【今週のドイツ語】Friede, Freude, Eierkuchen
Friede, Freude, Eierkuchen
フリーデ、フロイデ、アイヤークーヘン
卵を使ったお菓子はいろいろありますが、卵と粉と牛乳で作るパンケーキ、ドイツでもおやつや軽食としてよく食べられています。日本のホットケーキや、ふわふわで厚めのアメリカンスタイルのパンケーキも甘くておいしいですよね。ドイツのパンケーキは見た目がちょっと違って、薄くて大きくて、月のクレーターのような焦げ目付き。バターやジャム、焼きりんごやホイップクリーム、何でも好きなものと一緒にどうぞ!ベーコンやチーズと合わせると、ちょっとしたお食事にもなります。
パンケーキを表すドイツ語は地方によっていろいろあって、今日ご紹介する慣用句に出てくるEierkuchen(アイヤークーヘン)もその一つ。Eier(アイヤー)は、Ei(アイ、卵)の複数形で、Kuchen(クーヘン)はケーキです。直訳すると「卵ケーキ」。これが出てくる慣用句とは…?
Friede, Freude, Eierkuchen (フリーデ、フロイデ、アイヤークーヘン)
フリーデは平和、フロイデは喜び。ベートーヴェンの『歓喜の歌』の歓喜もこのFreudeです。「平和と歓喜とパンケーキ」って、なんだか嬉し楽しい言葉ばかり並んでいますが、さてその意味は…?
これは、一見めでたく平和にまとまっているようだけど、実は問題が何も解決されていないというような時に使われる慣用句。組織の中でいろいろと困ったこと、改善しなければならないことがあっても、そこから目をそらし、すべてまあるく収まっているように見せているというような時に出てくる表現です。見せかけの平和や、表面的に作り上げた調和のことを指しています。
見せかけの平和をなぜこんなふうに言うのか、はっきりしたことは分かっていません。ドイツ語研究の公的な機関が一度、この慣用句がどうして生まれたのかをテーマにした研究を公募したことがあるそうなのですが、結局分からなかったとか。戦争が終わって、みんなが平和を喜んで、卵を使ったパンケーキでお祝いしたから-という説もあるのですが…うーん、どうなんでしょうね。
でもパンケーキに罪はありません。「卵ケーキ」と呼ばれるパンケーキですが、他にPfannkuchen プファンクーヘンという言い方も一般的。ただし、ベルリンでプファンクーヘンというと、ジャム入りの揚げパンのことを指すのでお間違えなく。ついでに言うと、ドイツ西部ではこの揚げパンのことをベルリーナーと呼びます…。
明日のブランチはパンケーキかな?
©ドイツ大使館 / Text by Kumiko Katayama
今週のドイツ語
これまでに紹介した今週のドイツ語が本になりました。
「見るだけで楽しく学べる「暮らし」と「文化」 ドイツのことば図鑑」 というタイトルで、これまで3年以上に渡ってこのサイトで連載をしてきたものを、大幅に加筆修正し、さらに詳しくわかりやすく、そして面白く、例文や関連用語なども載せて紹介しています。
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