チヤホヤされるハーフ
今まで5回にわたり、ドイツでの「イジメ」について書いてきました。ドイツの学校での日本人や日独ハーフに対する子供間のイジメについて皆さんにお話しすると、よく日本人から「でもハーフがバカにされるのはドイツや欧米の話であって、ぶっちゃけ、日本に住んでる『ハーフ』はいつもチヤホヤされていて、いい思いをしてる!」と言われます。
では、ハーフが日本でチヤホヤされている事実があるかというと、ぶっちゃけ、「ある」と思います。
ただし子供間での「チヤホヤ」は時に厄介だったりします。
小学生のハーフや中学生のハーフは日本人に、「うわー、目が緑色でステキー!!」とか「鼻が高くてうらやましいー!」とか「肌が白い~!」とチヤホヤされることはよくあります。
実際に、学校ではなくても純ジャパ(ハーフでない日本人の事)の女の子3、4人がハーフの女の子1人を囲んで、「うわー!^^」とチヤホヤしているシチュエーションを私もときたま見かけるのです。
この場面を見ている周りの人達は「ハーフってチヤホヤされていいなあ」とか「ハーフって友達が多そう」と感じるのでしょう。そして、おそらくそれが世間で言う「ハーフってチヤホヤされている」という感想につながるのだと思います。
でも。ハーフがチヤホヤされるシチュエーションって確かに「ある」。ところが、その「チヤホヤ」がイコール「嬉しいこと」「いいこと」「得していること」なのかというと、かなり微妙です。
私の経験上、「チヤホヤ」というのは、「される」より、「する」ほうが楽しいです。
なぜなら、主導権があるのは「チヤホヤするほう」だからです。「うわー!かわいい!!」と思ったらチヤホヤすればいいし、「なんだか飽きた」と思えばやめればいいし、飽きたら対象(チヤホヤする対象)をほかに見つけたりすることも簡単です。
そう考えると、「自分に主導権がゼロのチヤホヤのされ方」というのってはっきり言って微妙です。言葉は悪いけれど、ペットをかわいがる感覚で色々「チヤホヤ」して、嫌になったら、「アンタ何?!」みたいな扱いを受けているハーフは少なくないです。
それに、本当の問題はここからなのですが、この「チヤホヤ」には一つ大きな問題点があります。それは女特有のものなのかもしれないけれど、3、4人がハーフの子をチヤホヤすると、それを見ている人(第三者)に「何よ、ハーフだからって調子にのって!」などの妬みの気持ちが芽生えやすい、ということです。
つまり「チヤホヤ」は、理不尽な妬み感情の温床にもなっているのです。
ハーフへのイジメは、特に小学生や中学生ぐらいの女の子同士の場合、
「最初はチヤホヤしていたけれど、そのうちなぜかその『チヤホヤ』が『イジメ』に変わる」ことがしばしばあります。そして、私は理由はどうもこのあたりにある気がしてならないのです。
周りがハーフを「特別視」することで、ハーフは「チヤホヤされたり」、「イジメに遭ったり」と理不尽に忙しいです。「チヤホヤ」はポジティブなこと、いいことだと世間では受け止められがちですが、私はかなり厄介な事だと思っていたりします。みなさんはどう思われますか?
★出演情報です。11月26日(月)の夜、日テレの番組に出ます。くわしくはこちらをご覧下さい。
サンドラ・ヘフェリン
ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴15年、著書に「浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ」(光文社)、近著「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) など6冊。自らの日独ハーフとしての経験も含め「ハーフ」について執筆している。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、執筆、散歩。目黒川沿いや碑文谷をよく散歩している。
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