壁で日独交流160周年
新型コロナウイルスの影響がまだまだ続く中、日独交流160周年はひっそりと進行中。
今年1月に完成した大使館の新しい壁展示。
今回はアーティストが直接壁に作品を描くスタイルで、これまでにも2回、同様の展示が行われたんだ。
でも今回はそれまでと違い大使館の壁全体を使うという大規模なもの!
1月初旬、作品作成のために壁に特殊なフィルムが貼り付けられ準備完了。
今回作品を描くのは大阪を拠点とするアーティストユニットWHOLE9(ホール・ナイン)のhitchさんとsimoさんのお2人。
年明けのとっても寒い中、スマホで画像を確認しながら全長85メートルの壁におよそ20日間かけて、160年にわたる日独交流の軌跡を、政治、医療・科学技術、スポーツ、音楽、文化、経済・貿易の6つのジャンルに分けて描いたんだ。
【政治】
ドイツ再統一でVサインをしながら両手を広げ喜びを表す若者の姿が印象的なこの面には、160年前に当時のプロイセンと江戸幕府が修好通商条約を結ぶために来日したオイレンブルク一行の乗った船アルコナ号が左上に描かれ、第二次世界大戦の分断とその後の復興、そしてベルリンの壁崩壊後にその跡地に咲いた日本から送られた桜をモチーフにしたイメージや、人権ロゴやLGBTQのレインボーカラーなど盛りだくさんに描かれているんだ。
【スポーツ】
ドイツといったらやはりサッカーが盛ん!
そして日本の武道も愛好者が多いんだ。
【音楽】
ど真ん中の男性は世界的な指揮者クルト・マズアさん。
ライプツィヒ・ゲバントハウス管弦楽団を指揮し、日本にも何度も来日し読売日本交響楽団の名誉指揮者も務めたんだ。
そしてマズアさんはドイツ統一にも貢献、デモ参加者に対する平和的解決を当局に掛け合ったんだ。
そして左上にはベートーヴェンの『第九』がアジアで初めて演奏された徳島の坂東俘虜収容所を配し、右側には日本の永田音響設計が音響設計に携わったコンサートホールのエルプフィルハーモニー・ハンブルクの波型の形、そしてベルリンでデビューした鼓童などドイツで人気のある和太鼓のイメージを配置。
マズアさんは2005年に大使公邸にいらっしゃいました♪
【経済・貿易】
修好通商条約を結ぶきっかけとなった長崎のドイツの貿易会社L.クニフラー商会の経営を引き継ぎ、のちに社名をイリス商会と改めた立派なヒゲのカール・イリスさんは、皇居にかかる鉄製の二重橋建設に重要な役割を果たしたんだ。
そして隣はブランデンブルクでビール醸造を学び日本人初のビール醸造法を習得した中川清兵衛さん。
今おいしくビールを飲めるのは彼のおかげ!乾杯🍺
【文化】
左の男性は言わずと知れた森鴎外さん。
ドイツと深い繋がりがあり、来年2022年は没後100年。
そしてその隣の女性は舞踏家ピナ・バウシュさん。
日本での公演も多く、彼女の代表作『カーネーション』とそれをモチーフにした桜で飾られている中にはドイツでも人気のコスプレ姿も♪
【医療・科学技術】
左の男性はフィリップ・フォン・シーボルトさん。
長崎の出島でオランダ商館医として働くも実はドイツ人で、そのオランダ語の発音が不正確で怪しまれた時に山地出身のオランダ人で訛りがあるとその場を切り抜けたという面白いエピソードも(笑)
そして隣の日本人は北里柴三郎さん。
ドイツに渡り細菌学者ロベルト・コッホのもとで研究、「近代日本医学の父」として日本の医学の発展に貢献したんだ。
それぞれの説明は作品近くにあるQRコードから、大使館のインスタグラム経由で読むことができるんだ♪
実はもっともっと早く紹介したかったんだけど、外出自粛の中でみなさんに「見に来てニャ=^_^=」とは言いにくくって・・・
でもとっても素敵なアート作品、今年いっぱい展示してるので安全になったらぜひ見に来てニャ=^_^=
(12. Apri 2021)
「ドイツ大使館ネコのきまぐれブログ・アーカイブ」 ⇒ http://nekoblog-yg-japan-archive.blogspot.jp