【ドイツ郷土料理図鑑】北ドイツ:スイーツ&ドリンク編
このところワインやビールなどお酒のお話が続いていましたが、今回は久しぶりのドイツ郷土料理シリーズ。これまで紹介した南部、西部、北部に続きまして、今回は北ドイツのスイーツ&ドリンク編をお届けします。
ハンブルク、ブレーメン、リューベックなどハンザ同盟都市で栄えた町が連なる北ドイツ。古くから貿易が盛んだったこれらの港町では、当時貴重だった砂糖などの材料が手に入りやすかったことから、郷土色豊かなお菓子がたくさん生まれました。
なかでも有名なのがリューベックのマジパン(マルチパン)。市庁舎前にある1806年創業の「ニーダーエッガー Niederegger」は、ドイツばかりか世界中にその名を知られるマジパンの名店。ありとあらゆるマジパン菓子が揃うショップに、ケーキやお茶がいただけるカフェ、マジパンの歴史を学べるミュージアムが併設された「マジパンの殿堂」としてリューベックを代表する観光名所の1つとなっています。
日本ではマジパンが苦手という人も多いですよね。私もここに来るまではそうだったのですが、ニーダーエッガーでフレッシュなマジパンとケーキを食べてあまりの美味しさに衝撃を受けました。リューベックに行ったらぜひ「本物のマジパン」を味わってみてください。きっとマジパンの概念が変わると思いますよ。
以下、※地域ブランドとあるのは、EUの地理的表示保護制度により地域特産品として登録商品となっているものです。
リューベッカー・マルチパン Lübecker Marzipan
アーモンドの粉と砂糖を練り合わせたマジパンは、ドイツではチョコレートの詰め物にしたり、シュトレンやバウムクーヘン、ケーキの生地やクリーム、飾りに使われるなどとてもポピュラーなお菓子。「リューベックのマジパン」の品質を守るために、砂糖はアーモンドの30%以下など厳格なルールが定められています。
※地域ブランド
ローテ・グリュッツェRote Grütze
Roteは赤、 Grützeはお粥状のものを表す。すぐりや木苺など赤いベリー類を煮てとろみをつけたデザートで、バニラソースやアイスに添えるのが一般的。スーパー等でもヨーグルトと同じようにカップ入りで販売されています。
フランツブロートヒェンFranzbrötchen
クロワッサンをつぶしたような平べったい形が特徴の、ハンブルク名物の菓子パン。酵母生地にシナモンシュガーを巻き込んだプレーンなタイプのほか、チョコやナッツ入りなどバリエーション豊富。
ブレーマー・クラーベンBremer Klaben
レーズンがたっぷりつまったシュトレンに似た発酵菓子。ブレーメンは知る人ぞ知るお菓子の町で、ブレーマー〇〇と名付けられた銘菓がたくさん。
ブレーマー・バベラーBremer Babbeler
ブレーメンに19世紀から伝わるミント風味のボンボン。スティック状のど飴。
ロートシュポンRotspon
ハンザ同盟時代、リューベックの塩をフランスのボルドーに運び、帰りはボルドー産赤ワインを持ち帰ったそう。それがリューベックのワインケラーで熟成されて美味しくなったことからリューベック名物となった「フランス生まれのリューベック育ち」赤ワイン。
また、ヨーロッパ最大級のコーヒー豆輸入港であるハンブルクとブレーメンでは、良質の自家焙煎コーヒーも豊富です。17世紀後半にドイツに初めてコーヒーが入ってきたのがブレーメンで、ノンカフェインのコーヒーが発明されたのもこの町。発明者のロゼリウス氏は、コーヒー商人として得た私財を投じて、中世の街並みを再現した「ベトヒャー通り」をつくりました。
コーヒーだけでなく世界中からやってくる茶葉の集積地でもあります。そんな背景もあって、ハンブルクやブレーメンには美味しいコーヒーや紅茶が飲めるカフェがたくさん。可愛い町を散策しながら、カフェめぐりを楽しんでくださいね!