ドイツ中が彼に夢中!ベートーヴェン生誕250周年!
みなさん、初めまして。ケルンを拠点にコンサート活動、並びにピアノ講師をしております、久保田早紀です。この度、Young Germanyで「クラッシック音楽」をテーマにブログを書かせていただくことになりました。
クラシック音楽愛好家の方も、まだそれほど馴染みのない方も、音楽家の視点から感じたドイツでのちょっと面白いことや驚いたこと、何気ない小さな発見などをわかりやすくご紹介していきたいと思います!どうぞよろしくお願いします。
さて突然ですが、みなさんはクラシック音楽の作曲家といえば、まず最初に誰を思い浮かべますか?モーツァルトやショパンなどでしょうか。
実はドイツには有名なクラシック音楽の作曲家が数多くいるのですが、その中でも「3B」と一括りに言われている有名な作曲家たちがいます。3Bとは、それぞれ名前の頭文字がBから始まる作曲家たちの事で、
・ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (Johann Sebastian Bach)
・ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (Ludwig van Beethoven)
・ヨハネス・ブラームス (Johannes Brahms)
この3人はドイツを代表する作曲家で「ドイツ音楽三大作曲家」とも呼ばれています。
その中でも、クラッシック音楽ファンにとって2020年は、ベートーヴェンが生誕250周年を迎えるという記念すべき年なのです!
そんな彼を盛大に祝おうと、ドイツ各地では様々なイベントが開催されており、今まさに盛り上がりを見せています。今回は、作曲家ベートーヴェンにスポットを当てながら色々とご紹介していきたいと思います。
ベートーヴェン生誕の地
私が住んでいるケルンはドイツ西部ノルトライン=ヴェストファーレン州にあり、そこから電車で南方へ少し行ったところにボンという街があります。既にご存知かと思いますが、ボンはかつて東西ドイツ統一までの間、ドイツの首都でした。現在のボンは、昔ながらの建築デザインを残しながらも、とても洗練された綺麗な街並みが残っていて、その中には素敵なカフェやベートーヴェンがよく訪れたと言われるレストランなど、彼とゆかりのある場所がちらほらと見受けられます。
ベートーヴェンは1770年12月16日ボンで生まれ、ここボンとウィーンで音楽教育を受け、生涯をかけて数々の有名な作品を世に送り出しました。生誕250周年というこの年を、彼の故郷ボンでも盛大に祝おう!と昨年の彼の誕生日である12月16日から大々的なフェスティバルが始まり、街ではいたる所でベートーヴェンに会うことができます!
今ボンでは、地下鉄に乗っても、カフェに行っても、街中どこを歩いていても、沢山の場所で彼に出会うことができます。街の人々がどれだけベートーヴェンを愛しているのかが、こちらにもひしひしと伝わってきますね。
ベートヴェンが生涯大切にしていた3つのアイテム
ボンの代表的な観光名所の一つとして、まず最初に「ベートーヴェン・ハウス」が挙げられますが、ベートーヴェン生誕250周年をテーマに掲げ、彼にフォーカスされた特別企画展が、同じ市内にあるドイツ連邦共和国美術展示館にて現在、期間限定で行われています。
このイベントは、ベートーヴェン・ハウスで働いているスタッフの方々も絶賛していて、ここを訪れたらすぐに、どなたでも「ベートーヴェンマスター」になれるそうです。(笑)
公開期間が2019年12月17日から2020年4月26日までのため、みなさんに少しでも早く知っていただけるように、ここでお知らせしたいと思います。
今回は、ここからいくつか特に興味深かった展示品をご紹介していきたいと思います。
ベートーヴェンが難聴であったことは広く知られていますが、当時彼はこれを使って生活をし、作曲をするときには特に重宝していたと言われています。これを作ったのはドイツで初めてメトロノームを製作したヨハン・ネポムク・メルツェル(Johann Nepomuk Mälzel)です。彼は直にベートーヴェンから耳の状態を聞いて、その症状に合わせて補聴器に変化や改良を重ねていったそうです。
「ほぼ毎日のように友人を連れて昼食に行った」と言われているベートーヴェン。しかし、耳の不調が進むに連れてコミュニケーションをとるのが難しくなってきてしまったため、人との関わりを次第に避けるようになっていったそうです。『ボンにいた頃も含め友人が多くいた彼だけど、耳の不調のことを医者や、ごく親しい人にだけしか話さず公にしたくなかった。また様々な耳の治療方法も試しましたが、残念ながらどれもうまくいかなかったみたい。』と教えてくれたのは、ベートーヴェン・ハウスの広報部責任者、ティマー・フォルターニ (Frau Timmer-Fontani)さん。
この大きな補聴器、その場で実際につけてみることができるので、どんな聞こえ方がするのか、私も実際につけてみました。すると、遠くから聞こえてくる小さな音も、この補聴器に全て集まってくるような感じで、とても聴きやすかったです。ほとんど聞こえなくなっていった彼にとってこれは大きな助けとなり、この補聴器なしでは生活することが出来ないくらい、大切な物になっていったと言われています。
このような困難を背負いながらも日々、音楽活動に励んでいた彼にとって補聴器と並ぶ位大切なものがあります。
それがこちらです。
コーヒーです。
毎朝決まってきっちり60粒の豆を計り、自分で豆を挽いてコーヒーを入れるくらい、大のコーヒー好きだったようです。特に香りを重要視し、味は決まって濃いめを好みました。こちらのサイホン式コーヒーメーカーを使ってコーヒーを入れ、水のようにガブガブと頻繁に飲んでいたと言われています。
確かにドイツ人はコーヒー好きな人がとても多いです。朝、昼、午後の休憩時に、必ずコーヒー!もっと好きな人は寝る前にもコーヒーを飲む人もいるくらいです。
ドイツでは日曜日はほとんど全てのデパートやスーパーなどのお店は閉まりますが、街には至る所にカフェがあり、それらは日曜日でも開いているところが多く、たくさんの人で賑わっています。今はサイホン式でコーヒーをいれてくれるところはほとんどありませんが、ベートーヴェンはこのこだわりのコーヒーメーカーで、毎日美味しいコーヒーを堪能していたようです。
そして最後に、彼にとってなくてはならないもの。
それはやはりピアノです。
ベートーヴェン自らも『音楽こそが私自身だ!』と言っているように、作曲をしたり、自ら演奏をしたり、音楽はいつも彼の側にありました。そして生涯でたくさんの素晴らしい作品を私たちに残してくれましたが、これらのピアノがなければ生まれてくることはなかったでしょう。
ここでは彼が愛用していたと言われる二種類のピアノを見ることができ、年代が古いものと新しいものが置かれています。二台とも当時の彼が使っていたピアノを再現したもので、鍵盤の構造も間近で細部にわたり見ることができます。双方の響きや鍵盤のタッチの違いなどもはっきりと感じとることができ、とても興味深いものでした。
さて、今回はここまでボンやドイツ連邦共和国美術展示館のことをお伝えしました。しかし、ボンにはベートーヴェンやベートーヴェン生誕250周年に因んだイベントなどがまだまだあります。今回のブログだけでは残念ながら書ききれませんでしたので、次回のブログで続きを書いていきたいと思います!
Tschüss!
●ドイツ連邦共和国美術展示館
https://www.bundeskunsthalle.de/beethoven.html