【今週のドイツ語】Jemandem die Stirn bieten
自分の主張を通したり、反対意見を押し切って正しいと思うことをやり通すのはなかなか大変ですが、時には信念を貫くために戦わなければならない時もあるでしょう。今日取り上げるのは、そんな姿勢を表すドイツ語の慣用表現です。
Jemandem die Stirn bieten
イェーマンデム ディー シュティルン ビーテン
Jemandemは「(誰かに)対して」、Stirnは「額」。bietenは提供する、提示するなど、相手にはっきり示したり差し出したりすることです。そのまま訳すと「額を差し出す、見せる」となりますが、おでこを見せるとは、どんな意味があるのでしょうか。
Stirn「額」は、硬くて前を向いていることから、何かに対抗したり、強硬な姿勢を表す時に比喩的に使われることがあります。逆風に立ち向かい、信念を貫くイメージです。例えばドラマやアニメの中で、王様のような高貴な人の前に出る時は通常頭を垂れて恭順を示すけれど、意を決して何かを進言する時には顔を上げて額を見せる、という情景を思い浮かべる人もいるようです。そして、お互いに自分の言い分を通したい時には、互いに相手に「額を示し」合って、決然とした態度で臨むわけです。でも、日本語の「額を合わせる」のように、熱心に相談したり、一緒に何かを企んだりするわけではなく、むしろ「角(つの)突き合わせる」に意味としてはちょっと近いかもしれませんね。
額がそんなに強い意志の象徴とは知りませんでした。これからはもっとちゃんとお手入れして、あまりしわを寄せないように気を付けようと思います。ちなみにドイツ語で「額にしわを寄せる」は die Stirn runzeln ディー シュティルン ルンツェルン。考え込んだり悩んだりする時、あるいは、あまり感心しないなあ、という気持ちを表す表現でもあります。
Text by Kumiko Katayama
今週のドイツ語
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