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ドイツ映画“Willkommen bei den Hartmanns“(『ハルトマン家へようこそ』)

ドイツ映画“Willkommen bei den Hartmanns“(『ハルトマン家へようこそ』)

久しぶりにドイツに帰っていたのですが、

 

帰りの飛行機の中で面白い映画を観ました。

 

はい、ドイツ映画です。

 

その名も“Willkommen bei den Hartmanns“ (日本語に訳すと『ハルトマン家へようこそ』といったところかしら?)です。

 

2016年11月にドイツで上映されてから年末までに300万人を動員したヒット作ですが、それもそのはず、この映画は今ドイツでまさににタイムリーな話題である「難民」をテーマとしたものなのです。

 

「難民」がテーマとなると、ドキュメンタリーっぽいのかな?と一瞬想像してしまいそうですが、この映画、コメディーです!「異文化コメディー」ともいえるかもしれません。

 

こちらのトップ写真を見ると納得ですね。

 

さて、感想ですが・・・・

 

私は映画を観ている最中ずっと懐かしい気持ちになっておりました(笑)なぜって、この映画、ミュンヘンが舞台なんですね。

 

なので私にとってどことなく見慣れた光景がこの映画にはよく登場しますし、あのミュンヘンの雰囲気が画面越しに伝わってきます。

 

映画のあらすじをひと言でいえば、タイトルどおり、「一人の難民がドイツ人のHartmannさん一家のところに住まわせてもらう」というものなのですが、まあ私にとっては登場人物のキャラクターもいちいち懐かしかったりします(笑)

 

一家は4人家族なのですが、エリート意識が高くハタから見ると時に滑稽な父親Richard(俳優: Heiner Lauterbach)。この人、定年間際の医師なのですが、自分が年をとってもうじき定年だということが受け入れられず、若返りのためにボトックス注射を打ってみたり (←こちらのyoutubeリンクの1.06分のところ)、仕事先で若い人に八つ当たりをしたりと年中ピリピリしています。彼の妻は、子育てを終え時間もエネルギーももてあまし、只今夫に失望中(「結婚した当初は、こんなにピリピリした夫ではなかったのに・・・」)のAngelika(女優: Senta Berger)。ノーブルな容姿で、いわゆるセレブ妻という表現がピッタリ。

 

このカップル、ミュンヘンの高級住宅地にいかにもいそうなカップルで、「あ~、いるいる!こんな人たち!」とうなずきながら見ておりました(笑)

 

彼らの成人している「子供たち」はワーカホリックのPhilipp(俳優: Florian David Fitz)。弁護士なのですが、この人も仕事の忙しさ&家庭のトラブル(只今妻と離婚調停中)で年中ピリピリしています(苦笑)その息子で12歳にして早くもグレ始めているBasti(俳優: Marinus Hohmann ←トップ写真の右端で猫を抱っこしている男の子)、そして31歳にして今も自分探し真っ只中の娘Sofie(女優:Palina Rojinski)。・・・それぞれに、かなりキャラが濃いです。

 

そんな、経済的に恵まれてはいるけれど、それぞれに日々の生活の中で不安や不満を抱えているこのドイツ人一家に、ホームステイのような形でやってくるのが、難民申請中のナイジェリア人・Diallo(俳優: Eric Kabongo)です。一緒に生活をしていく中で、様々なハプニングが起きますが、いつの間にDialloがこの家族にとって良い意味でクッション役となっていっているのが興味深いです。

 

とくに印象的だったのがDialloがRichardやその娘のSofieと恋愛観や結婚観について語り合うシーン。「異文化」同士が触れ合った瞬間でした。

 

難民という存在を通して、ドイツの家族の「内側」や、ドイツの恋愛事情も実にはっきりと見えてくるこの映画。Willkommen bei den Hartmanns

 

映画には何気にストーカー問題のような社会の「闇」の部分も登場しますし、定年間近のRichardを通してミッドライフクライシスなるものにもかなりのスポットがあてられているので、実はテーマは難民問題に留まらずかなり幅広いです。

 

というわけで「異文化あるある」に興味のある人はもちろん、ミッドライフクライシスに悩んでいる人にもおススメの映画だったりします(笑)

 

笑いあり、涙ありのこの映画、日本での上映、首を長くしてお待ちしております!

 

最後にプチ情報。この映画の色んな箇所に色んなポジションで登場する俳優のElyas M’Barekは、そのカッコよさから現在多くのドイツ人女性のハートを鷲掴みにしています。そちらのほうにもぜひ注目してみてください(^_-)-☆

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン