ドイツ情報満載 - YOUNG GERMANY by ドイツ大使館

Happarel Bicycles - reflective sticker

Happarel Bicycles - reflective sticker

デザインファンの皆様、こんにちは。

今年は、今の季節にぴったりのスポーティな記事で始めたいと思います。

私がHapparel Bicyclesのことを初めて知ったのは、2年前にベルリンで開催されたDMY Festivalの場でした。それから数日前にベルリンのクロイツベルクにひっそりと佇むこのお店で、お二人の創業者にお目にかかる機会が得られたのです。

その一人がアントワーヌ(Antoine)です。彼は自動車整備士として働いたことがあり、その後アイルランドのダブリンで6年間グラフィックデザインの研究をした後、ベルリンにやってきました。

そしてもう一人がエバーハード(Eberhard)で、彼もまた別の分野からやってきた人です。以前はオーストリアのウィーンで政治学及びジャーナリズムを研究していました。

この二人は、長い間一緒に働いていたホステルで知り合いました。自転車への愛と自分らしいことをやりたいという興味が彼ら二人を引き合わせたのです。

Happarel Bicyclesに来ると、まずは目に入るのは、自転車が修理され、自転車の付属品だけでなく帽子やシャツも買うことができる普通の小さなお店です。

写真1_工房の外観

写真1_工房の外観



写真2_工房の内観

写真2_工房の内観



写真3_作業場

写真3_作業場



左奥には、きちんと整理することのできない作業場が見えます。

ここでは、Happarelが有名になった、様々な強力反射ステッカーが作られています。

アントワーヌが様々な種類の材質で試行錯誤を繰り返した末に、全ては完全に反射する自転車で始まりました。友人や知人の間での反響が非常に大きかったため、間もなくさらなる自転車も誕生しました。そこから、関心のある人たちが自分の手で創造的に貼ることのできる、DIYステッカーが開発されました。

彼らはいろいろな材質に関して徹底的に勉強し、道路標識の表面も開発しているドイツの製造者から材料を取り寄せました。

Happarel Bicyclesは、紫外線及びキズに強いデジタル印刷と、特別なカッティングプロッタを使って、原材料を創造的にデザインされたステッカーに加工しました。このステッカーは、シックでユニークであるだけでなく、暗闇でもはっきりと目に見ることができます。

既に出来上がったステッカーを見ても分かる通り、想像力に限界はありません。

こうして数年後には自転車用のすばらしい製品がいくつか誕生しました。この製品は昼間でも既に格好よく見えるのですが、その特質は夜になって初めて文字通り現れるのです。

この若者たちは2014年に、サンドブラスト機を購入するために、クラウドファンディングを始めました。これは、貼る前にフレームを用意しワニスを取り除くために必要でした。その後表面のもちを良くするために、フレームにはステッカーが貼られ、透明なワニスが塗られました。

この時に出来上がった製品のいくつかを写真で見ることができます。

写真4_緑色のステッカーが貼られた自転車

写真4_緑色のステッカーが貼られた自転車



写真5_白色のステッカーが貼られた自転車

写真5_白色のステッカーが貼られた自転車



写真6_自転車用の銀色ステッカーの近接撮影

写真6_自転車用の銀色ステッカーの近接撮影



写真7_全体のステッカーデザイン1

写真7_全体のステッカーデザイン1



写真8_全体のステッカーデザインのシール

写真8_全体のステッカーデザインのシール



小さな工房と友人のおかげで手に入れたプロッタは、自転車のカスタマイズの始まりの合図となりました。

しかし作業全体には非常に多くの時間を要し、誰もが完全な解決策にお金を払う用意ができているというわけではなかったので、彼らはステッカーとセットを作り上げることから始めました。これは特に、子供の安全を考える親たちにとても人気がありました。

クラウドファンディング・キャンペーンを開始してから一年後に、彼らはヘルマンスプラッツからそれほど離れていない、活気のあるベルリンの市区クロイツベルクに現在の工房を置きました。

昨年、彼らは質の良いプロッタを購入するために、さらなるクラウドファンディング・キャンペーンを始めました。というのもこの間に、友人からもらった今までのプロッタがもう限界に来ていたからです。今回もまたお金を調達することができたので、必要な装置を完全にそろえ、個々のデザインとステッカーの生産の遅れを取り戻すことができました。

それからというもの、あらゆることを改善しようと何度も試行錯誤を繰り返しています。すなわち、ウェブサイト、包装製品及び品数です。

そしてその結果は「見て取る」ことができます。提供されているステッカーとステッカーセットは非常に高い反射力を有しています。あらゆる客層にぴったりの商品があります。ヘルメット用の小さなステッカー、創造的に使用するためのモジュール・キット、あるいは自転車のフレーム全体のための完全なセットなど。彼らの最新の製品は、反射するスポークのためのステッカーです。

写真9_スポークセット_昼と夜

写真9_スポークセット_昼と夜



写真10_チェーンセット_左が夜

写真10_チェーンセット_左が夜



写真11_安全ステッカーセット

写真11_安全ステッカーセット



しかしフレーム用のステッカーセットに、真の魔法が現れているように私には思われます。特に黒色のステッカーキットの場合です。このステッカーは、日中には自転車の黒いフレームの部分にあり、ほとんど見ることはできませんが、夜になると光の放射で、まるで白いステッカーのように明るく反射し、一秒でこの自転車を転がる反射鏡に変えてしまうのです。

写真12_黒い自転車_黒いステッカーセット

写真12_黒い自転車_黒いステッカーセット



このステッカーは様々な幅の帯状でできているので、用途に応じて好きなように貼ることができます。

アントワーヌが形作った多彩でスポーティなグラフィックキットもまた非常に美しいものです。

写真13_グラフィックキット

写真13_グラフィックキット



2016年に二人はベルリンで開催されたDMY-BERLINという国際的なデザインフェスティバルに参加し、デザインに興味のある以前よりも大勢の人たちに、自転車とステッカーを披露しました。それ以来彼らはベルリンの販売イベントに度々登場しています。例えば既に紹介したことのある、毎年開かれるホーリー・シット・ショッピングなどです。

エバーハードが私に話してくれたように、客はとりわけステッカーの持つ安全性の大きな効果に非常に感激しています。道路上の全てがはるかに暗く見え、自転車に乗っていると車の運転者から気づかれにくい冬にはちょうど、ステッカーによってより気づかれやすくなります。目につきやすくなっていることが基本的に歓迎されているので、警察もこれには夢中になっています。

写真14_夜の走行1

写真14_夜の走行1



写真15_夜の走行2

写真15_夜の走行2



Happarell Bicyclesは素晴らしいアイディアを持った、ベルリン発の小さなスタートアップ企業の一つです。

2月9~13日にフランクフルトで開催されるAmbiente Messe(アジア以外で行われる最大のトレードフェア)に再び行ってきます。また見るべきものがたくさんあるでしょう。

来週みなさんに報告するのが楽しみです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

Bis bald.

トルステン・ヒューレン

 

Torsten Hüren

トルステン・ヒューレン(Torsten Hüren)ドイツデザインと日本市場を専門とするプロダクトデザイナー。6歳で柔道を始め、日本に興味を持つ。2005年、愛知万博のドイツパビリオンでドイツ文化を紹介し、日本におけるドイツのイメージを身をもって体験。ベルリン及びポツダムでの大学在学中、独日青少年協会の交換留学プログラムに参加するなど日本を8回訪問。その成果である論文『日本市場におけるドイツデザイン』でディプロマを取得。ベルリンの国際的デザインフェスティバル『DESIGNMAI』(現在のDMYフェスティバルの前身)の共同企画者。その経歴から、ドイツの最新デザインシーンに詳しく、また新進気鋭のデザイナーと幅広い親交がある。現在は日本とドイツのデザインを専門としたアドバイザーおよびライターとして活躍。昨年、日本にドイツのプロダクトデザイン専門オンラインショップ、ヒューレン・ベルリン(www.hueren-berlin.jp)を開店。ドイツデザインのショウルームとして、また総合情報ポータルとして、日々最新事情を発信している。 Torsten Hüren, Produktdesigner, der sich auf deutsches Design und japanischen Markt spezialisiert hat. Durch das Judo Training was er im Alter von 6.Jahren begann, entwickelte sich früh seine Liebe und Interesse zu Japan. Im Jahr 2005 arbeitete er im deutschen Pavillon auf der AICHI EXPO in Japan, stellte dort Deutschland vor und erfuhr das Image vom Deutschland in Japan/bei Japanern. Bereits während des Studiums in Berlin/Potsdam bereiste er Japan 8-mal, z.B. beim Studentenaustausch vom DJJG. Nach umfangreichen Recherchen fasste er dann sein Wissen zusammen und schrieb eine theoretisch/wissenschaftl. Arbeit über „deutsche Design auf dem japanischen Markt“, womit er dann sein Diplom erwarb. Er organisierte auch das internationale Designfestival „DESIGNMAI“ in Berlin mit(das heutige DMY Festival) und hat daher einen sehr guten Einblick in die deutsche Designszene und konnte gute und enge Freundschaften mit bekannten sowie jungen „upcoming“ Designern schließen. Heute ist er als für deutsches Design und japanischen Markt spezialisierter Berater sowie Autor tätig. Letztes Jahr eröffnete er das Online Fachgeschäft für deutsches Produktdesign „hueren-berlin“ (www.hueren-berlin.jp) in Japan, was sowohl Showroom und Informationsplattform als auch Shop für deutsches Designprodukte.

Blog : http://www.hueren-berlin.jp/

Torsten Hüren