広場では1年を通して、音楽祭などの様々なイベントが開かれます。
見どころはまだまだあります。ドイツで唯一の法と刑罰の博物館である中世犯罪博物館(Mitterlalterliches Kriminalmuseum)や、世界で初めて一年中クリスマス用品を扱い始めたと言われているクリスマスグッズのお店の本店があったり、夜には「夜警ツアー」が開かれます。これは、中世時代に敵の襲撃や火事などを知らせる役割のあった「夜警」に扮したガイドが街中を案内してくれるツアーで大変人気があります。
可愛らしさと歴史の詰まった宝石箱のような街、ローテンブルク。近くにはディンケルスビュール(Dinkelsbühl)やネルトリンゲン(Nördlingen)と言った同じく中世の景観が残った街もあるので、合わせて行っても楽しいと思います。
2022年も残り少なくなりましたが、今年もありがとうございました。みなさま良いお年をお迎えください。