「体育会系 日本を蝕む病」(光文社新書)発売
みなさん、こんにちは。
昨年ほぼ引きこもって書いていた本「体育会系 日本を蝕む病」(光文社新書)が本日2月19日(水)に発売されます。
内容ですが、タイトルどおり、ニッポンの学校や会社などでよく見られる「体育会系的な根性論」について書いています。
では、その「体育会系的な根性論」とはどういうものかというと、間単に言ってしまえば、「人間、どんなに周りの状況が悪くとも、本人にヤル気と根性さえあれば、がんばることができるんだ。何事も達成することができるんだ」というような思考のことです。
基本的に私は「やればできる」という発想は嫌いではありません。けど、それは「自分で自分に言い聞かせる場合」に限ってです。
上に立つ人、たとえば会社の上司が「体育会系的な根性論」の持ち主だと、それは部下のサービス残業などのブラックな働き方につながりやすいです。
というのも「眠い」だとか「寒い」だとか「熱っぽくて、だるい」などの要素を一切無視して、「とにかく、がむしゃらに頑張らせる」のが体育会系的な根性論だからです。そして、日本にはこういう思考をする人がまだまだ多いので、有休がとりにくかったり、過剰労働で疲れている人が多いのではないでしょうか。
いま、コロナウイルスが猛威を振るっていますが、先日、40代の男性会社員が席や発熱などの症状が出た後に新幹線を使って東京から愛知県に出張したということがニュースになったばかりです。この男性個人を責める気はありませんが、日本の社会には「会社は休むものではない」という雰囲気があるため、休みづらかったのだろうなあ、と想像してしまいます。「風邪でも、絶対に休めないあなたへ」という風邪薬のCMがありましたが、これは本当に日本的なCMだなあと思いました。
コロナウイルスに関しては、コロナウイルスに感染した可能性があるのに仕事を優先して会社に行ってしまうと、周りの人に迷惑をかけてしまいますので、絶対に出勤はやめてほしいですね。
ところで「体育会系的な根性論」ってドイツ語に訳せないんですよ(笑)理由は、概念そのものがないからだと思われます。
なので、先日ドイツ人のお友達に「本が出るよ!」と報告したとき、「どんなタイトル?」と聞かれましたが、ドイツ語訳が出てきませんでした(笑)結局、「日本では有無を言わせない軍隊的な思考があって・・・」というふうにまわりくどい説明になってしまいました(笑)ちなみに本の中に「体育会系な思想」とは無縁のドイツのゆる~いエピソードも盛り込みました。
ニッポンはとにかく「人がラクすること」をヨシとしない社会です。でも、「人がラクできるように」自分が動くと、結果的に自分もラクになり、長い目で見るとWin-Winです。簡単な例だと、同僚に対して「有休、どんどんとっていいよー」と快く送り出してあげれば、まわりまわって自分も有休がとりやすくなりますし、後に入社した後輩も有休がとりやすくなるでしょう。そうなればその会社の社員の中で「休むのは悪いことではない」というコンセンサスが出来上がり、たとえば今回のようにコロナウイルスが流行ったときに「熱があるときは、休むのは当たり前だよね」という雰囲気になりやすいです。
コロナウイルスだけではなく、女性の産休や、性別を問わない「育児休暇」についても同じことが言えるのではないでしょうか。「いかなるときでも会社に出社して、自分の100%を会社に捧げる」という根性論に基づいた考え方が普通の会社だと、どうしても育児休暇は取りづらくなりますが、こういった思考をやめるように努力することで、一歩前に進める気がするのです。
というわけで、日本に住んで22年(!)の私が自らの体験も含め、色んなエピソードをこの本に盛り込みました。
ただ、この本、いわゆる「日本をバッシングする本」ではありません。みなさんに少しでも生きやすくなってほしいですし、海外と比べながら「ニッポンの体育会系の良いところ」もたくさん盛り込みました。みなさん、ぜひご一読ください。そして、本の中の土井ラブ平さんのコミカルなイラストにも注目してみてください。
サンドラ・ヘフェリン