ザクセンのワイナリーめぐり2【シュロス・ヴァッカ―バルト】
ザクセン州立醸造所『シュロス・ヴァッカーバルト』を訪ねて
ドイツ最北東のワイン生産地域、ザクセンのワイナリーめぐり。前回はドレスデン近郊の町ラーデボイルのザクセンワイン街道案内所も兼ねる醸造所『ホーフレスニッツ』を訪ねました。
次に訪れたのは、同じ町にあるもう1つの有名ワイナリー『シュロス・ヴァッカーバルト Schloss Wackerbarth』(以下ヴァッカーバルト)。
シュロス(城)という名のとおり、ここはまさにお城です。
その歴史は1730年にザクセン選帝侯、アウグスト強王の側近だったアウグスト・クリストフ・フォン・ヴァッカーバルト伯爵がこの地にお城を建てたことに始まります。アウグスト強王は大のワイン好きだったそうで、ブドウ栽培は彼の望みを叶えるものでもありました。ヴァッカーバルト伯爵の死後は所有者が次々と変わり、現在はザクセン州立の醸造所となっています。
欧州で一番最初に“開かれた”ワイナリー
ヴァッカーバルトは欧州で一番最初に一般公開されたワイナリーで、ザクセン最大規模というブドウ畑や美しい庭園を散歩したり、敷地内にあるワインショップやレストランを誰でも自由に利用可能。ドレスデンからトラム(路面電車)で約30分(最寄りの停留所名は『Schloss Wackerbarth』とわかりやすい!)とアクセスしやすく、観光客も大勢やってきます。
ブドウ畑の中に建つ八角形の建物はヴェルベデーレと呼ばれるヴァッカーバルトのシンボル。結婚式やイベント会場として人気なのだそう。その向かいに建つのバロックスタイルのシュロス(城)を貸し切ることもできます。ブドウ畑に囲まれたお城でウェディングなんてロマンチックですねえ。。。
ヴァッカーバルトのブドウ畑は急な斜面につくられているため、ブドウ栽培に必要な日照量を十分に確保することができるそう。栽培品種はリースリングのほか、トラミナーやヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)など。畑の上の方にあるヤコブシュタインまで上っていくと、ぶどう畑とお城、ラーデボイルの街が一望できます。
ワインセラー見学とテイスティング
ヴァッカーバルトではワインセラーの見学や試飲ができるガイドツアーが各種用意されています。映像を交えながらわかりやすく説明してくれるのでワイン初心者でも楽しめます。
リースリング種の発酵作業が行われている3つのステンレスタンクの説明では、音楽とともにタンクの色が3色に輝いてびっくり!リースリングには個性の違う3つの発酵槽があり、それぞれの個性を尊重しハーモニーを感じるワインをつくるために音楽と光を与えることにしたのだとか。なんとも面白い発想に感服!スタッフのホスピタリティの高さといい、つくづくワイン造りへの情熱と愛を感じるワイナリーです。
最後はお待ちかねのテイスティング!
今回試飲したのは華やかなロゼ、リースリングのシュペートレーゼ、ゴルトリースリング(ゴールドリースリング)。シュペートレーゼはヴァッカーバルトの畑のなかでも最も古いテラス状の畑のブドウを使っているということで、熟した果実のような複雑で重厚な味わいが感じられました。そしてハイライトのゴルトリースリングは……おいしすぎて絶句!かのクナイプ博士も推奨したというゴルトリースリングはザクセンならではのワイン。行かれる方はぜひとも味わってみてください!!
ザクセン最古のゼクトを味わう
じつはヴァッカーバルトはザクセンで最古のゼクト(スパークリングワイン)生産者でもあり、生産量の8割をゼクトが占めています。
ここのゼクト造りはタンク内で発酵させるのではなく、フランスのシャンパーニュと同じく瓶内二次発酵で醸造。ボトルを少しずつ回転させながらオリを瓶口に集める伝統的手法で手間暇かけて造られています。
アウグスト強王やかの有名なラファエル作エンジェルラベルのゼクトは、味はもちろん、デザインも素敵なのでお土産にも大人気。ドレスデンのレストランやバーでも置いてあるところが多いので、見かけたらぜひ試してみてください。
■シュロス・ヴァッカーバルト公式サイト
https://www.schloss-wackerbarth.de/