【今週のドイツ語】Abstauber
いよいよ今週末からサッカーワールドカップが始まります。
今回、日本とドイツは同グループとなり、お互い初戦で対戦しますよ。これは熱くならないわけがない!
今週のドイツ語も、もちろんワールドカップ仕様です。これを知っておくと、観戦が数倍楽しくなること間違いなし(本当?)。
そのドイツ語は
Abstauber
アプシュタウバー
サッカーで、ゴール前のいい位置にいた選手が、こぼれ球を押し込んで得点することってありますよね。そんなゴールをAbstauberまたはAbstaubertorアプシュタウバートア(Torトアは「ゴール」のこと)と呼んでいます。
でも、Abstauberの文字通りの意味は「ほこりを払う人・もの」です。もとになる動詞はabstaubenアプシュタウベン「ほこりを払う」。Staubシュタウプ「ほこり」という名詞を動詞化し、その前に除去などを表す接頭辞abを付けたものです。なぜそれが「こぼれ球押し込みゴール」という意味になるのでしょう。
abstaubenは、「ほこりを払う」というもとの意味からの派生で「何かを手に入れる」という意味で使われることもあります。あまり苦労せず、運よく何かをもらえた時などに使う言い方です。何か置いてあったものを持って行くとき、手に取ってささっとほこりを払う仕草をすることはありませんか?どうやらそこから来ているらしいのですが、これがいつからかサッカー界でも「運よくゴールする」という意味で使われるようになり、そういうゴールをAbstauberと言うようになったのです。
味方のシュートが外れた球や、うまい具合に自分の前に来た球をゴールに押し込むだけ、と言いますが、こういうゴールを決められる選手というのは、何もしていないのではなく、常に球を拾いに行く姿勢で良い位置にいるということですよね。サッカーだけでなく、全てに通じることのような気がします。
これから約1カ月間、サッカーファンにとっては熱い(そして眠い)日々が続きそう。もしゴール前に転がった球をうまく押し込むプレーを見たら、“Abstauber!”と叫んでみてください。
Text by Kumiko Katayama
【今週のドイツ語】
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