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新型コロナウイルス蔓延に伴う「社会的距離」のお話

新型コロナウイルス蔓延に伴う「社会的距離」のお話

日本でもドイツでも、いえ、世界中で新型コロナウイルスが猛威をふるっています。

 

1月末や2月中旬ぐらいまで日本では、どこか「中国の話」として、自分たちが当事者になることがあまり皆見えていなかった気がします。でも今や、もう「国」で区切れず、新型コロナウイルスは人類の悩みそのものになってしまいました。

 

そんな状況でも一人ひとりの生活は続くわけですが、最近気になっているのは「社会的距離」(social distance)です。ドイツでは比較的早い段階から、道路で人とすれ違う時も、スーパーのレジ待ちの際も「他の人との距離は1.5メートルは空けましょう」ということが繰り返し言われてきました。

 

日本でも「3密」(1換気の悪い密閉空間、2多くの人が集まる密集場所、3近距離で会話や発声をする密接場面)を避けましょう、と言われています。ただ具体的な数字がないことから、人によって違う解釈する可能性もあります。やっぱりドイツの「1.5メートル以上」と「数字」で言われると、具体的で分かりやすいです。

 

日本の場合は、スーパーマーケットやお店、更には道路も狭かったりするので、なかなか他人と1.5メートルを空けるのが実質むずかしいことが、「他人との距離」(social distance)があまり日本では話題にならない理由なのかな、なんて想像します。

 

そうはいっても、お店によっては対策をとっているところもあります。先日、近所のコンビニに行ったら、レジに並ぶスペースの床部分に「ここにお並びください」と書かれたシールが貼ってありました。ちゃんと1.5メートルおきにシールが貼ってありました。ただ、コンビニ自体がそもそも狭いので、シールも3つぐらいでしたけど。

 

日本では「マスクさえしていれば、他人との距離はあまり気にしない」人が割と多い印象を受けます。ドイツに関しては、今こそマスクをしている人も多いですけど、当初はマスクは(日本ほど)一般的ではなかったため、そのぶん他人との「距離」(1.5メートルの社会的距離)を重視しているのかな、なんて思いました。

 

同じウイルス対策や病気にへの対策でも、こういったところにも「違い」がありますね。

 

そして新型コロナウイルスの登場によって、今までの「礼儀」や「常識」を一度疑ってみたほうがよいかもしれません。

 

日本では行列に関しても「つめる」、すなわち前の人との距離をあまり空けないことが「常識」だとされてきましたが、、、開店前のドラックストアの前にマスクを購入しようと並んでいる人たちの行列を見ると、、、「もうちょっと距離を空けてー!」と叫びたくなります。

 

電車でも今までは「なるべく多くの人が座れるように、つめる」のが常識でしたが、新型コロナウイルスが問題になっている今、果たしてそれが正しいのか・・・?いや、正しくないので、私は「今の時期(コロナの時期)限定で、自分の横に荷物を置く」のはアリだと思っちゃいます。

 

ところで、こんな状況の中で「嬉しい」という言葉がふさわしいのか分からないですけど、あえて言ってみると、ちょっと嬉しいのが、日本でも色んな場所で「換気」をすることになったこと。

 

電車の中でも窓があいていますし、コンビニや個人商店でも、ところどころ「換気のためドアをずっとあけたままにしている」ところを見かけるようになりました。コロナウイルスがなくても、「換気」は良いことなので、実はこれ、ちょっと嬉しいのです。何せドイツ人は口癖のように”Frische Luft!”と連発していますからね。

 

ところで、日本での生活が長い私は、ドイツ在住のかつての友達や同級生と話をする時、微妙に話がかみ合わないことがありました。だって、日本で流行っているものはドイツでは別に流行っていなかったりするし、逆もしかりで。時事ネタだって違います。ところが皮肉なことに新型コロナウイルスの登場によって同じ悩みを抱えることになり、話はいつでもかみ合うようになりました(笑)互いに家にこもっているので、ドイツにいる元同級生と「そっちは、状況どう?」と毎週のように確認しあっています。そして最後はいつもBleib gesund!(健康でいてね!)と挨拶。

 

というわけで、これを読んでいるあなたも・・・Bleiben Sie gesund!

 

サンドラ・ヘフェリン

※追記1 この記事は4月9日に執筆しました。

※追記2 イタリアとドイツのコロナウイルスについて書きましたので、こちらも是非ご覧ください。

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン