【第1回目学生インタビュー】ドイツ人大学生のコロナ禍での生活について
はじめまして。
6月から執筆を担当することになりました、Ritsuko と申します。この度は、ブログを見てくださり、誠にありがとうございます。
このブログでは現役の学生の目線で、様々なことをお届け致します。未熟ですが、これからどうぞよろしくお願いします。
初回の記事は、ドイツ人大学生の学びの形態や、コロナ禍で生活がどのように変化したのかご紹介します。個人的にコロナ禍において学生の日常はどう変わったのか、とても気になりましたので、私の友人であるドイツ在住の大学生にインタビューしました。ドイツ人大学生の彼女は、現在4学期目、日本で言うと大学2年生にあたります。所属はイエナ大学哲学部で、第二言語および外国語としてのドイツ語について勉強しています。*ドイツでは入学した直後を1学期とし、そこから数を累積していきます。上半期を夏学期、下半期を冬学期といいます。
コロナ禍以前のフライブルク
<インタビュー目次>
①授業について
②留学について
③コロナ禍の生活について
①授業について
現在、大学の授業はオンライン、または対面ですか?
———大学の授業はオンラインのみで、ゼミと講義に参加しています。2019年から大学で学んでおり、これまで1つのゼミだけ対面で受けたことがありますが、2学期目(2020年度の授業)から全てがオンラインになっています。現在は、4学期目を受けている途中です。つまりこれまで3学期分の授業をこのような形態で受け終わり、トータルで1年半になります。
オンライン授業と対面授業の長所と短所は何だと思いますか?
——オンライン授業の長所は、学生自身がいつ何をするのかコーディネートでき、多くの講義が以前よりかなり効率的になったことです。学生は8時に起きなくてはならないということもなく、講義も後で見ることができます。また、私はシャイで、進んで人前に立って話す方ではないのです。それでも、オンライン授業では進んで発言するようになりました。誰も私を見ていませんしね。短所は、学生が全てを自身で習得しなくてはいけない点だと感じています。課される課題が多く、 負荷は大幅に増えたため、ほとんど暇な時間はありません。
対面授業は再開すると思いますか?
——-今年の冬学期には対面授業が再開されたらよいと思っていますが、公式のアナウンスはまだありません。
②留学について
昨年のパンデミック発生以来、日本の大学生の多くが留学を断念せざるを得ませんでした。大学入学以前に会ったときから留学をしたいと話してくれていましたが、今の状況で留学についてどうお考えですか。
——-少なくとも在学中に1学期間は留学をしたいと現在でも思っています。韓国語を勉強しているため、1学期間、語学能力の向上のために韓国に最も留学したいです。パンデミックのため留学を一旦諦めたので、現在もまだドイツにいます。
留学中に日独協会の行事で参加したSchauinslandへのハイキング 風力発電機が見える
③コロナ禍の生活について
学生も含めて多くの人が家に居ざるを得ない状況になっていると思います。他の学生とコミュニケーションをとる機会はありましたか?
——-おっしゃる通り、外に出てはいけないという状況でした。学生仲間はZOOM やメール、WhatsAppでコンタクトを取っていました。ただ私はというと、新しい友達に出会う機会や知り合いがいなかったので、本当に残念でしたが、他の学生とコンタクトを取ることは全くありませんでした。
フライブルク大学寮の中庭 パーティーやイベントが頻繁に行われていた
コロナ禍の影響でドイツの学生はパンデミック発生当初や現在でも、経済的な困難を抱えていますか?そういった学生は、経済的な補助を受けることができたのでしょうか。
———補助ではないですが、学生ローンを利用する方の標準学習期間(*学生がローンを受けるデフォルトの期間)にコロナの影響で、多くの学生が大学での勉強をすんなりと始められなかったため、2学期分は含まれないようになりました。 でも私自身、学生ローンを受けていないのでそれについては詳しくはわかりません。 個人的に受けた影響ではありますが、今年計画していた実習ができず、来年まで延期しなければならないため、2学期分長く勉強しなければならなくなりました。
普段多くの日本人大学生はアルバイトをしていますが、ドイツの学生はどのような状況ですか?
——-多くの人が、特に多くの大学生が在学中に仕事を失いました。彼らの多くは高校生への個別指導のアルバイトをしていました。しかし、それは対面で行われるため、個別指導のアルバイト全てがコロナ禍におけるガイドラインから逸脱してしまったのです。
今回のインタビュー内容はここまでです。
このように見るとドイツでも学生はコロナ禍で色々な影響を受けているようですね。また、簡単に答えが見つからない多くの課題が浮かびました。
まず、彼女は実習が延期されたために2学期分、つまり日本の大学の年数に換算すると1年間も在学期間が延びたそうです。しかし、このような在学期間の延期については、日本ではどうでしょう?私は、現在学芸員課程を履修していますが、昨年度はコロナ禍のために博物館実習ができない人が多かったため、特例で実習をせずとも資格を取得し卒業することができたそうです。こういった特例を敷いた理由としては、実習のために在学期間を延ばすことで、学費の負担が増すことや、就活スケジュールの大幅な変更をしなくてはならないといったことが考えられます。こういったことを考えると、日本における在学期間の延長は難しいのではないかと思いました。
そして、留学する機会を失ってしまった人へのアフターケアについても考えさせられました。個人による差異があって当然ですが、留学ができなかったことによる最大の損失は何で、それを最大限埋め合わせるにはどうしたらいいのかと考えたときに、留学予定だった大学の学生とのオンライン交流などが考えられます。
しかし、実際にこういった留学などの計画を急にあきらめざるを得なくなった際、その代わりに何か他のことを始める行動力は自分にあるのだろうかと考えました。これはコロナ禍ではなくても該当しますが、長期間準備していた計画が頓挫してしまった時に、0から新しいことに着手するには気持ちの切り替えや体力が必要ですよね。学生時代は1分1秒も無駄にせずに過ごすべきといわれますが、自分はすぐに別の行動を始められる自信はないです。
見つかる答えも1つには定まらず、関連して広がる思考も簡単に収束しなさそうな疑問ばかりですが、このインタビューは確実に社会と自分について見つめ直すきっかけになりましたが、みなさまはいかがでしたでしょうか。
ここまで読んでくださりありがとうございました。また次回お会いしましょう。
フライブルクの住宅地Vaubanの路地 環境政策の授業ではVaubanの斬新なコンセプトや先進的な取り組みを実地に赴いて学ぶことができた