フランケンのローマ、バンベルク
今年もまた終わりが近づき始めました。
街並みはクリスマスカラーに染まり、さまざまなお店にもクリスマスグッズが並び始める季節です。先週末は第1アドベントでした。
ドイツではアドベントクランツ(Adventkranz)と呼ばれる4本のろうそくが飾られたリースの1本目に炎を灯します。クリスマスまでの毎週日曜日に1本ずつろうそくを灯していき、クリスマスには4本全てが灯されます。花屋やスーパーなどでも購入できますが、手作りする家庭もあり、クリスマスを待ち侘びる家族イベントの一つにもなっています。
コロナウイルスの影響でいまだに厳しい状況が続き観光がまだまだままならない今日ですが、今回はバイエルン州の世界遺産の街バンベルクを紹介します!
「バイエルンの真珠の街」と称されるバンベルク(Bamberg)はバイエルン州の北側に位置し、フランクフルトからは、ICEとローカル線で2時間ちょっと。バンベルクの駅から旧市街までは徒歩20分ほどです。
バンベルクは二股に分かれるレグニッツ川(Regnitz)の谷間に造られた街で、1007年に司教座が置かれ発展をしていきました。キリスト教の街として発展していたことは、旧市街の丘の上にそびえ立つバンベルク大聖堂(Bamberger Dom)からも見て取ることができます。
1012年に建設が開始されましたが、焼失や再建などを経て1237年に完成。ロマネスクとゴシック様式が混在し、4本の塔が印象的です。内部にある「バンベルクの騎士像(Bamberger Reiter)」はドイツ中世彫刻の傑作とも称されています。
旧市街から大聖堂のある丘までの散歩道では、街中の赤い屋根や木組みの家々が見渡せます。
大聖堂の立つドーム広場の向かいには16世紀に建てられた旧宮殿(Alte Hofhaltung)と17世紀にできた新宮殿(Neue Residenz)がどっしりと構えています。新宮殿はガイド付きで見学でき、豪華な内部や絵画コレクションを見ることができるそうです。また庭園には無料で入場できるバラ園があるので、私も今度は是非バラが咲いている時期に訪れたいです。
旧市庁舎(Altes rathaus)も見どころの一つです。外壁にフレスコ画が施されたこの建造物は、レグニッツ川の人工的に造られた中洲にあります。
その昔、街の丘の上は聖職者の居住地で、丘の下に庶民が住んでいました。バンベルクを統治していた司教が宗教区への市庁舎の建設を拒否したため、権力が及ばない中洲に中立的に建てられたそうです。
18世紀に司教領主フィリップ・アントン・フォン・フランケンシュタイン(Philipp Anton von Frankenstein)の死去を描いたフレスコ画は、騙し絵効果を巧みに使っており、立体的に見えます。また、天使の足が壁から飛び出しているのもなんだかユニークです。
反対側には、新司教のバンベルク入りが描かれているそうです。
バンベルクの魅力は、第二次世界大戦で被害を免れた歴史的建造物が多く残っているところにもあります。この街は、ローマと同じく7つの丘の上にできたため、「フランケンのローマ(fränkisches Rom)」とも言われています。1993年にはユネスコ世界遺産に登録されました。
さて、バンベルクと言ったらもう一つ有名なものがあります。それはラオホビール(Rauchbier)!「ラオホ」はドイツ語で「煙」の意味で、その名の通り燻製ビールです。
私がバンベルクを訪れたのは、コロナ禍前のある晴れた2月の日。久々の太陽に嬉しくなったのか、旧市庁舎から続くドミニカナー通りにあるラオホビール醸造場(Schlenkerla, die historische Rauchbierbrauerei)前では多くの人がビールを片手に談笑していました。
レグニッツ川沿いのかつて漁師が住んでいた居住地区は歴史ある木組みの家々が残っており、小ベネチア(Klein Venedig)と言われて可愛らしい景色を楽しめる散歩道が続きます。
もう一箇所おすすめなのは、街の南東に位置するアルテンベルクの丘の塔(Turm und Palas Altenburg)です。7つの丘のなかで最も高いアルテンベルクの丘の上には、バンベルクの街並みが一望できる、ロマン主義時代に再建された近世の城と塔があります。
小さな街なので、1日あればゆっくり歩いても回れますが、小ベネチア沿いに一泊し、夜はラオホビールに舌鼓を打つのも楽しいかもしれませんね。
寒い冬の束の間の晴れた日にちょうど訪れることができたバンベルク。
まだまだ厳しい日々が続きますが、いつかまた昔のように旅行ができるようになった時には、自然と歴史のある建造物に囲まれたバイエルンの真珠、是非訪れてみてください!