【今週のドイツ語】Ach du grüne Neune!
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今年の夏は、セミが鳴き始める前から猛暑が続いたり、あちこちで豪雨があったり。ドイツにも熱波が襲ってきて、いったい地球はどうなってしまうのかと心配です。あらためて緑の自然の大切さが身にしみます。
でも、ドイツ語の「緑」を使った表現の中には、あまり良くないイメージのものもあるんですよ。
緑はドイツ語でgrün グリューン。今日はこのgrünを使った面白いドイツ語をご紹介しましょう。
Ach du grüne Neune!
アハ ドゥー グリューネ ノイネ
最初のachは感嘆詞。ああ、とか、おやまあ、とか、おいおい、とかそんな感じです。Neune は数字の9、Neunの形が変わったもの。直訳すると「あらまあ、緑の9!」…はっきり言って、その言葉自体の意味はありません。「ああ、びっくりした!」「うわー、大変!」というような意味で、それ自体が感嘆詞のように使われます。あまり好ましくない驚きの時にも使われ、割と年配の人から聞くことが多く、最近の若い人はあまり使わなくなっているようです。
なぜこんな言い方が生まれたのでしょう。諸説あって定かではないのですが、一つの説は、カード占いに由来するというもの。トランプに似たドイツのカードを使うのですが、その中でgrüne Neuneはスペードの9を指し、不吉なカードとされています。なぜスペードの9が「緑の9」なのかというと、4種のマークそれぞれ色が決まっていて、スペードは緑だから。占いでこのカードを引き当ててしまった人が思わず「うわっ、緑の9だ!」と叫んだかどうかは分かりませんが、そんなことから、あまりうれしくない驚きを表す言葉となったということです。
もう一つの説は、19世紀のベルリンにあったダンスホールが関係しているというもの。このダンスホール、正式な住所はBlumenstraße 「ブルーメン(花)通り」の9番地だったのですが、入り口はGrüner Weg「緑の小道」に面していたので、grüne Neune「緑の9番」と呼ばれるように。ところがこの店、いつも派手にどんちゃん騒ぎがくり広げられていたため悪評が立ち、そのうちこの呼び名が好ましくないことでびっくりした時に口を突いて出る言葉になったというのです。せっかくの花や緑の通りの名前が残念なことになってしまいました。
ちょっと強引な説明ですが、緑と言えば自然の象徴のように思っていたので、こんなイメージにつながるというのは意外ですね。
Text by Kumiko Katayama
今週のドイツ語
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