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ベルリン芸術大学 建築・プロダクトデザイン学科 作品展示

ベルリン芸術大学 建築・プロダクトデザイン学科 作品展示

ベルリン芸術大学のオープンキャンパスイベントは、ベルリンの夏の文化行事の中でもハイライトのひとつです。大学の様々な教室やアトリエ、工房などが、関心を持つ一般の人々に公開されます。オープニングに際しては、毎年恒例のサマーフェスティバルが開催され、ライブや様々なパフォーマンス、多数のパーティーが、歴史ある校舎の入り組んだ通路で行われます。

また同時に、学生の作品も展示されます。

ベルリンの人口は拡大を続けています。人が増えると空間が必要ですが、その空間はどこに生み出せばいいのでしょう? 建築学科の学生はこの問いに向き合い、「(グルーネヴァルドの)森の建築」というプロジェクトで、解決策を探りました。プロジェクトの目的は、住宅建設のための森の利用で、できるだけ森を破壊せず建物を建てることでした。この課題を解決するため、学生の多くは、ツリーハウスや高床式の建物を考えました。

Bauen im Wald II   Bauen im Wald III

また別のクラスでは、同じ課題に対処するため、市内の建築密度をいかに高めるかというテーマと取り組みました。学生たちは、市の中心部にある住宅街、ハンザ地区のためのコンセプトを作りました。ハンザ地区は、1957年のベルリン国際建築博覧会に際し、近代建築のモデルハウス群が建てられた場所です。現在この地区における建築密度は高くありませんが、新しいアイデアでは、土地の利用効率を高めようと試みています。図では、明るい色の立方体がその部分です。

Bauen im Hansaviertel

最も興味深いと感じたのが、プロダクトデザイン学科の卒業制作クラスで見た、次の例です。

キッチンは、私たちの住いの重要な構成要素であり、料理は私たちにとって必要不可欠です。でも高齢者や体の機能に制限のある人にとっては、たとえ簡単なことでも苦労を伴います。両手を使わなければいけなかったり、力がたくさん必要だったり、細かい動きが求められる場合は、特にそうです。

ディルク・ビオットーの「Chop2.簡単クッキング」は、大工仕事などで使う作業台をもとにデザインされています。このキッチンには、物をはさめる万力や、作業台と一体化したスライサー、物をぶら下げて片付けられるボードなどが組み込まれ、作業をサポートしてくれます。またこのキッチンは、実際に料理が簡単にできることに加え、ミニマリスティックなデザインも魅力的で、気に入っています。

Chop 2

Chop 2

私たちの労働の日常における変化をテーマにしたのが、カロリネ・ハーステです。デジタル技術の普及によって在宅の仕事が増え、オンとオフの境界が不明瞭になりました。ハーステが考案した「スイッチオーバー」というコンソールデスクは、開けたり閉じたりできるようになっていて、これが、在宅での日々の仕事に区切りをつける儀式となります。つまり、コンソールを開けると仕事が始まり、閉めると仕事が終わるのです。コンソールの中には仕事に必要なものを入れるボックスがあり、閉めるとボックスは消えて、仕事の痕跡は見えなくなります。また、コンソールを開けると仕事用のライトが上にあがり、スイッチが入ります。閉めるとライトは下にさがり、自動的に消えます。これは、かつて人間の仕事のリズムを決定づけていた、日の出と日の入りをあらわしているのです。

Switchover geschlossenSwitchover geöffnet

また、非常に印象深かったのが、リロ・フィーヴェークの作品でした。通常デザインとは、あるモノをより美しくしたり、あるいは環境にやさしくしたり、コストを抑えたりする役割を担っています。それに対してこの作品は、デザインにおけるタブーという問いを投げかけています。

フィーヴェークが制作したのは、美しいデザインのピストルです。加えて、架空の武器製造会社のインタビュー映像も制作しました。武器メーカーの代表は、洗練され、魅力的で、きわめて感じの良い調子で、自社の「デバイス」に関して語っています。この人物は、自社の製品によって、自由と安全に満ちた未来が約束される、と話すのです。美しいデザインのパラドックスを通じて、見る人は「そうだ」と気付き、このテーマに向き合わざるを得なくなります。

Pistole

Interview

ここで紹介した作品は、私が見つけた作品のほんの一部です。ほかの学科の作品も、とても印象深いと感じました。来年も、この夏のハイライトを、お見逃しなく。

Graduates Produktdesign 2014

Felix Sandberg

シュトゥットガルト近郊の田舎町育ち。15歳のときヴィジュアル表現の形として写真に目覚める。その後すぐに家具を初めて手作りする。大学時代をイエナで過ごし、その間にミュンヘン・ニューヨークなどにも立ち寄る。ミュンヘンでは特に建築に、そしてニューヨークでは日々デザインに没頭し、物の美しさへの情熱と美的感覚を養う。 その定義づけに関わらず、物の見た目・形そのものに興味があり、建築でも家具でも家電でも、外見こそが重要。その姿かたちから良い感覚が自分の中に沸いたとき、初めてそれが私にとってデザインとなり得る。 経営学を学んだ後、繊維業界でインターンおよび勤務経験あり。繊維商社では仕入れ・および販売部にて従事。今年の初めからは自らの情熱にすべてをささげている。

Felix Sandberg