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国際交流、まずは少人数で?

国際交流、まずは少人数で?

国際交流、まずは少人数で?

国際交流についてよく考える。異文化に触れること、理解すること、ちがう文化圏の人と交流すること。



その中で最近気付かされたことがある。



それは、国際交流の難しさというのは、人が多くなれば多くなるほど表に出るということだ。



これから私が書くことはパーティーなど一度限りで会う場合の国際交流ではなく、仕事や学生生活、趣味などを通し長期に渡り付き合いを続けていく場合の国際交流のことである。



例えば人が5人いて、その5人のうちの一人ひとりが違う国の人だと、意外と上手くまとまる事も多い。アメリカ人に、中国人に、ドイツ人に、タイ人と日本人。一人ひとりが違う文化で育っても、それぞれ母国語が違っても、一人ひとりのコミュニケーション能力に問題がなければ、5人で和やかな雰囲気。



ところが、これが人数が増え、20人になるとどうなるか。アメリカ人4人、中国人が4人、ドイツ人が4人、タイ人が4人に日本人が4人。これは実は微妙で、結果から言ってしまうと、全員の人数が5人のうちは上手くいっていたのに、同じ国の人が増えると意外にも違う国の人との交流が少なくなることが多い。理由は・・・同じ国の人同士で固まってしまいがちだからである。



つまり同じ国の人が増えると、中国人は中国人で固まり、アメリカ人はアメリカ人で固まり(←アメリカ人同士だと同じレベルの英語を話せるから、という点も大きいみたい)、ドイツ人同士はドイツ人同士で固まり、タイ人はタイ人で固まり、日本人は日本人同士で固まる、ということだ。



(※よく「『日本人』は固まる」と言われていますよね。でも私が観察したところ、実際には、どこの国の人も同じの国の人同士、または同じ文化圏同士で固まりがちだ。私が観察した限り、固まるのは日本人に限ったことではない)



せっかく色んな国の人がいるのに、自国の人達ばかりとかたまってしまうのはある意味残念なことではあるのだが、現実は上に書いた通り(人間、その場に同じ国の人達がいると、その人達と一緒に固まりがち)であるのもまた事実。



もしくは同じ国の人同士で固まらないにしても、アジア圏の人同士で固まったり、欧米文化圏の人同士で固まったり。



そう考えると国際交流ってむずかしいなあ、とつくづく思う。色々な国の人が増えたからといって、色んな国の人同士の交流が深まるというわけでもないからだ。やはり自分の慣れている方、ラクな方に人間は行ってしまいがちなのである。



人間、出身が同じ人とツルんでしまうのは、同じ言葉を話すからラク、という部分も大きいのだけれど、同じ国の人なら「自分流」でいっても、ギョッとされることがない安心感がある、という点も大きい。たとえば、マナーの面。女なのに床にあぐらをかいて座ったり、リンゴを歩きながら丸かじりする、というのはヨーロッパの文化圏の人だと驚かないけれど、日本人だとやっぱり驚く人が多い。逆に、夏の暑い日、日傘をさして歩く事は同じ日本人には理解されても、欧米文化圏の人には理解されないことが多い。(欧米文化圏の人、特に北欧は日焼け命の人が多いから。私は何回も日本にいるドイツ人に「サンドラ見て! あの人、雨でもないのに傘をさしてる! 変!!」と怒り気味に言われたことがある・・・)



この「国によるマナーや感覚の違い」については、また別の機会にじっくり書きたい。



・・・というわけで、考えてみると、違う国の人と自ら進んでかかわらない、というのは決して違う国の人が嫌い、というわけではなく、お互いに習慣が違う事から妙にそこを意識してしまい、違う国の人の前では「緊張」してしまう、という点が大きいのかもしれないと思った。たとえばアメリカ人の前では間違いの無い英語を話さなくっちゃ、とプレッシャーを感じて緊張する、とか、日本人の前では歩きながらモノを食べないように気をつけなくっちゃ、とか、ドイツ人の前では日傘をさしたり厚化粧をするのをやめなくっちゃ、とか。考え出すとキリがないですね (笑)



でもそうはいっても国に関係なく誰とでも仲良くなれる人というのはいる。それが挨拶程度の仲の良さではなく、長い付き合いで色んな国の人と上手くやっている人を見てみると、そういう人というのは、上に書いた「緊張」とは無縁の人だったりする。つまり大雑把でマイペース。「自分流」をさらけ出すことに抵抗がなく、同時に相手の「違う面」もサラリと受け入れ、コミュニケーション能力がある人。



簡単なようでこれが結構難しかったりする。地球上にいるほとんどの人は、やはり自分の育った過程で親やその国の教育機関に教わった「掟」(マナーや生活習慣における掟) にこだわる人がやはり多いからである。



そんなわけで色んな国の人とかかわっていても国際交流に関して私もまだまだ発展途上である。



皆さんは国際交流をどのように考えていますか?




★5月7日(火)発売の週刊誌SPA! の27ページに出ています。≪「ネトウヨ・在特会VS反レイシズム」日本人同士の激突に当人たちは何を思う~ヘイトスピーチをめぐる「在日外国人の本音」≫という特集の中で意見を述べさせていただきました。コンビニや本屋さんでぜひお買い求め下さい。




YG_JA_3163[1]サンドラ・ヘフェリン



ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴15年、著書に「浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ」(光文社)、近著「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) など6冊。自らの日独ハーフとしての経験も含め「ハーフ」について執筆している。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、執筆、散歩。目黒川沿いや碑文谷をよく散歩している。



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サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン